ずれてる転移者

朝山みどり

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どこかに来ちゃった

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修一はあたりが明るくなったとき、これはこの前階段を落ちた時のと思った。明かりがまぶしいせいかなにも見えなくなり、落ちる感じがして足に痛みが走った。

地面は土だ。やけにおおきい月が正面にみえた。自分の状況が理解できなかった。一番確かなのは足の痛み。いつまでもこの体勢でいられない。痛みをこらえて立ちがろうとしたが、できなかった。

「どうした。こんな所で」なんとか振り向くと小さな人影が立っていた。

「怪我してるのか?立てないのか?」と傍にくると支えて立たせてくれた。

敏と名乗る少年は自分の小屋に修一を連れて行った。修一は途中で歩きにくいサンダルを脱いだが、敏はそれを懐にいれて小屋まで持っていった。

小屋はすぐそばにあり修一は裸足でなかに入った。

修一の顔色の悪さに敏はなにも聞かずに休むように言うと、自分は隅に転がった。

修一は申し訳なさと混乱と痛みで眠れなかったが、ふっと目をあけると外が明るかった。いつのまにか眠っていたようだ。

小屋に一人だった。修一はあの光でどこか別の場所に行ったのだろうか?これって宇宙人の仕業だろうか?

もっと混乱してもいいだろうに、なぜか冷静な自分が不思議だった。

なんとか仕事を見つけて生きていけばいいと思っていたら、ドアが開いて敏が戻ってきた。手に盆を持っていた。

「目が覚めたんだね。先ずこれを食べて」

そういうと敏は修一を手助けした。なんとかおきあがった修一は椀を受け取った。

うすいお粥が入っていた。感謝して口にいれるとほのかな塩味がしておいしかった。

食べ終わると白湯を飲みながら敏が話し始めた。

「どうしてあそこにいたんだ?」

「そうだ、ごめん。私から言うべきことだよね。修一だ。気がついたらあの場所にいた。自分でもわけがわからない。
ここは何という国が教えて欲しい」

敏の答えで修一は覚悟が決まった。

この国の名前を敏は知らないと言った。帝様が治めておられて帝様のおかげで皆、暮らしていけるというのだ。

今、敏が住んでいるのは旦那様の小屋で敏は半民で旦那様の者らしい。あたりの小屋に半民が暮らしている。敏は小さいがすばしこいので役に立つ半民らしい。敏の母親も半民で坊ちゃんの所へ行っているうちに敏が生まれた。

敏は半民としてよくできていると言ってなぜか修一を養うつもりらしい。そして小屋から出ないように言う。

「兄ちゃんは神様の手下だと思う。あの時あたりがキラキラしたなと思ったら兄ちゃんが落ちてきた。手下の割にどじだと思うからしばらく俺の所に隠れていたほうがいい」

「神様は関係ないと思う。僕もなにかして働くよ。足もだいぶよくなって来ているし」

「うーーん、兄ちゃん力弱そうだし、なにが・・・・字は読めるかい?」

「わからないな。見てみないと」

「それじゃ、明後日休みだから町に出てみよう。俺、服を借りてやるから・・・草履もいるな」

「面倒かけるな」

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