気がついたら無理!絶対にいや!

朝山みどり

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第48話 夕食会

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アリス目線

その日の夕食は、ライラに教えて貰って厨房にお邪魔してとることにした。

量はたっぷり、味も満点。厨房は綺麗に整理されて居心地がいい。わたくしの知っている王家の厨房より設備は古びているが、きれいに磨かれて大切に受け継がれたとわたくしでもわかる。

海の一族の厨房は・・・あまり覚えていない・・・なんか馬鹿にされて心配されて・・・いいとこだけど。

ここで食べておしゃべりするのは楽しい生活だろう。メアリーはここの生活が嫌でたまらないようだけど・・・今夜も部屋で食事をしている。まぁメアリーの好みはわからない。

アレク様とデイビスも、自分で盛り付ける方式を喜んで好きなものをお代わりしている。

男性は先に食事をさせて後でゆっくりの国なので男性はこの二人だけだ。侍女に囲まれて嬉しそうにして・・・い・・る・・・

なに?嬉しそうって・・・

そこにラズベリーの声が聞こえて来た。

「おば様たちってどういう人なんですか?」とラズベリーがティナさんに聞いている。
わたくしはそちらの輪に入った。アレク様もデイビスもさりげなく近寄って来た。侍女に囲まれたままで・・・

「あぁ、本当に伯母様と叔母様よ。先代、先々代は夫人が多くてね、子供がたくさんいたから」
「そうなんですか」
「食べさせているだけ。趣味で畑をやってる人もいるけど、食べてしゃべっているだけ・・・これから長いってこともないから・・・」とティナさんが言うとラズベリーは
「なるほど、教えていただいてありがとうございます」と言った。

その後ラズベリーは無難にお料理を褒めて会話を続けていた。

わたくしがデザートのコンポートをお代わりしようかどうしようかと悩んでいると

アレク様が

「大変、美味しくて楽しい夕食でした。その・・・とても楽しくて美味しかったです」と常にない口調とちょっと間違った挨拶を始めた。

「多大な心遣いに感謝する。明日は改めて挨拶をせずに出発する。世話になった」とそれなりに終わり、わたくしとデイビスは軽く頭を下げ、ラズベリーは深く頭を下げた。

◇◇◇
パール目線

彼らが出て行くとわたしたちも解散した。

「「どう思う?」」同時に同じことを口にした。

「気がついても口にしないし、気がついていない」とティナは言った。

「そうね。それにメアリーが仕事してくれるでしょう」

「ライラは残って欲しかったけど」とティナが残念そうに言ったが

「その気はあったみたいだけど、ラズベリーが囲い込んだから」と言うと

「そういうものなのね」とティナが暗くなったので

「さて、たくさん布を貰ったから明日から縫い物よ。あの人たちの最後の服になるでしょうから、がんばって作りましょう」と言うと

「そうでした。それにメアリーが使っていた服を置いていったから、あれを補強しなくては。いやあれはもういいわね」とティナが言うので

「そうよ。もういいわ。処分しましょ」とわたくしは答えた。


ティナと別れて部屋に戻りながら、外の世界を思い浮かべた。


わたしは船から落とされた。背中を押した手を覚えている。妹だ。

死んだと思ったらベッドに寝ていた。拾った人はわたしがお城で働けるようにした。

別世界だった。とても気楽だった。ここの価値観が好きだ。

メアリーがここに来ると知って驚いた。最近ここの王室へ嫁ぎたいと言う打診が増えてわずらわしい。

わたしが書いた手紙に恐れをなしてすぐに取り消されるが・・・

でもメアリーは、的確に返事を書いて来る。それどころか予定を前倒しにしてやって来るとか・・・

だが、実際はなんというか・・・いびってみたが、弱すぎて手応えがない。ライラがお世話するし・・・

迎えの船を手配していると、別口で迎えが来た。

拍子抜けだが、これでいいだろう。メアリーがこの国の恐ろしさを広めてくれるだろう。

でも、もう少ししたらメアリーの部屋の前の庭は猫たちの出会いの場になるんだったのに!

彼女が切れるのを見られなかったのは、少し残念!!

ねこちゃんのお世話をさせてあげたのに。ふふふっ

明日もいつと同じ日になるだろう。いや、ちょっと雨が欲しいかな・・・

嵐過ぎ なぜか欲しいな 夜の雨 

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