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第30話 待たせといて
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翌日、スペーダ公爵夫妻。嫡男とカーラが王宮にやって来た。
午前中の早い時間だった。
アリスたちのもとに知らせが来たが、アレクが
「待たせておけ、もてなしはいらんぞ」とだけ言って侍従を帰した。
「さて、アリス。バートとヘドラーとわたしたちは仕事の話。今後の仕事の話で会います。終わったら呼びますね」とデイビスが言った。
「二人とすぐに・・・はい。待ってますね」
「護衛を置いて行きます。それからスペーダ公爵からの連絡は無視していいですよ」
と言うとアレクと一緒に出て行った。
ラズベリーは
「アリス様、わたくしはこの辺で働いているものを少し話をして来ます」
と言うと出て行った。
アリスは体を動かしたいと思ったが、一人で散歩も良くないなと思って廊下を往復した後、部屋に戻って本を読んだが、二人に会えると思うと落ち着かなくて部屋をうろうろした。
アリスが廊下を往復している時、バートとヘドラーはアレクとデイビスに会っていた。
見知らぬ二人を見て怪訝な顔になる二人を見て、アレクとデイビスは丁寧に頭を下げて挨拶をした。二人が返そうとするのを手で制して椅子をすすめた。
「自己紹介させて下さい。わたしは、アレク・クレール。隣国の者です」
「え?クレール」と二人がつぶやくが、アレクはすぐに
「アリス嬢を拾いました。あのピクニックの日です」と言った。
二人は目を見開いてお互いを見てそれからアレクとデイビスを見て
「無事ってことですよね」「無事なんですね」と言った。
「はい、元気です。とっても元気です。お二人のことを話してくれました」とデイビスが答えると
「良かったぁ」「信じてました」「無事だと・・・だけど遠くに行く人みたいで・・・」
アレクは二人が落ち着いたのを見て
「アリス嬢から二人に助けられたと聞いてます。いろいろな面で助けられたと。ですが、とりあえず、仕事の話をしたいと思います。文官の手が足りないそうですので、隣国から人を呼びます。執務が滞ると民が困りますからね。お二人には彼らの上に立って指導していただきたいのです」と言った。
二人は驚いてまごついて
「その、我らでは身分が・・・」と言葉が返って来たがデイビスが
「身分はすぐに解決できます。大切なのは仕事ですから。民ですからね。
既にお二人の活躍が面白くない人が出てるようですね。妬みや嫉みは実力のない者がすることですので、放っておけばいいのですが、思いがけず足をすくわれることもありますので、排除しておくのが簡単で素早い解決ですね。
我々も気をつけておきますね。午後には先発隊が到着しますのでご指導をお願いします。お二人の部所は特別な執務室ですので、特務部と呼びます。部屋の用意が間に合いませんでしたので今までの場所で・・・王太子殿下も手伝うと思いますので仕事を・・・それなりに気遣いしてあげて下さい。とここまでですが、なにか質問がありますか?」と二人の顔を見た。
少し顔色が悪いが、さほど心配ないなとデイビスは医者の観点から見て、話をすすめた。
「護衛をつけます。目立たない護衛ですので気にしないで下さい」
「「は?!」」と言う反応に
「すぐに慣れますので。お二人は重要人物になったと言うことです。大丈夫すぐに慣れます」とデイビスはきょときょとと目を泳がせる二人にさりげなく言った。
「アリス嬢が会いたがっています。呼んでもいいですか?」
「え!」「あ!」と言うと二人は立ち上がりドアに向かった。
「アリス様」と言いながら。
すぐに侍従がドアを開けてアリスが入って来た。
アリスは二人に飛びつくとしっかりと抱きしめた。二人もアリスを抱きしめた。
「「よかった。よかった。無事とわかっていたけど」」二人はその言葉を繰り返しアリスはただただ二人を抱きしめた。
しばらくするとアレクが三人を離してこう言った。
「それでは話がすすまないだろ」
「そうでした。嬉しくて」とアリスが言うとアレクは二人を睨みつけた。気づかないアリスは
「椅子に」と言うと二人の手を取らんばかりにしたが、アレクはさっとアリスの手を取ると椅子にかけさせた。デイビスは
「どうぞ、さきほどのお席に」とすまし顔で言った。
二人が席につくとアリスが立ち上がり
「お礼を申し上げます。わたくしにお菓子とかパンとか買って下さいました。ピクニックの留守番のときも心配して下さいました。一晩中仕事の時も一緒にいて下さいました。なにもお礼が出来なくて悲しかったけど、わたくし、お給金が貰えるようになりました。それでお礼です」と言うと後ろの護衛が袋を二つづつテーブルに置いた」
「えーーとお礼は少しで大部分がご馳走になった部分です。少ないけどどうぞ」と言うと頭を下げた。
二人は助けを求めるようにデイビスを見た。デイビスは二人にうなずいた。
二人は袋を手に取ると
「アリス様ありがとうございます」と言った。
それにアリスが答えようとした時、アレクが
「アリス、お礼が言えてよかったな。ゆっくり話したいだろうが、二人は忙しい」と言った。
二人はすぐに反応して
「そうでした。それではアリス様。無事で良かった」と言うと護衛が開けて、待っていたドア目指して急いだ。
部屋を出てしばらく歩いた二人は
「また貰ったな」「あぁこれどうする?」と言い合ったが
「アリス様が幸せなのはいいことだが、まわりがにぎやかになりそうだね」
