31 / 48
26 劇は大成功
しおりを挟む
さて、王妃主演の演劇、「わたしの理想がここにいる」の本番を前に会場の小広間で、衣装合わせが行われている。
主役の王妃の衣装は当日のお楽しみと言う事で、王妃はここにいないが、他の出演者は全員、揃っている。
妃殿下二人の母親の侯爵夫人は結局一度も現れず、ヒロインの家庭教師の役は無くなった。
ロザモンがやっていたヒロインの家の使用人も無くした。その分、ロザモンドがやっているヒロインの侍女の役の出番が増えた。つまり、セリフが増えて当初の目的がかなうようになった。
ロザモンドはセリフが増えたのと、衣装が王妃に比べて地味なのが不満だった。
フリージアの衣装はとてもよく似合うし、セリフのは発音もきれいで、エリザベートは彼女に朗読の仕事をさせてみようかと考えている。
ディング夫人が、皆にどこか気になる所はないかと尋ねるが、皆首を横に振った。
それではこれで終わりだと、後を任せて退出しようとするエリザベートの所に、珍しく宰相自らがやって来た。
「妃殿下。お話が」とエリザベートに向かって話しかける。こんな人目の多い所でとエリザベートはいやな予感がした。
「実は見学したいという申し込みがたくさん寄せられていまして・・・・」
「断ればいいでしょ。王妃殿下の為の舞台ですよ」とエリザベートが言い捨てようとすれば、素早く前にまわり
「それがですね。王妃殿下に直接、お願いした方たちが・・・・・ご友人が王妃殿下を応援したいと・・・」
思い切りいやな顔をしたエリザベートは宰相に向かって、
「宰相閣下、あなたが判断なさればいいのでは?わたくしは発音の指導を」と早口で言えば
「妃殿下、ご謙遜を・・・・」
「・・・・・どうぞ、お好きに王妃殿下のご友人たちを、宰相閣下がご招待するのを断れませんわ」
出演者たちはこの会話をわくわくして聞いていた。
王妃殿下の友人の友人や、父親の文官に会いに来た令嬢たちで、小広間に用意された椅子は埋まった。
年の割に可愛い服を着こなした王妃殿下も注目を浴びたが、フリージアの人気が高かった。
それに可愛くて動き安い衣装にも、注目が集まった。
貴族の部屋着、庶民のおしゃれ着として流行の服装となった。
終演後に、王妃を訪ねてセリフの美しさと、可愛い舞台姿を褒めたあと。エリザベートはロザモンドの所に行った。
よくセリフを覚えた事を褒めて、もっと早く教えてあげればよかったわねと抱きしめて背中を撫でた。
それから、実家の事を話した。
ロザモンドの反応は思った通りで、養子の事より母親に怒りを覚えたようだった。
「まぁいいんじゃない。あの人、劇の稽古にいくら誘っても来なかったのよ」どうやらロザモンドも誘っていたようだ。
「お母様はわたしができる事を認めたくないのだわ・・・・・だから勉強したいわたしの邪魔をしていたのよ・・・だいたい養子を貰うなんて早くわかっているのに急に来ないなんて・・・・」とロザモンドは舞台用に地味に結った髪を解いてもらいながら、憤慨して言った。
「養子?二人の好きにすればいいわ。お姉様お祝いのお手紙はわたしが書きます。お姉様は書かないで」とロザモンドが言うのを
「お願いね」とエリザベートはガーベラとジャスミンに笑いかけると部屋を出た。
主役の王妃の衣装は当日のお楽しみと言う事で、王妃はここにいないが、他の出演者は全員、揃っている。
妃殿下二人の母親の侯爵夫人は結局一度も現れず、ヒロインの家庭教師の役は無くなった。
ロザモンがやっていたヒロインの家の使用人も無くした。その分、ロザモンドがやっているヒロインの侍女の役の出番が増えた。つまり、セリフが増えて当初の目的がかなうようになった。
ロザモンドはセリフが増えたのと、衣装が王妃に比べて地味なのが不満だった。
フリージアの衣装はとてもよく似合うし、セリフのは発音もきれいで、エリザベートは彼女に朗読の仕事をさせてみようかと考えている。
ディング夫人が、皆にどこか気になる所はないかと尋ねるが、皆首を横に振った。
それではこれで終わりだと、後を任せて退出しようとするエリザベートの所に、珍しく宰相自らがやって来た。
「妃殿下。お話が」とエリザベートに向かって話しかける。こんな人目の多い所でとエリザベートはいやな予感がした。
「実は見学したいという申し込みがたくさん寄せられていまして・・・・」
「断ればいいでしょ。王妃殿下の為の舞台ですよ」とエリザベートが言い捨てようとすれば、素早く前にまわり
「それがですね。王妃殿下に直接、お願いした方たちが・・・・・ご友人が王妃殿下を応援したいと・・・」
思い切りいやな顔をしたエリザベートは宰相に向かって、
「宰相閣下、あなたが判断なさればいいのでは?わたくしは発音の指導を」と早口で言えば
「妃殿下、ご謙遜を・・・・」
「・・・・・どうぞ、お好きに王妃殿下のご友人たちを、宰相閣下がご招待するのを断れませんわ」
出演者たちはこの会話をわくわくして聞いていた。
王妃殿下の友人の友人や、父親の文官に会いに来た令嬢たちで、小広間に用意された椅子は埋まった。
年の割に可愛い服を着こなした王妃殿下も注目を浴びたが、フリージアの人気が高かった。
それに可愛くて動き安い衣装にも、注目が集まった。
貴族の部屋着、庶民のおしゃれ着として流行の服装となった。
終演後に、王妃を訪ねてセリフの美しさと、可愛い舞台姿を褒めたあと。エリザベートはロザモンドの所に行った。
よくセリフを覚えた事を褒めて、もっと早く教えてあげればよかったわねと抱きしめて背中を撫でた。
それから、実家の事を話した。
ロザモンドの反応は思った通りで、養子の事より母親に怒りを覚えたようだった。
「まぁいいんじゃない。あの人、劇の稽古にいくら誘っても来なかったのよ」どうやらロザモンドも誘っていたようだ。
「お母様はわたしができる事を認めたくないのだわ・・・・・だから勉強したいわたしの邪魔をしていたのよ・・・だいたい養子を貰うなんて早くわかっているのに急に来ないなんて・・・・」とロザモンドは舞台用に地味に結った髪を解いてもらいながら、憤慨して言った。
「養子?二人の好きにすればいいわ。お姉様お祝いのお手紙はわたしが書きます。お姉様は書かないで」とロザモンドが言うのを
「お願いね」とエリザベートはガーベラとジャスミンに笑いかけると部屋を出た。
398
あなたにおすすめの小説
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)
青空一夏
恋愛
従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。
だったら、婚約破棄はやめましょう。
ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!
悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる