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09 頂点を超えて
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夕方、お姉様は、戻って来たが、しばらくするとお姉様の侍女がドレスと手に、わたしの部屋に来た。
「これをどうぞ。クリスティーン様が差し上げると」
「え?どういうこと」と侍女に言いながらも、わたしは理解していた。
お姉様がわたしのドレスを先に着たのだ。
「どういうことですか?どうしてこれをお姉様が下さるの?」
「わかりかねます。わたくしはお届けしただけです」と言う侍女を部屋に残してお姉様の部屋に行った。
「お姉様。ドレスを下さるそうですが、どういうことですか?」
「あぁ、ドレスを選んであげてたのよ、今度の園遊会のドレス。わたしがマイケルに言ってあなたのを選んであげたの。でね。具合を見てあげたの。皆さん褒めて下さったわ。とっても似合うって。マイケルもいいのを選んだって鼻を高くしていたわ」
「そうですか?それでは園遊会でもこれを着たらいいのではないですか?」
「冗談じゃないわ。もう着たもの。でもあなたはまだ着てないからいいでしょ?」
いつものことだが、腹が立つ。諦めてはいるけど・・・
バージルがにやにや笑ってそばにいたから、ドレスを見せながら
「見て、お姉様が一度着たドレスよ。バージルの婚約者のドレスもお姉様が一度着て、次にわたしが着たのを親切に譲ってあげるわ。嬉しいでしょ?」と言った。
バージルはなんかおかしいと思ったようだが
「当たり前です。僕の婚約者は幸せですね。ドレスを譲って貰えて」と答えた。
そのドレスをわたしの侍女は調べていたが
「シミがありますね。綺麗にできるかやってみます」と言うとドレスを腕に出て行った。
家族には恵まれないが、侍女には恵まれている。
翌日、学院で思わず、ため息を吐いたら
「おや、どうしましたか?」とデニスに言われた。
「なんだかね、口にするとくだらない、つまらないことなのよ。それくらいでって言われるようなこと」
「へぇ、レイがくだらないことを言うのを聞いてみたい。話してよ」
「いやよ」
「いやよって冷たいなぁ・・・聞きたいなぁ・・・そうだ教えてくれたらわたしの秘密を教えるよ。聞いてよかったって思うかも」とデニスがやけに言って来た。
時間もあることだしとわたしはデニスにドレスのことを話した。
油断すると昔のこと、あの時はこの時はとなりそうなのを抑えて今回のことだけを話した。
「いつものことだけど、姉はわたしの分も自分が欲しい物を買うの。今回はドレスだけど大抵の物がそうなのよね」と言ってため息を吐いた。そして続けた。
「話を今回のドレス。バラの園遊会のドレスだったのだけど、いつものように姉がそれを先に着たの。わたしの婚約者のお父様は騎士団団長だけど、騎士団の親睦会をやったの、毎年のことよ。いつもわたしが婚約者として出席してたのだけど、今年はお姉様が行ったの。二人はふざけていたのよ。それはわかるの。
度が過ぎていたけどね。それにわたしの園遊会用のドレスを着ていったの。そしてシミをつけてね・・・わたしは一度姉が着たドレスで園遊会に行くの。どうしてこんな思いやりのないことが平気で出来るの?もう嫌だ。
あんな婚約者は嫌い。家族も嫌い。平気な顔をして我慢してる自分も嫌!」
「僕もあの二人を見て腹たっていたよ。レイが我慢してる分、僕が手出ししてやろうと思ってた。腕の一本も折って、ふざけすぎたってへらへら笑ってやるつもりだよ」
「もう、デニス。ふざけないで」とレイチャルは泣きながら少し笑った。
「じゃぁ、僕の秘密。レイと結婚したいと思ってる。ねぇレイチャル。園遊会に一緒に行かない?ドレスを贈りたい」
え?結婚?え??それが秘密?
「結婚って?ドレス?そうドレス」
「結婚は秘密だから置いといて。エスコートしたい。レイは僕のお世話係りになって授業を休んだりしている。僕はなにもお礼をしていない。だからドレスを贈らせて。それに園遊会にレイと行くのは僕だって楽しみだ」
置いとくの?どこに?ドレスと言った言葉が頭のまわりをくるくる回っているが
「え?でもドレスって」と口に出せた。
「だって、この国の文化はあの姉上と婚約者だと、帝国の僕は解釈しているから」
正直、デニスの気持ちが嬉しい。お姉様とマイケル。それに家族への気持ちは大嫌いって領域に行ってるから。
「ありがとう。デニス。嬉しいわ」
「僕こそありがとう」とデニスがいつになく真面目な声で言った。
それに驚いてデニスの顔を見たら、いつも前髪に隠れているせいか視線を感じたことがないのに、視線を感じた。熱くて優しい・・・?どうしたのわたし?だって、デニスだよ!
