今世では誰かに手を取って貰いたい

朝山みどり

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01 記憶が返って来た

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プリシラがわたしの背中を押した。やせ細ったおれの体は容易にふっとんだ。

そして花壇の縁のレンガに頭がぶつかった。すると、青い目の男がわたしの喉に剣を突き立てようとしているのが見えた。血の味が口に広がった。そこで意識が途切れた。

気がついたら自室の床に転がっていた。痛い頭をさわったら布が巻きつけてあった。

雑ながら手当はしたみたいだ。

そうだ、魔力切れで倒れたら、ジェ・・・が剣を・・・違うそれは夢だ。いや?なんだ?プリシラに押されて・・・そうだ押されてと頭が、痛い頭に別の痛みが加わり、また暗くなった。

「うーん!ぅぅう」と言う自分の呻き声で気がついた。

相変わらず床に寝ていた。思い出した。頭に回復魔法をかけた。

痛みが消えた。起き上がると鏡を見た。薄茶色の髪、茶色の瞳。前世と違うありふれた色だ。

回復魔法?魔法使えるよな?今まで使えなかったと思うが、前世を思い出したから使えるようになったのか?

しかし、前世も今世も家族に恵まれないのはどうしてだ。

今世のおれ。ノエル・レイフォード。侯爵家の三男 魔力のない無能なやつ 庶子 母親は・・・殺された。
父はバイロン・レイフォード侯爵 魔法士の家柄だが、父はそれほど優秀とは言えない。 無駄に爵位が高くて苦労しているようだ。
義母はセラフィナ王女 二男 二女の母親 王女と言っても侍女の生んだ娘 あれ?下女が生んだのだっけ?たいした生まれじゃないくせに気位の高い女だ。

貴族社会のなかを必死に泳いでいるのが我が家だ。そして家のなかで最下層が僕だ。家族の 余り物の二男。魔力のない無能な息子。

前世のおれ。あれ前世ではわたしと称していた。おれ。わたし。??わたしの方がしっくりくるな。

公爵家の二男。意地を張って認めたくなかったが、父母に愛されようと努力していた。
長男は跡取りであるのを抜きにして父に愛されていた。

弟は母に愛されていた。

三人のなかで一番優秀だったのは、わたしだ。だが、両親は愛してくれなかった。

学業に秀で、見た目も良かった。銀髪に紫の目をしていた。魔力も豊富。強力な火の魔法の範囲攻撃で、我が国を世界の覇者にした。
そして最後の戦場で味方に殺された。

指示したのは父だ。平和な世界に必要なのは死んだ英雄。悲劇の英雄だ。

人々は平和な世界で勇敢に戦って死んだ英雄を悼み、英雄を称えるってことだ。


なにはともあれ強かった前世のわたしに比べて今世のおれ、冴えないやつだ。もっとしゃんとしろよ自分。何故プリシラに突き飛ばされたんだろう?ひ弱にも程がある。まぁなんかの八つ当たりかな?だって、いきなりだったもんな・・・

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