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第31話 メアリー
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ラズベリーが戻って来るとアレクとデイビスは
「戻ってきたらスペーダ公爵たちと会いましょう。あっアリスはカーラさんと会うだけですね」と言うと、用事をすませて来ると出かけた。
「戻るまで散歩でもしてましょう。子馬が可愛いと聞きました。行ってみましょう」と言うラズベリーについてアリスは歩いた。
「王宮には毎日来てたけど、部屋にこもってばかりだったから、どこを見ても珍しいわ。こんなだったのね」と言うアリスを見るとラズベリーは泣きそうになったが、その気持ちを振り払い意識して歩幅を長くした。
「あら、お騒がせアリス」と声がした。
「王女殿下」とアリスは言うと礼をした。
「楽に」とメアリーは言うと
「どうして、わたしの手伝いをちゃんとしなかったの?」と低い声で言った。
「手伝いって手紙の代筆ですか? それはわたくしの仕事ではありません。自分で書くのがいやなら侍女に書かせればいいのでは?言葉は同じですよ」とアリスが答えた。
「わたしはあなたもあちらと親しくなればいいと思っていたのよ。なんだか、お兄様があなたが忙しくしていたって騒いでいるけど、たかが、侯爵の娘がやれるような仕事よ。おおげさなんだから・・・だから許してあげるわ。ちょっと書いて頂戴。簡単よ。それにお兄様が教えて下さったのよ。遅れてしまったお手紙が届くまでの時間が無駄だから、いっそ早めにあちらへ行けと。だから少しだけ書けばいいの」とメアリーが言った時アリスのなかに少しだけ残っていた恨みが悪意に変わり育ち始めた。
「なるほど、わたくしもあちらと親しくなる?それはやめておきますが、書いてみましょう。でも最後に王女殿下に確認します。宰相も国王陛下も、王妃殿下もあちらの国について説明なさいました。それは理解していますね。縁談は、王女たる者。王室に嫁ぐのが当たり前と言う殿下の希望にそってこちらから申し込みました。お間違いないですね」
「えぇそうよ。しつこいわね。わかっているわよ」メアリーが返事をすると
「それでは、書きます。ほんとうに簡単にですが」とアリスも答えた。
「まぁこれでアリスに汚名返上の機会をあげたってことね。感謝してね」とメアリーが尊大に答えると
そばに控えているラズベリーを一瞥するとそのまま背を向けて去って行った。
「メニリーフ王国に嫁ぐのよ」とアリスがラズベリーに囁いた。
「え? あそこへ?」とラズベリーが驚いた。
「えぇ、合う人は合うでしょうけど・・・メアリーは無理ね」とアリスが言った。
「わたくしも無理です」とラズベリーが首を振りながら言った。
「誰でもそうだと思うわ。だから聞いていたと思うけど、皆が説明したの。何度も説明したの」とアリスが言うと
「随分、確認するなと思ってましたが・・・それはそうですね」とラズベリーが言うと
アリスが芝居がかった口調で
「説明は 彼女の耳を 素通りよ。
そんなこと ある理由ないわ ばかばかしい
メアリーはこんな反応なの。
手紙だってこの様式で書かなくても、この国の様式でいいのよ。あちらもご存知だから、面倒だからってことみたいなの。わたくしはもう関係ないけど・・・意地悪してやりたくなったの」と言うと
「それくらい当たり前でしょう。気にすることは、ないですよ。さっ行きましょう」とラズベリーは先に立った。
「おぉ可愛い・・・」子馬はしっかりと立って馬房の真ん中に立ってアリスを見ていた。母馬はやや離れたところから、やはりアリスを見ていた。
「おいで」とアリスがため息まじりで呼びかけると子馬はしっかりした足取りで近寄って来た。
まだ歯がはえていない子馬のまえに腕を出すと、歯のない口で吸い付いてきた。
歯が生えてしまうとこれは出来ない。いい時に来た。
「美味しいですか」と言うとその珍しい薄い青の目を見た。
子馬はアリスを見ながらチュパチュパさせた。っと母馬が近寄って来た。
アリスは母馬のまえに握りこんだ手を見せた。その手をそっと動かして母馬の頬を撫でた。
嫌がらないのがわかると手のひらで頬を撫でた。母馬はアリスに頬を触らせたまま、子馬の頭を鼻の先で撫でた。
アリスは子馬の頬も撫でた。母子を撫でながらアリスが
「いい子ね」「可愛いね「美人になるよ」「そのお目目でなにをみるの」とか言っていると
「アリス様。戻る時間です。明日また来ましょう」とラズベリーが声をかけた。
「またねーーー」と馬に声をかけた時、アリスのなかのもやもやは消えてメアリーの手紙に意地悪をするのはやめようと思った。彼女が不幸になったとしても気にしないけど、不幸に向かう背を押すのはやめよう。
