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食事会 2
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お祖母様のその言葉を聞きながらクレアが先ず思ったのは
『お祖母様、喋るんだ』いつも黙っていて、たまにクレアに目を向けるがすぐに目をそらす。いや、たまにクレアの後ろにある家具をみるがすぐに他の物を見る人だったのだ。
『別にお母様を愛していたわけでもなさそう』とも思った。そして引き続きお祖母様の講演会を特等席で見物した。
「エマごとき、どうでもいいが」とお祖母様が言うと
「奥様あんまりです。みなさんの教育を引き受けて尽くして参りました」
「教育は家庭教師がやっただろう?」
「わたしはみなさんに愛情を」をエマが言うと
「愛情?なんだそれはお前の愛情に価値があると思っているのか?」とお祖母様が真顔で言うと
「リチャード、リズ、ブライアン。来なさい」
「お前たちはエマに育ててもらった。愛情深く育ててもらった。間違いないな?」
「「「はい、お母様」」」と三人はうなづいたが、
「先ほどからの騒ぎですので、途中からは耳にしておりました。見てもおりました」とリチャードが言うと
「聞いていたか?ではエマは大事か?」
三人は顔を見合わせていたが、
「単純に答えれば、いいえ、です」とリチャードが答えれば
「お兄様、それでは分かりにくいです」
「大事にしてもらったと思っております。お母様は母親業がへたくそだといつの頃でしょうか?子供の頃、気づきました」
「たしかに、そうだね。リズ」
「ですから、親に愛情を期待できないと思いました。充分なことはしていただきました。でも今にして思うにわたしは贔屓の引き倒しをしてもらいたかったのだと思います。それをエマが与えてくれました。子供のわたしはそれが嬉しかった。エマが好きでした。でも子供だったわたしも成長しました。言うなればエマはおもちゃのひとつです。大事だったお人形もままごと道具もいつしか大切な物ではなくなりました。それはエマも同じです」
「・・・・・・・」皆、無言で近くの者と顔を見合わせていた。
「お姉様、上手に表現なさいました。そうです。エマは思い出です。そしてわたしはエマはお母様が貸してくださったおもちゃと・・・・お母様に返したつもりでした」
「別にいらんが・・・・」
すると客の一人が
「一言よろしいですかどんなに大事なおもちゃでも、怪我をさせるものはいけません。クレアさんの一件はプリングル一族に怪我をさせたようなものです」
その意見は客にいろんな思いをさせたようだが、プリングル一族は単純に考える。
「エマは返しましょう」とブライアンが言うと
「坊ちゃま」とエマが悲鳴をあげた。
「エマが大事なのはナタリーだよね」とリチャードが言うと
「そうよ、ナタリーが大事」とリズが言うと
「お前たちなにを言っている。エマはナタリーをそのへんの者扱いしてるじゃないか。子供に殺されたとか・・・
可哀想とか・・・・プリングルがそんなになると思うとか、エマはプリングルに置けない。だいたい、ナタリーはジャック・ルベールと結婚したんだ。あの男を尻に敷いていた。
結婚するときの騒ぎようを覚えているだろう。とびっきりのプリングルだ。
あのナタリーを貶めるような女はいらないよ」
くずれおちたエマをリチャードに合図された使用人が連れて出た。
「それからエマに言われたからとか、腑抜けなことを言ったお前たち、今後わたしに顔を見せるな。エマごときにあやつられるとは情けない。一族ではない」
「お祖母様」とルビーがすがりつこうとするとリズの合図を受けた使用人がルビーを抱えて出て行った。
他の使用人が合図がなくとも、ジェーンとマチルダを連れて出て行った。
『お祖母様、喋るんだ』いつも黙っていて、たまにクレアに目を向けるがすぐに目をそらす。いや、たまにクレアの後ろにある家具をみるがすぐに他の物を見る人だったのだ。
『別にお母様を愛していたわけでもなさそう』とも思った。そして引き続きお祖母様の講演会を特等席で見物した。
「エマごとき、どうでもいいが」とお祖母様が言うと
「奥様あんまりです。みなさんの教育を引き受けて尽くして参りました」
「教育は家庭教師がやっただろう?」
「わたしはみなさんに愛情を」をエマが言うと
「愛情?なんだそれはお前の愛情に価値があると思っているのか?」とお祖母様が真顔で言うと
「リチャード、リズ、ブライアン。来なさい」
「お前たちはエマに育ててもらった。愛情深く育ててもらった。間違いないな?」
「「「はい、お母様」」」と三人はうなづいたが、
「先ほどからの騒ぎですので、途中からは耳にしておりました。見てもおりました」とリチャードが言うと
「聞いていたか?ではエマは大事か?」
三人は顔を見合わせていたが、
「単純に答えれば、いいえ、です」とリチャードが答えれば
「お兄様、それでは分かりにくいです」
「大事にしてもらったと思っております。お母様は母親業がへたくそだといつの頃でしょうか?子供の頃、気づきました」
「たしかに、そうだね。リズ」
「ですから、親に愛情を期待できないと思いました。充分なことはしていただきました。でも今にして思うにわたしは贔屓の引き倒しをしてもらいたかったのだと思います。それをエマが与えてくれました。子供のわたしはそれが嬉しかった。エマが好きでした。でも子供だったわたしも成長しました。言うなればエマはおもちゃのひとつです。大事だったお人形もままごと道具もいつしか大切な物ではなくなりました。それはエマも同じです」
「・・・・・・・」皆、無言で近くの者と顔を見合わせていた。
「お姉様、上手に表現なさいました。そうです。エマは思い出です。そしてわたしはエマはお母様が貸してくださったおもちゃと・・・・お母様に返したつもりでした」
「別にいらんが・・・・」
すると客の一人が
「一言よろしいですかどんなに大事なおもちゃでも、怪我をさせるものはいけません。クレアさんの一件はプリングル一族に怪我をさせたようなものです」
その意見は客にいろんな思いをさせたようだが、プリングル一族は単純に考える。
「エマは返しましょう」とブライアンが言うと
「坊ちゃま」とエマが悲鳴をあげた。
「エマが大事なのはナタリーだよね」とリチャードが言うと
「そうよ、ナタリーが大事」とリズが言うと
「お前たちなにを言っている。エマはナタリーをそのへんの者扱いしてるじゃないか。子供に殺されたとか・・・
可哀想とか・・・・プリングルがそんなになると思うとか、エマはプリングルに置けない。だいたい、ナタリーはジャック・ルベールと結婚したんだ。あの男を尻に敷いていた。
結婚するときの騒ぎようを覚えているだろう。とびっきりのプリングルだ。
あのナタリーを貶めるような女はいらないよ」
くずれおちたエマをリチャードに合図された使用人が連れて出た。
「それからエマに言われたからとか、腑抜けなことを言ったお前たち、今後わたしに顔を見せるな。エマごときにあやつられるとは情けない。一族ではない」
「お祖母様」とルビーがすがりつこうとするとリズの合図を受けた使用人がルビーを抱えて出て行った。
他の使用人が合図がなくとも、ジェーンとマチルダを連れて出て行った。
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