・・・結婚??・・・は置いとくのよね・・・
「これをどうぞ。クリスティーン様が差し上げると」
「え?どういうこと」と侍女に言いながらも、わたしは理解していた。
お姉様がわたしのドレスを先に着たのだ。
「どういうことですか?どうしてこれをお姉様が下さるの?」
「わかりかねます。わたくしはお届けしただけです」と言う侍女を部屋に残してお姉様の部屋に行った。
「お姉様。ドレスを下さるそうですが、どういうことですか?」
「あぁ、ドレスを選んであげてたのよ、今度の園遊会のドレス。わたしがマイケルに言ってあなたのを選んであげたの。でね。具合を見てあげたの。皆さん褒めて下さったわ。とっても似合うって。マイケルもいいのを選んだって鼻を高くしていたわ」
「そうですか?それでは園遊会でもこれを着たらいいのではないですか?」
「冗談じゃないわ。もう着たもの。でもあなたはまだ着てないからいいでしょ?」
いつものことだが、腹が立つ。諦めてはいるけど・・・
バージルがにやにや笑ってそばにいたから、ドレスを見せながら
「見て、お姉様が一度着たドレスよ。バージルの婚約者のドレスもお姉様が一度着て、次にわたしが着たのを親切に譲ってあげるわ。嬉しいでしょ?」と言った。
バージルはなんかおかしいと思ったようだが
「当たり前です。僕の婚約者は幸せですね。ドレスを譲って貰えて」と答えた。
そのドレスをわたしの侍女は調べていたが
「シミがありますね。綺麗にできるかやってみます」と言うとドレスを腕に出て行った。
家族には恵まれないが、侍女には恵まれている。
翌日、学院で思わず、ため息を吐いたら
「おや、どうしましたか?」とデニスに言われた。
「なんだかね、口にするとくだらない、つまらないことなのよ。それくらいでって言われるようなこと」
「へぇ、レイがくだらないことを言うのを聞いてみたい。話してよ」
「いやよ」
「いやよって冷たいなぁ・・・聞きたいなぁ・・・そうだ教えてくれたらわたしの秘密を教えるよ。聞いてよかったって思うかも」とデニスがやけに言って来た。
時間もあることだしとわたしはデニスにドレスのことを話した。
油断すると昔のこと、あの時はこの時はとなりそうなのを抑えて今回のことだけを話した。
「いつものことだけど、姉はわたしの分も自分が欲しい物を買うの。今回はドレスだけど大抵の物がそうなのよね」と言ってため息を吐いた。そして続けた。
「話を今回のドレス。バラの園遊会のドレスだったのだけど、いつものように姉がそれを先に着たの。わたしの婚約者のお父様は騎士団団長だけど、騎士団の親睦会をやったの、毎年のことよ。いつもわたしが婚約者として出席してたのだけど、今年はお姉様が行ったの。二人はふざけていたのよ。それはわかるの。
度が過ぎていたけどね。それにわたしの園遊会用のドレスを着ていったの。そしてシミをつけてね・・・わたしは一度姉が着たドレスで園遊会に行くの。どうしてこんな思いやりのないことが平気で出来るの?もう嫌だ。
あんな婚約者は嫌い。家族も嫌い。平気な顔をして我慢してる自分も嫌!」
「僕もあの二人を見て腹たっていたよ。レイが我慢してる分、僕が手出ししてやろうと思ってた。腕の一本も折って、ふざけすぎたってへらへら笑ってやるつもりだよ」
「もう、デニス。ふざけないで」とレイチャルは泣きながら少し笑った。
「じゃぁ、僕の秘密。レイと結婚したいと思ってる。ねぇレイチャル。園遊会に一緒に行かない?ドレスを贈りたい」
え?結婚?え??それが秘密?
「結婚って?ドレス?そうドレス」
「結婚は秘密だから置いといて。エスコートしたい。レイは僕のお世話係りになって授業を休んだりしている。僕はなにもお礼をしていない。だからドレスを贈らせて。それに園遊会にレイと行くのは僕だって楽しみだ」
置いとくの?どこに?ドレスと言った言葉が頭のまわりをくるくる回っているが
「え?でもドレスって」と口に出せた。
「だって、この国の文化はあの姉上と婚約者だと、帝国の僕は解釈しているから」
正直、デニスの気持ちが嬉しい。お姉様とマイケル。それに家族への気持ちは大嫌いって領域に行ってるから。
「ありがとう。デニス。嬉しいわ」
「僕こそありがとう」とデニスがいつになく真面目な声で言った。
それに驚いてデニスの顔を見たら、いつも前髪に隠れているせいか視線を感じたことがないのに、視線を感じた。熱くて優しい・・・?どうしたのわたし?だって、デニスだよ!
・・・結婚??・・・は置いとくのよね・・・
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