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第65話 葬列
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ライラたちはすぐに出発した。わたくしとアレクはスペリオル皇国の城に入らずに野営のテントで過ごした。
「国が滅びるって言うけど、王族が交代するだけだね」とアレクが言った。
「えぇ、交代の仕方はいろいろだけど」とわたくしが言えば
「アリスに辛い場面を見せてしまったな」とアレクはわたくしを抱きしめた。
「いいえ、とっくに覚悟をしてます。海の一族のことを知った時に、覚悟しました。
王国のあの人たちは上に立つ意味がわかってなかった。一人一人別々にと話せば結果は違っていたかも知れません。だけど彼らは全員が一つだった。冷たいでしょうが労力をかける気が・・・両親のことも、意地を張っているのではなく・・・父は愛していたと言ってますが、なんと例えれば・・・そうですね。なにかを分ける時に最初にいいのをさっと自分がとってですね。えーーと平等に分けようって言うような感じですね。あの人たちと過ごす時間を確保してそれから、余った時間でアリスーーーって言ってるんですよ。それに兄と話したんですよ。兄もピクニックの時の両親はおかしいと子供心に感じていたそうなんです。でもわたくしが欠席していたことは気にならなかったと言うか、気がつかなったそうですが・・・とにかくピクニックの時の両親は別世界に行っていたと兄は話してます」と言うと
「アリスは思ったより大人だったね。ちょっと寂しいような」と言うので、いつものように
「もう、アレク。成長してます。するに決まってるでしょ。アレクのそばにいるんですもの。尊敬してます。目標です」とぎゅっと抱きしめながら言った。
「アリス、ちょっと仕返しをしてやるつもりだったんだ。それがこんな事態になって」
「わかってます。だけど少し休みたいですね」
「ビザンに行こう。天の山に行こう」
「楽しみにしてます」と言って、背伸びしてちょっと唇をついばんだ。
アレクはわたくしが、王族の死に責任を感じてるって思ってる。そしてわたくしを癒したいと、必要ないのよ、本当に。
だから、わたくしは甘える。王族の死で傷ついたふりをする。わたくしを慰めることでアレクも癒される。それに天の山に行きたい気持ちは本当だ。
すぐに行けないことはわかっている。だけどそれは口にしない。王家の人たちの埋葬。この国をどう管理するか・・・決めることはたくさんある。
だけど、今は少しだけ二人で過ごしたい。
◇◇◇
王座のまわりで亡くなった人たちは、王族にしては簡素な柩に収められた。
見送るのは民とわたくしたち、滅ぼした側の人間。民に紛れて貴族がいるようだが、咎めることはしない。
正直、わたくしは疑っている。あの死体はほんとうに王族なのかと・・・
国に潜り込ませた間者はどう言っているのだろうか?アレクは報告を受けているだろうが、わたくしになにも言わない。
だから、勝手に想像を巡らす。なぜ、我が子を残したの?幸せな一生になれないのはわかっているのに、大事な子を残したの?
人生は美しい、皆の分まで生きて、そんな甘い世界は、あの子にはない。
あの子の役割は証人。死体が王族だと思わせるための証人。
ふいに隣りのアレクが手をぎゅっと握って来た。もう、なによ!現実に戻ってしまったじゃない。
「国が滅びるって言うけど、王族が交代するだけだね」とアレクが言った。
「えぇ、交代の仕方はいろいろだけど」とわたくしが言えば
「アリスに辛い場面を見せてしまったな」とアレクはわたくしを抱きしめた。
「いいえ、とっくに覚悟をしてます。海の一族のことを知った時に、覚悟しました。
王国のあの人たちは上に立つ意味がわかってなかった。一人一人別々にと話せば結果は違っていたかも知れません。だけど彼らは全員が一つだった。冷たいでしょうが労力をかける気が・・・両親のことも、意地を張っているのではなく・・・父は愛していたと言ってますが、なんと例えれば・・・そうですね。なにかを分ける時に最初にいいのをさっと自分がとってですね。えーーと平等に分けようって言うような感じですね。あの人たちと過ごす時間を確保してそれから、余った時間でアリスーーーって言ってるんですよ。それに兄と話したんですよ。兄もピクニックの時の両親はおかしいと子供心に感じていたそうなんです。でもわたくしが欠席していたことは気にならなかったと言うか、気がつかなったそうですが・・・とにかくピクニックの時の両親は別世界に行っていたと兄は話してます」と言うと
「アリスは思ったより大人だったね。ちょっと寂しいような」と言うので、いつものように
「もう、アレク。成長してます。するに決まってるでしょ。アレクのそばにいるんですもの。尊敬してます。目標です」とぎゅっと抱きしめながら言った。
「アリス、ちょっと仕返しをしてやるつもりだったんだ。それがこんな事態になって」
「わかってます。だけど少し休みたいですね」
「ビザンに行こう。天の山に行こう」
「楽しみにしてます」と言って、背伸びしてちょっと唇をついばんだ。
アレクはわたくしが、王族の死に責任を感じてるって思ってる。そしてわたくしを癒したいと、必要ないのよ、本当に。
だから、わたくしは甘える。王族の死で傷ついたふりをする。わたくしを慰めることでアレクも癒される。それに天の山に行きたい気持ちは本当だ。
すぐに行けないことはわかっている。だけどそれは口にしない。王家の人たちの埋葬。この国をどう管理するか・・・決めることはたくさんある。
だけど、今は少しだけ二人で過ごしたい。
◇◇◇
王座のまわりで亡くなった人たちは、王族にしては簡素な柩に収められた。
見送るのは民とわたくしたち、滅ぼした側の人間。民に紛れて貴族がいるようだが、咎めることはしない。
正直、わたくしは疑っている。あの死体はほんとうに王族なのかと・・・
国に潜り込ませた間者はどう言っているのだろうか?アレクは報告を受けているだろうが、わたくしになにも言わない。
だから、勝手に想像を巡らす。なぜ、我が子を残したの?幸せな一生になれないのはわかっているのに、大事な子を残したの?
人生は美しい、皆の分まで生きて、そんな甘い世界は、あの子にはない。
あの子の役割は証人。死体が王族だと思わせるための証人。
ふいに隣りのアレクが手をぎゅっと握って来た。もう、なによ!現実に戻ってしまったじゃない。
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