魔力がなくなって冷遇された聖女は、助けた子供に連れられて

朝山みどり

文字の大きさ
11 / 19

11 開放

しおりを挟む
レイに手を取られて門に向かう。言いたい事、聞きたい事がたくさんあるが、今はまだ・・・

家に着いて、ドアを閉めるとレイが抱きついて来た。

「カミーユ無事でよかった・・・なんだかいやな感じがしてカミーユの所に向かったんだ・・・間に合って良かった」

「ありがとう。レイのおかげで助かったわ」

「それで気が付いたらこんなに大きくなってた・・・これからはもっとカミーユを守れるね」とレイが言うが

「レイ、レイはレイだけど、こんなに大きくなった。だから子供のように抱きつくのはよくないわ」

「え?カミーユ・・・僕・・・」

「わかるわね。こういうのは獣人によくある事かしら?」

「知らない・・・だって僕は子供だし」

「そうよね。ごめんなさい。責めてるんじゃないのよ。だけど、けじめは大事。それと駆けつけてくれて、助けてくれてありがとう」

「どういたしまして」とレイはいつもの笑顔で答えてくれた。


簡単な食事を済ませると、レイはやはり疲れていたのかすぐに寝室に引っ込んだ。わたしも疲れたので早めにベッドに入った。


早めにベッドに入ったせいか、早く目が覚めた。

台所で物音がする。レイも目が覚めたのかなと見に行くと、レイが朝食を作っていた。

「おはよう、カミーユ」と振り向いたレイになぜかドキリとした。



神殿に行くとすぐに王城に行くように言われて、馬車が待っていた。

「王城って昨日の件よね。大丈夫よ。レイ、わたしにまかせて」とレイを励ましながら馬車に揺られた。

馬車から降りると護衛の騎士が待っていて、わたしとレイは取り囲まれて歩いた。

レイも含めて皆、大きいのでわたしはただ、背中を見て歩くしかなかった。

力づけるようにレイの手を握った。レイはわたしを力づけようとぎゅっと握って来た。レイに励まされた。

案内された部屋はすでに昨日会った、第二王子殿下ジェラルド様が待っていた。

礼を取りすすめられた椅子に座る。レイは座ろうかどうしようかと迷っていたが、

「レイモンドも座りなさい」とジェラルド様がおっしゃった。


「カミーユ殿、魔力が枯れたと言う事で、パーシーとの婚約が解消されたそうだね。まだ正式な発表はないが、王家も神殿も承知している。それなのに神殿に居座っていると悪口を言われて・・・わかっておるレイモンド。最後まで聞け」とジェラルド様はレイモンドを宥めると、

「居座っていると非難する割に君をそばに置いて貶めている。それでこれを用意した」

すぐに侍従が書類をわたしの前に置いた。


それには侍従のレイモンドとわたしを神殿から追放するという書類だ。

開放して下さると言うの?二枚目には王都のはずれにある土地と家を責任を持って管理するようにと書いてある。

すべての責任(管理権・所有権)はカミーユにある。と追記してある。

ふふふ、誤解するとでも思ったのかしら?一応、レイモンドにも見せた。

「おぉカミーユ、二人で暮らせますね。僕、土地を耕しますから、野菜とか薬草を植えましょう。あの女どもの会わないのは」とレイモンドが言い出した所で、

「レイ」と止めた。

「まぁ良い。ちゃんと管理しているか、監視しているからな・・・監視するものが、同行するからすぐに出発するように」

こう言うとジェラルド様は席を立ち部屋を出て行かれた。

代わりに強そうな騎士が三人入って来た。

「我々が同行します。先に神殿に手続きに行きましょう」と言う事で、わたしとレイは馬車。三人は馬で神殿に行った。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか

あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。 「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」 突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。 すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。 オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……? 最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意! 「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」 さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は? ◆小説家になろう様でも掲載中◆ →短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

【 完 結 】言祝ぎの聖女

しずもり
ファンタジー
聖女ミーシェは断罪された。 『言祝ぎの聖女』の座を聖女ラヴィーナから不当に奪ったとして、聖女の資格を剥奪され国外追放の罰を受けたのだ。 だが、隣国との国境へ向かう馬車は、同乗していた聖騎士ウィルと共に崖から落ちた。 誤字脱字があると思います。見つけ次第、修正を入れています。 恋愛要素は完結までほぼありませんが、ハッピーエンド予定です。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

姉妹差別の末路

京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します! 妹嫌悪。ゆるゆる設定 ※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済

(完結)お荷物聖女と言われ追放されましたが、真のお荷物は追放した王太子達だったようです

しまうま弁当
恋愛
伯爵令嬢のアニア・パルシスは婚約者であるバイル王太子に突然婚約破棄を宣言されてしまうのでした。 さらにはアニアの心の拠り所である、聖女の地位まで奪われてしまうのでした。 訳が分からないアニアはバイルに婚約破棄の理由を尋ねましたが、ひどい言葉を浴びせつけられるのでした。 「アニア!お前が聖女だから仕方なく婚約してただけだ。そうでなけりゃ誰がお前みたいな年増女と婚約なんかするか!!」と。 アニアの弁明を一切聞かずに、バイル王太子はアニアをお荷物聖女と決めつけて婚約破棄と追放をさっさと決めてしまうのでした。 挙句の果てにリゼラとのイチャイチャぶりをアニアに見せつけるのでした。 アニアは妹のリゼラに助けを求めましたが、リゼラからはとんでもない言葉が返ってきたのでした。 リゼラこそがアニアの追放を企てた首謀者だったのでした。 アニアはリゼラの自分への悪意を目の当たりにして愕然しますが、リゼラは大喜びでアニアの追放を見送るのでした。 信じていた人達に裏切られたアニアは、絶望して当てもなく宿屋生活を始めるのでした。 そんな時運命を変える人物に再会するのでした。 それはかつて同じクラスで一緒に学んでいた学友のクライン・ユーゲントでした。 一方のバイル王太子達はアニアの追放を喜んでいましたが、すぐにアニアがどれほどの貢献をしていたかを目の当たりにして自分達こそがお荷物であることを思い知らされるのでした。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 全25話執筆済み 完結しました

処理中です...