「戻ってきたらスペーダ公爵たちと会いましょう。あっアリスはカーラさんと会うだけですね」と言うと、用事をすませて来ると出かけた。
「戻るまで散歩でもしてましょう。子馬が可愛いと聞きました。行ってみましょう」と言うラズベリーについてアリスは歩いた。
「王宮には毎日来てたけど、部屋にこもってばかりだったから、どこを見ても珍しいわ。こんなだったのね」と言うアリスを見るとラズベリーは泣きそうになったが、その気持ちを振り払い意識して歩幅を長くした。
「あら、お騒がせアリス」と声がした。
「王女殿下」とアリスは言うと礼をした。
「楽に」とメアリーは言うと
「どうして、わたしの手伝いをちゃんとしなかったの?」と低い声で言った。
「手伝いって手紙の代筆ですか? それはわたくしの仕事ではありません。自分で書くのがいやなら侍女に書かせればいいのでは?言葉は同じですよ」とアリスが答えた。
「わたしはあなたもあちらと親しくなればいいと思っていたのよ。なんだか、お兄様があなたが忙しくしていたって騒いでいるけど、たかが、侯爵の娘がやれるような仕事よ。おおげさなんだから・・・だから許してあげるわ。ちょっと書いて頂戴。簡単よ。それにお兄様が教えて下さったのよ。遅れてしまったお手紙が届くまでの時間が無駄だから、いっそ早めにあちらへ行けと。だから少しだけ書けばいいの」とメアリーが言った時アリスのなかに少しだけ残っていた恨みが悪意に変わり育ち始めた。
「なるほど、わたくしもあちらと親しくなる?それはやめておきますが、書いてみましょう。でも最後に王女殿下に確認します。宰相も国王陛下も、王妃殿下もあちらの国について説明なさいました。それは理解していますね。縁談は、王女たる者。王室に嫁ぐのが当たり前と言う殿下の希望にそってこちらから申し込みました。お間違いないですね」
「えぇそうよ。しつこいわね。わかっているわよ」メアリーが返事をすると
「それでは、書きます。ほんとうに簡単にですが」とアリスも答えた。
「まぁこれでアリスに汚名返上の機会をあげたってことね。感謝してね」とメアリーが尊大に答えると
そばに控えているラズベリーを一瞥するとそのまま背を向けて去って行った。
「メニリーフ王国に嫁ぐのよ」とアリスがラズベリーに囁いた。
「え? あそこへ?」とラズベリーが驚いた。
「えぇ、合う人は合うでしょうけど・・・メアリーは無理ね」とアリスが言った。
「わたくしも無理です」とラズベリーが首を振りながら言った。
「誰でもそうだと思うわ。だから聞いていたと思うけど、皆が説明したの。何度も説明したの」とアリスが言うと
「随分、確認するなと思ってましたが・・・それはそうですね」とラズベリーが言うと
アリスが芝居がかった口調で
「説明は 彼女の耳を 素通りよ。
そんなこと ある理由ないわ ばかばかしい
メアリーはこんな反応なの。
手紙だってこの様式で書かなくても、この国の様式でいいのよ。あちらもご存知だから、面倒だからってことみたいなの。わたくしはもう関係ないけど・・・意地悪してやりたくなったの」と言うと
「それくらい当たり前でしょう。気にすることは、ないですよ。さっ行きましょう」とラズベリーは先に立った。
「おぉ可愛い・・・」子馬はしっかりと立って馬房の真ん中に立ってアリスを見ていた。母馬はやや離れたところから、やはりアリスを見ていた。
「おいで」とアリスがため息まじりで呼びかけると子馬はしっかりした足取りで近寄って来た。
まだ歯がはえていない子馬のまえに腕を出すと、歯のない口で吸い付いてきた。
歯が生えてしまうとこれは出来ない。いい時に来た。
「美味しいですか」と言うとその珍しい薄い青の目を見た。
子馬はアリスを見ながらチュパチュパさせた。っと母馬が近寄って来た。
アリスは母馬のまえに握りこんだ手を見せた。その手をそっと動かして母馬の頬を撫でた。
嫌がらないのがわかると手のひらで頬を撫でた。母馬はアリスに頬を触らせたまま、子馬の頭を鼻の先で撫でた。
アリスは子馬の頬も撫でた。母子を撫でながらアリスが
「いい子ね」「可愛いね「美人になるよ」「そのお目目でなにをみるの」とか言っていると
「アリス様。戻る時間です。明日また来ましょう」とラズベリーが声をかけた。
「またねーーー」と馬に声をかけた時、アリスのなかのもやもやは消えてメアリーの手紙に意地悪をするのはやめようと思った。彼女が不幸になったとしても気にしないけど、不幸に向かう背を押すのはやめよう。
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