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01 夕暮れの神殿
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カミーユは床を磨いていた。今日一日患者が出入りした部屋の汚れをきれいにしていた。本当なら雑用係がやる仕事だが、いつのまにか、カミーユがひとりでやるようになっていた。
カミーユは貧乏子爵の五番目の娘だ。聖女として教会にはいるとき家族は別れを惜しむ振りをしながらも、食い扶持が減ることや、部屋を広く使えることを喜んでいた。
従って聖女の力がなくなったカミーユだが、実家に頼るという選択肢はなかった。
カミーユは十二歳で聖女の力が目覚めた。魔力の多さと本人の努力によって筆頭聖女となり第三王子のパーシーと婚約したのは十六歳の時だ。
第三王子は金髪、碧眼で初めて会ったときカミーユは、胸がときめきこの人の為に精一杯つくそうと思った。
王宮に呼ばれてバラの庭園でお茶をしたり、夜会にエスコートして貰ったり幸せだった。
それなのに、婚約式のドレスを作っている時、カミーユは倒れた。
高熱で苦しんでいる時、パーシーは手を握ってはげましてくれた。
そして熱が下がった時カミーユから魔力が抜けていた。
熱のせいかと様子をみたが魔力が満ちることはなかった。湧き出てくるのを感じるのだが、それはどこかに行ってしまうのだ。
魔力の少ない聖女、せいぜい腰痛を治せる程度。それも一日に一人か二人。ましてなんの後ろ盾もない聖女の待遇は、瞬く間に落ちて行った。
婚約式はカミーユの身体を考慮して延期された。
掃除が終わる頃オリビアの侍女のエメが部屋にやって来た。
「カミーユまだ掃除が終わってないの。ほんとうに愚図ね。まぁいいわ王子殿下がいらしてるの。オリビア様のお部屋でおもてなししているから・・・・」と言うなりエメは出て行った。
「来てるからすぐ来てですか?それとも来てるから顔を合わせないように来るな!ですか?」とカミーユは小声で言った。
誰も聞いている者がいないそのつぶやきを、夕日に輝く壁が吸い込んだ。
とぼとぼゆっくりとカミーユは歩いて、オリビアの部屋にやって来た。
貧乏子爵家生まれのカミーユに対してオリビアは金持ち伯爵のお嬢様だ。うわさに寄ると侯爵へあがると言われている。
「遅くなりました」と頭を下げて部屋にはいると誰もなにも言わずにじっとカミーユを見た。
『今日はこの手で来たのね』とカミーユは思いながら真っ直ぐを意識して立っていた。
オリビアは表情で驚き呆れたと表現していた。
たまりかねたパーシーが
「ご苦労だったね。治癒で役立てない分雑用をやるなんて・・・・その・・・・さすがだ・・・・疲れただろう」
「まぁパーシー・・・いえ・・・わたしとした事がつい癖でパーシーなんて・・・・王子殿下お優しい」
「まぁ、婚約者だし・・・そうだ・・・送って行くよ」とパーシーは席を立つとカミーユに手を差し出した。
一瞬ためらったがカミーユはその手を取った。二人が部屋を出ていくのをオリビアは無表情で見ていたが、ドアが閉まると顔を歪めて
「あなたたちなにをぼさっとしていたの。だいたいカミーユを部屋に入れるなんて何を考えてるの」と言い出した。
『自分が連れてくるようにしたくせに』とじっと下を向いていた侍女は嵐が通り過ぎるのを待っていた。
カミーユは貧乏子爵の五番目の娘だ。聖女として教会にはいるとき家族は別れを惜しむ振りをしながらも、食い扶持が減ることや、部屋を広く使えることを喜んでいた。
従って聖女の力がなくなったカミーユだが、実家に頼るという選択肢はなかった。
カミーユは十二歳で聖女の力が目覚めた。魔力の多さと本人の努力によって筆頭聖女となり第三王子のパーシーと婚約したのは十六歳の時だ。
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王宮に呼ばれてバラの庭園でお茶をしたり、夜会にエスコートして貰ったり幸せだった。
それなのに、婚約式のドレスを作っている時、カミーユは倒れた。
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そして熱が下がった時カミーユから魔力が抜けていた。
熱のせいかと様子をみたが魔力が満ちることはなかった。湧き出てくるのを感じるのだが、それはどこかに行ってしまうのだ。
魔力の少ない聖女、せいぜい腰痛を治せる程度。それも一日に一人か二人。ましてなんの後ろ盾もない聖女の待遇は、瞬く間に落ちて行った。
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「来てるからすぐ来てですか?それとも来てるから顔を合わせないように来るな!ですか?」とカミーユは小声で言った。
誰も聞いている者がいないそのつぶやきを、夕日に輝く壁が吸い込んだ。
とぼとぼゆっくりとカミーユは歩いて、オリビアの部屋にやって来た。
貧乏子爵家生まれのカミーユに対してオリビアは金持ち伯爵のお嬢様だ。うわさに寄ると侯爵へあがると言われている。
「遅くなりました」と頭を下げて部屋にはいると誰もなにも言わずにじっとカミーユを見た。
『今日はこの手で来たのね』とカミーユは思いながら真っ直ぐを意識して立っていた。
オリビアは表情で驚き呆れたと表現していた。
たまりかねたパーシーが
「ご苦労だったね。治癒で役立てない分雑用をやるなんて・・・・その・・・・さすがだ・・・・疲れただろう」
「まぁパーシー・・・いえ・・・わたしとした事がつい癖でパーシーなんて・・・・王子殿下お優しい」
「まぁ、婚約者だし・・・そうだ・・・送って行くよ」とパーシーは席を立つとカミーユに手を差し出した。
一瞬ためらったがカミーユはその手を取った。二人が部屋を出ていくのをオリビアは無表情で見ていたが、ドアが閉まると顔を歪めて
「あなたたちなにをぼさっとしていたの。だいたいカミーユを部屋に入れるなんて何を考えてるの」と言い出した。
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