手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり

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第十一話 冬が来る

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それから、ドレスのことで問い合わせが殺到した。手紙だけではなく直接やって来る者。
ジークはお店を前倒しで開店することにした。

お店は二件同時に開店させるつもりだ。

一件は貴族街の端っこ。没落したある貴族の屋敷だった所。屋敷を活かして改装して、平民向けの既製服を売る。お高い既製服だ。店名は「ファムドレーヴ」

一件は平民の街の空家を買い取って、壊して新しく立てた店だ。
こちらは予約したお客様のみのお店だ。「マメゾン」と名付けた。
一日お一人か、お二人。 採寸してすぐに、試着用の仮着を作り着て貰う。

そんなことをしなくても仮縫いで調整出来るが、特別感を出すのだ。

どちらの店も今の売りはドレープだ。

立地が逆なんじゃないかと疑問に思ったが、今の台頭して来ている平民は貴族を否定しながら、憧れているのだと気がついた。

だから、貴族の館で買い物をする。この行為に価値を見出すのだと気がついた。

逆に予約が必要なお店は知られていないと言う特別感。平民街の隅の隠れ家。これに尽きる。

問い合わせには丁寧に返事をした。そしてこれはと言う客には、開店当日の優先入場券を同封した。

そして、「ファムドレーヴ」の開店準備の荷物の搬入はおもいきり派手にした。
門はもともとの門より広く改装してあるが、それを全開にして、馬車をなかに乗り入れる。そして木箱をいくつも建物に運び入れる。これを二日間に渡って行った。

そして開店日。列が出来ていたので、早めに開店した。

予想より高い値段にびっくりしたお客様のなかには
「あの、見るだけになってしまって」とおどおどと話しかけて来る人がいた。
「大丈夫ですよ。お店に入ったら買わないといけないってことはないでしょ?」と答えさせると
「そうですよね。失礼しました。素敵ですが・・・その」
「ゆっくり見て行って下さい。見るのも楽しいですよね」とにっこり笑うようにさせたので、お客様はにこにこして出て行った。

そして優先入場券を出すお客様は、並んでいる人たちを追い抜いて、なかに案内されるのだから。とても満足していた。

そう人たちは全員購入して行ったが、サイズ直しをして後日届けると言うことで帰って貰った。
これも特別扱いということになる。

届けるのは馬車ではなく自動車で。運転はわたし。運転手用のお仕着せを着て運転席に収まっている。
玄関まで届けるのは、見た目抜群の従業員。購入して頂いたお礼として焼き菓子を持参。
全部、価格に入っております。

これは全部わたしが考えたこと。ジークのお店に貢献出来た。

そして季節は移って行って、過ごしやすかった夏が終わって秋になった。収穫の季節だ。
大きなニュースになっていないけど、今年の収穫は期待できないだろう。

領地が気になる。わたしが冬に備えていたものを、結婚式で使っただろうから・・・
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