黙ってすっこんどいたら良かったのに

朝山みどり

文字の大きさ
5 / 43

05 仏像拝観 カオリ目線

 今日は六十年に一度の御開帳日だ。地主のヤマモトさんと一緒に見に行く約束をしている。

 すれ違ったら大変だから、ホテルまで迎えに行く。早めに着いたけど、もうロビーで待っていた。


 お寺は電車一本で行けるから駅まで歩く。

「ほんとにテレビみたいだね。人が多いね」

「確かに、あっちは車に乗ってる人が多いですね」

「こっちの人は足が丈夫だね」



 最寄り駅で降りて十分の距離をゆっくりと歩く。お寺ストリートだからいくつかお寺を通りすぎて目的のお寺に到着。

 思った通り行列だ。境内に木陰もあるからヤマモトさんが疲れたら坐っていて貰おう。

 行列のはけ具合からみるに何人かまとめてなかに入れるようだ。

「ヤマモトさん、わたしちいさな椅子を持ってきたんですよ。座って下さい」とリュックから椅子を取り出して広げた。

「ありがたい。畑で働くのと並ぶのは違うね。助かった」と素直に座って喜んでくれた。

 途中で、周りの人に断って木陰に移動して貰った。何人か真似して移動した。見ているとヤマモトさんが立って他の人が椅子に座ったりしていた。後で聞くと珍しい椅子なので、座ってみたいと言われたそうだ。

 この椅子はラベンダーランドで役に立っているのだ。


 五回移動したら順番になったので、なかに入った。撮影禁止なのでしっかりと目に焼き付けた。

 お昼はこのあたりの名物のうなぎをご馳走になった。それから腹ごなしにストリートのお寺を拝観させて貰った。

 ヤマモトさんは浄財にお札を入れていたが、わたしはコインだった。


 それから、これまた名物の水ようかんを今度はわたしがご馳走して駅に向かった。

 いろいろ喋っているうちにわたしの呼び方がカワシマさんからカオリちゃんに変わった。

「カオリちゃん、待ってる時『いいお孫さんだね』っていろんな人から言われてね。僕『いいでしょ』って自慢しちゃった」

 て言われたので

「わたしはね、『おじいちゃんのお守りですか?大変ですね』って言った人に『趣味の友達です』って言っちゃた。勝手にお友達にしてしまいました」と頭を下げた。

「うん、孫より友情だね」とヤマモトさんは笑うと

「あっちの爺い共に自慢しちゃろう」とスマホを出したので、車内は禁止だよと止めた。


 ホテルで別れる時に

「カオリちゃん明日時間があれば・・・」

「あればって?あるけど」

「ある?・・・・あのね、ずうずうしいけど、都会の洒落た所に行ってみたい。ツアーで爺婆とたまに回るんだけど若い人が普段行くところを見てみたい」

「わかった。それじゃ準備としてスマホでお金払えるようにしましょう」

「それじゃ、なんか食べながら」とヤマモトさんが言うので

「お茶しながらね」とティールームに向かった。









感想 0

あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

彼女の微笑み

豆狸
恋愛
それでも、どんなに美しいとしても、私は彼女のように邪心のない清らかな微笑みを浮かべるよりも、穢れて苦しんで傷ついてあがいて生きることを選びます。 私以外のだれかを愛しながら──

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

いくら時が戻っても

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
大切な書類を忘れ家に取りに帰ったセディク。 庭では妻フェリシアが友人二人とお茶会をしていた。 思ってもいなかった妻の言葉を聞いた時、セディクは――― 短編予定。 救いなし予定。 ひたすらムカつくかもしれません。 嫌いな方は避けてください。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

売られたケンカは高く買いましょう《完結》

アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。 それが今の私の名前です。 半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。 ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。 他社でも公開中 結構グロいであろう内容があります。 ご注意ください。 ☆構成 本章:9話 (うん、性格と口が悪い。けど理由あり) 番外編1:4話 (まあまあ残酷。一部救いあり) 番外編2:5話 (めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。