「クレールだって。そこまで大物じゃなくて良かったのに」
と言うと笑い合った。
午前中の早い時間だった。
アリスたちのもとに知らせが来たが、アレクが
「待たせておけ、もてなしはいらんぞ」とだけ言って侍従を帰した。
「さて、アリス。バートとヘドラーとわたしたちは仕事の話。今後の仕事の話で会います。終わったら呼びますね」とデイビスが言った。
「二人とすぐに・・・はい。待ってますね」
「護衛を置いて行きます。それからスペーダ公爵からの連絡は無視していいですよ」
と言うとアレクと一緒に出て行った。
ラズベリーは
「アリス様、わたくしはこの辺で働いているものを少し話をして来ます」
と言うと出て行った。
アリスは体を動かしたいと思ったが、一人で散歩も良くないなと思って廊下を往復した後、部屋に戻って本を読んだが、二人に会えると思うと落ち着かなくて部屋をうろうろした。
アリスが廊下を往復している時、バートとヘドラーはアレクとデイビスに会っていた。
見知らぬ二人を見て怪訝な顔になる二人を見て、アレクとデイビスは丁寧に頭を下げて挨拶をした。二人が返そうとするのを手で制して椅子をすすめた。
「自己紹介させて下さい。わたしは、アレク・クレール。隣国の者です」
「え?クレール」と二人がつぶやくが、アレクはすぐに
「アリス嬢を拾いました。あのピクニックの日です」と言った。
二人は目を見開いてお互いを見てそれからアレクとデイビスを見て
「無事ってことですよね」「無事なんですね」と言った。
「はい、元気です。とっても元気です。お二人のことを話してくれました」とデイビスが答えると
「良かったぁ」「信じてました」「無事だと・・・だけど遠くに行く人みたいで・・・」
アレクは二人が落ち着いたのを見て
「アリス嬢から二人に助けられたと聞いてます。いろいろな面で助けられたと。ですが、とりあえず、仕事の話をしたいと思います。文官の手が足りないそうですので、隣国から人を呼びます。執務が滞ると民が困りますからね。お二人には彼らの上に立って指導していただきたいのです」と言った。
二人は驚いてまごついて
「その、我らでは身分が・・・」と言葉が返って来たがデイビスが
「身分はすぐに解決できます。大切なのは仕事ですから。民ですからね。
既にお二人の活躍が面白くない人が出てるようですね。妬みや嫉みは実力のない者がすることですので、放っておけばいいのですが、思いがけず足をすくわれることもありますので、排除しておくのが簡単で素早い解決ですね。
我々も気をつけておきますね。午後には先発隊が到着しますのでご指導をお願いします。お二人の部所は特別な執務室ですので、特務部と呼びます。部屋の用意が間に合いませんでしたので今までの場所で・・・王太子殿下も手伝うと思いますので仕事を・・・それなりに気遣いしてあげて下さい。とここまでですが、なにか質問がありますか?」と二人の顔を見た。
少し顔色が悪いが、さほど心配ないなとデイビスは医者の観点から見て、話をすすめた。
「護衛をつけます。目立たない護衛ですので気にしないで下さい」
「「は?!」」と言う反応に
「すぐに慣れますので。お二人は重要人物になったと言うことです。大丈夫すぐに慣れます」とデイビスはきょときょとと目を泳がせる二人にさりげなく言った。
「アリス嬢が会いたがっています。呼んでもいいですか?」
「え!」「あ!」と言うと二人は立ち上がりドアに向かった。
「アリス様」と言いながら。
すぐに侍従がドアを開けてアリスが入って来た。
アリスは二人に飛びつくとしっかりと抱きしめた。二人もアリスを抱きしめた。
「「よかった。よかった。無事とわかっていたけど」」二人はその言葉を繰り返しアリスはただただ二人を抱きしめた。
しばらくするとアレクが三人を離してこう言った。
「それでは話がすすまないだろ」
「そうでした。嬉しくて」とアリスが言うとアレクは二人を睨みつけた。気づかないアリスは
「椅子に」と言うと二人の手を取らんばかりにしたが、アレクはさっとアリスの手を取ると椅子にかけさせた。デイビスは
「どうぞ、さきほどのお席に」とすまし顔で言った。
二人が席につくとアリスが立ち上がり
「お礼を申し上げます。わたくしにお菓子とかパンとか買って下さいました。ピクニックの留守番のときも心配して下さいました。一晩中仕事の時も一緒にいて下さいました。なにもお礼が出来なくて悲しかったけど、わたくし、お給金が貰えるようになりました。それでお礼です」と言うと後ろの護衛が袋を二つづつテーブルに置いた」
「えーーとお礼は少しで大部分がご馳走になった部分です。少ないけどどうぞ」と言うと頭を下げた。
二人は助けを求めるようにデイビスを見た。デイビスは二人にうなずいた。
二人は袋を手に取ると
「アリス様ありがとうございます」と言った。
それにアリスが答えようとした時、アレクが
「アリス、お礼が言えてよかったな。ゆっくり話したいだろうが、二人は忙しい」と言った。
二人はすぐに反応して
「そうでした。それではアリス様。無事で良かった」と言うと護衛が開けて、待っていたドア目指して急いだ。
部屋を出てしばらく歩いた二人は
「また貰ったな」「あぁこれどうする?」と言い合ったが
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と言うと笑い合った。
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