神子の余分

朝山みどり

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19 魔獣の襲撃 フェルナンド目線

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明け方、ギルドから知らせが来た。ギルドマスターからの呼び出しだ。

急いでギルドに行くと魔獣が凶暴化してこの町に向かっていると言う事だ。到着は明日の朝だと言う。

領主代理もすぐに到着した。騎士団もこちらへ向かっているが、到着は明日の昼か・・・

冒険者は全員、町を守る為に戦って貰う。消耗品クラスの武器をすぐにギルドで買い取る手配をした。

薬師ギルドへポーションの手配をした。ポーションの質に期待してくれと伝言が来た。

手配しているうちに冒険者たちがギルドへやって来た。受付員が順に説明して、自宅待機して貰う。

冒険者が出会った冒険者に伝えることで、だんだん騒ぎになって行く。

町から逃げ出そうとする者もいるが、門で足止めだ。戦う気がなくても外には出さない。はぐれた魔獣に襲われる可能性があるからだ。一箇所にまとまっていて貰うほうが、守りやすい。

次々に届けられる武器や、ポーションを整理しているとルークが現れた。

すぐに俺を見つけて近づいて来たが、赤毛がさっと近づくとなにやら話しかけている。ルークはうなづいていたが、赤毛から離れて歩いてきた。

俺は今、気づいたような顔をして

「おはよう。待ってた。明日よろしくな。準備が済んだら体を休めて置いてくれ」

「あぁ、そこの武器は冒険者に渡すのか?」

「うん、自分のが折れたりした者に、渡そうと」

「矢は支給するのか?」

「あぁ最初は防壁から矢で攻撃だからな」

「秘密は守ってくれるよね」

「もちろんだ」

「攻撃力をあげて置く。付与もできるんだ」

「・・・・・・そ・そうか・・・・頼む」

「ふふっふ。しばらくここをうろつく」と言うとルークは本当にうろうろした。



「終わったから帰るけど、弓を貰えるか?持ってないんだ。ギルドの訓練場で練習して帰る」

弓を選ぶのを手伝っていると大剣を背負った男と赤毛がやって来た。こいつらさっきから、ちらちら見ていたが、堪りかねてやって来たみたいだ。

「では、フェルナンド。明日」

ルークは赤毛と大剣と一緒に訓練場に向かった。俺はしばらく我慢したが、こらえきれずに訓練場に向かった。

ルークは弓の構え方を習っている。やたらルークの体にふれながら、教えているのが、不愉快だ。だが、いい感じだ。構えて的をじっと見てを繰り返している。

おぉ矢をつがえて、射った。外れた。

俺は口を出さずに見るだけにした。何度か射つうちに当たるようになって来た。・・・・・それからまた構えて的を見てを繰り返している。

それから矢をつがえると射った。当たりだ。上手くなったな。

俺は我慢できずに声をかけた。

「上手いじゃないか」

「教え方が良いんだよ」と言うのに腹が立った。

「ちょうど良かった。終わるところだったんだ」ルークは言うと俺と一緒に歩いて、赤毛と大剣の所に戻り、

「助かった、ありがとう。明日は頑張ろう」と二人に言った。それからルークは俺と並んで、訓練場を後にした。


俺はギルドに戻ると待たせていた低ランクの冒険者に指示して、武器やポーションを防壁のそばへ運ばせた。


家に戻ると言うルークを見送ると俺は、仕事に戻った。


ギルドで仮眠を取っていると、知らせが来た。

すぐに鐘を鳴らして町中に知らせた。俺も防壁に向かった。遠距離攻撃ができる者と弓が撃てる者は防壁に上がって準備した。固まって走って来るのだ。大体、当たるだろう。

「各自、先頭を狙って打て」と命令を出した。

先頭の一頭がもんどりうって倒れた。そのまわりの魔獣が倒れて混乱する。

すると次々に矢が放たれた。みんな上手い。確実に当たっている。頃合を見て合図をすると武器を持って外に出て行った。

先ず半円を作る。俺の指示に従い少しだけ、中にいれると集団で攻撃して倒す。それを繰り返して少しずつ魔獣の数を減らして行った。


ルークも囲いの中で活躍している。赤毛がそばを離れないのは褒めてやりたい。だが、彼らに疲れが見える。ギルドマスターも指揮を俺にまかせ戦闘に加わった。

俺も出て行こうとしたとき、

「騎士団が来ました」と見張りが大声で行った。

騎士団の活躍で魔獣はすべて倒された。

冒険者は少しふらつきながら、町に戻った。赤毛に助けられながら、ルークも戻って来た。


怪我をした者はいたが、死んだ者はいなかった。これは奇跡的な事だ。


二回目に備えて、俺たちは準備にとりかかった。






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