一人暮らしのおばさん薬師を黒髪の青年は崇めたてる

朝山みどり

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14 ミーナの思い

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フィルが王宮に行った夢をみた。美しい獣が王宮の庭で舞っていた。美しかった。

目覚めたとき、フィルがいなかった。初めてのことだ。夢は現実のことだとわかっている。認めたくないが・・

あの無垢な幼子の瞳の青年はわたしの醜い面を拭う生贄だ。わたしは復讐を望んでいない、誓う、でもローゼンブルグやあの日わたしを追放した者の死を聞いたときほの暗い喜びが沸いたことは否定できない。

わたしの気持ちを察したフィルは王宮に行った。そして帰って来ない。

フィルをわたしのもとに返してくれるなら、わたしはなんでもする、命を奪えといわれたらすぐに・・・救えと言われたら・・・すぐに・・・死ねと言われたら・・・すぐに・・・

気を紛らわす為にポーションを作った。魔力を絞り出して作った。毎日気を失うように椅子で眠った。

そしてフィルが戻ってきた。ひどい状態で・・・でも帰ってきてくれた。

ベッドに入れて家の周りの浄化をした。追っ手がくることに備えて準備した。

そして追っ手はやってきた。震える手を握り締めて応対したが、フィルが起きてきて助けてくれた。

捜索隊は帰っていった。

「これからは、だれも傷つけたり殺したりしません」この言葉を守って暮らしていく。

フィルがりんごをかかえて帰ってきた。収穫の手伝いに行ったのだ。角を曲がった彼はわたしをみつけて微笑んだ。


わたしは両の手を伸ばし、彼をこちらに招き寄せたいと思った。
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