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第1話 またわたしに・・・
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来週、ピクニックが開催される。毎年持ち回りで準備して今年の主催はスペーダ公爵家。
だが、
「わかったわ。お忙しいのよね。お手伝いするわ。まかせて。大丈夫よ」と王妃殿下が請け合っている声がした。
『毎年そう言っていい顔して、わたくしに丸なげするくせに』とアリスは聞いていて思った。
「アリスは実の娘と思ってますわ。エドワードの半年後にあの娘が生まれた時運命だと思いましたもの。本当にエドワードと一緒に育てた気持ちですわ。アリスの妹のバーバラを二人が可愛がる所は天使を見るようでしたわ」と王妃の声がする。
その声を聞きながらアリスはピクニックの準備時間がいきなり増えた事による変更をどうしたらいいかと、頭のなかの予定表を見ながら検討していた。
王室と限られた招待客が年に一度近くの湖に行って、バーベキューをして、おしゃべりする行事をピクニックと呼ぶ。子供はもちろん、大人も楽しみにしている行事だ。
最初は炊き出しの経験をしておこうというものだった。
どこかで災害が起きたときにすぐに駆けつけて王族自らが食べるものを作り、民を励ましたことがあった。その以来王室の求心力が上がったのだ。民も感激して復興がはやかったのだ。だから、もしまた同じようなことが起きたその時に慌て、戸惑うことのないようにと準備しておこうと始めたものだが、なにも起こらず平和が続きいつのまにか、楽しい行事に変わって行った。
郊外の湖に災害時にふさわしい軽い服装で出かけ大釜で汁物を調理する。それを食べて喋って遊ぶのは着飾る夜会より楽しかった。
アリスは子供のときから参加しているが、疲れて寂しい思いをしただけだった。
最初は、妹のバーバラの乳母車をずっと押して歩いた。止まると泣くのでなにも食べず飲まずひたすら、歩いた。
他の子供たちは遊んでいるし、両親もほかの大人と一緒に食べたり飲んだりしてした。それを見ながらアリスはひたすら乳母車を押して歩いた。
大人たちはアリスはそうやって遊んでいるのだと思っていたのだ。
確かにアリスはバーバラが生まれた時、嬉しくて跳ね回った。そしてバーバラについた子守が悪かった。赤ん坊の扱いに馴れていなかったのだ。そしてバーバラの子守は要領が良かった。
「ほんとにバーバラ様はアリス様がお好きなんですね。すぐに泣き止みますもの」と子守は言うとバーバラをアリスに渡した。
このピクニックの時もそうやって自分は楽していたのだ。
あいにくとまわりの大人も、子供のアリスもそのことに気づかなかった。
そしてピクニックの後、アリスは疲れと水分不足で具合が悪くなりしばらく寝込んだ。
翌年のピクニックはアリスは今年こそ遊ぶと張り切ったが、バーバラがアリスから離れなかった。
「お母様、バーバラをお願いします。わたしはみんなと遊んできます」とアリスがバーバラを置いて行ってもバーバラが泣いてアリスの所に行きたがるので、しばらくしたらバーバラがアリスの所に連れて来られた。
それで大きな楽しみのブランコにアリスは乗れなかった。
このブランコはピクニックの特別性で、アリスの両親も子供のころこれを楽しみにしていたものだ。
せっかくのバーベキューも、アリスはバーバラの世話であまり食べられなかったが、はためには二人が仲良く食べているように見えて、微笑ましいと見守られていた。
このときもアリスは同じように寝込んだ。
そして、バーバラが五歳か、六歳の頃友達とじゃれていて湖に落ちた時、ちゃんと見ていなかったとアリスが叱られた。
アリスは罰として家に戻ってから部屋に閉じ込められた。
アリスはメイナード侯爵家の長男に続く長女として生まれた。父のウィリアムは現王妃の一歳下の弟で、王妃の実家として力を尽くしている。
母のポーレットはダイナ公爵家の出で、現王妃の学友だった。
その学年は国王と王妃、ポーレット、今の宰相や騎士団長と揃い伝説の学年であった。
彼らはピクニックで会うと学生時代に戻り家族と過ごすよりもお互いと過ごすのを優先していた。
アリスは従兄弟のエドワードが王太子になった年に婚約した。アリスが十二歳の時だ。
その時から、ピクニックは欠席となった。
婚約と欠席の関係をなんと言ったらいいだろう。湖までは馬車で三時間。たった三時間の距離だが王宮に責任者がいないのはまずいとされていた。ピクニックは災害時に備えてのものだ。だから責任者は王宮にいなければならない。それまでは前国王夫妻が臨時に全権を持って留守番していた。
だが、エドワードが王太子になった年に前王妃が亡くなり、ついで前国王も後を追うように亡くなった。
そしてピクニックの留守番役がいなくなった。当然、王妃か国王が留守番するのが当たり前だが、彼らはピクニックの時の楽しい語らいをなくしたくなかった。それはアリスの両親も騎士団長も宰相も同じ気持ちだった。それではちょっと早いが王太子か姉の王女メアリーが留守番・・・国王夫妻は我が子をそんなかわいそうな目に合わせたくなかった。
そこでしっかりもので頼りになるアリスが留守番となった。しっかり者のアリスにまかせておけば安心だと言われているが、アリスなら我慢してくれる。本音はそこにあった。
だが、
「わかったわ。お忙しいのよね。お手伝いするわ。まかせて。大丈夫よ」と王妃殿下が請け合っている声がした。
『毎年そう言っていい顔して、わたくしに丸なげするくせに』とアリスは聞いていて思った。
「アリスは実の娘と思ってますわ。エドワードの半年後にあの娘が生まれた時運命だと思いましたもの。本当にエドワードと一緒に育てた気持ちですわ。アリスの妹のバーバラを二人が可愛がる所は天使を見るようでしたわ」と王妃の声がする。
その声を聞きながらアリスはピクニックの準備時間がいきなり増えた事による変更をどうしたらいいかと、頭のなかの予定表を見ながら検討していた。
王室と限られた招待客が年に一度近くの湖に行って、バーベキューをして、おしゃべりする行事をピクニックと呼ぶ。子供はもちろん、大人も楽しみにしている行事だ。
最初は炊き出しの経験をしておこうというものだった。
どこかで災害が起きたときにすぐに駆けつけて王族自らが食べるものを作り、民を励ましたことがあった。その以来王室の求心力が上がったのだ。民も感激して復興がはやかったのだ。だから、もしまた同じようなことが起きたその時に慌て、戸惑うことのないようにと準備しておこうと始めたものだが、なにも起こらず平和が続きいつのまにか、楽しい行事に変わって行った。
郊外の湖に災害時にふさわしい軽い服装で出かけ大釜で汁物を調理する。それを食べて喋って遊ぶのは着飾る夜会より楽しかった。
アリスは子供のときから参加しているが、疲れて寂しい思いをしただけだった。
最初は、妹のバーバラの乳母車をずっと押して歩いた。止まると泣くのでなにも食べず飲まずひたすら、歩いた。
他の子供たちは遊んでいるし、両親もほかの大人と一緒に食べたり飲んだりしてした。それを見ながらアリスはひたすら乳母車を押して歩いた。
大人たちはアリスはそうやって遊んでいるのだと思っていたのだ。
確かにアリスはバーバラが生まれた時、嬉しくて跳ね回った。そしてバーバラについた子守が悪かった。赤ん坊の扱いに馴れていなかったのだ。そしてバーバラの子守は要領が良かった。
「ほんとにバーバラ様はアリス様がお好きなんですね。すぐに泣き止みますもの」と子守は言うとバーバラをアリスに渡した。
このピクニックの時もそうやって自分は楽していたのだ。
あいにくとまわりの大人も、子供のアリスもそのことに気づかなかった。
そしてピクニックの後、アリスは疲れと水分不足で具合が悪くなりしばらく寝込んだ。
翌年のピクニックはアリスは今年こそ遊ぶと張り切ったが、バーバラがアリスから離れなかった。
「お母様、バーバラをお願いします。わたしはみんなと遊んできます」とアリスがバーバラを置いて行ってもバーバラが泣いてアリスの所に行きたがるので、しばらくしたらバーバラがアリスの所に連れて来られた。
それで大きな楽しみのブランコにアリスは乗れなかった。
このブランコはピクニックの特別性で、アリスの両親も子供のころこれを楽しみにしていたものだ。
せっかくのバーベキューも、アリスはバーバラの世話であまり食べられなかったが、はためには二人が仲良く食べているように見えて、微笑ましいと見守られていた。
このときもアリスは同じように寝込んだ。
そして、バーバラが五歳か、六歳の頃友達とじゃれていて湖に落ちた時、ちゃんと見ていなかったとアリスが叱られた。
アリスは罰として家に戻ってから部屋に閉じ込められた。
アリスはメイナード侯爵家の長男に続く長女として生まれた。父のウィリアムは現王妃の一歳下の弟で、王妃の実家として力を尽くしている。
母のポーレットはダイナ公爵家の出で、現王妃の学友だった。
その学年は国王と王妃、ポーレット、今の宰相や騎士団長と揃い伝説の学年であった。
彼らはピクニックで会うと学生時代に戻り家族と過ごすよりもお互いと過ごすのを優先していた。
アリスは従兄弟のエドワードが王太子になった年に婚約した。アリスが十二歳の時だ。
その時から、ピクニックは欠席となった。
婚約と欠席の関係をなんと言ったらいいだろう。湖までは馬車で三時間。たった三時間の距離だが王宮に責任者がいないのはまずいとされていた。ピクニックは災害時に備えてのものだ。だから責任者は王宮にいなければならない。それまでは前国王夫妻が臨時に全権を持って留守番していた。
だが、エドワードが王太子になった年に前王妃が亡くなり、ついで前国王も後を追うように亡くなった。
そしてピクニックの留守番役がいなくなった。当然、王妃か国王が留守番するのが当たり前だが、彼らはピクニックの時の楽しい語らいをなくしたくなかった。それはアリスの両親も騎士団長も宰相も同じ気持ちだった。それではちょっと早いが王太子か姉の王女メアリーが留守番・・・国王夫妻は我が子をそんなかわいそうな目に合わせたくなかった。
そこでしっかりもので頼りになるアリスが留守番となった。しっかり者のアリスにまかせておけば安心だと言われているが、アリスなら我慢してくれる。本音はそこにあった。
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