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28 披露の園遊会
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ニック侯爵夫妻と話していた、アーデリアは、これはいやだと思って立ち上がった、
「わたくしはお役に立てないと思います」こう言うと暇の挨拶をした。
アレクの元に戻りながら、二人の話を思い返した。
「前の婚約者のメアリーさんは、わたしたち家族が絆を取り戻せるように、気を使ってくれました。両家族でお茶会とか、お食事とか、アーデリアさんも同じ事が出来ると思うんで、お願い出来ませんか?」
これだけの事を二人が代わる代わる、言葉を変えて言って来たのだ。
アーデリア自身が家族に期待せずにここまで来ている。冷たいようだが、この問題にはかかわりたくない。
第一、アレクだって会場に来ている。直接話せばいいのだ。
そう思いながら、歩いていると、なにやら騒いでいるわけではないのに、異様な雰囲気で、アーデリアは足を止めた。
すると、なにやら貫禄があって、品のいい初老の男性が、怒りの気配を身にまとい、追い越して行った。
「奥様はおかしなことを」「ニック公爵にご迷惑を」「恥をかかすなと」などと言う言葉が耳に入った。
アーデリアは止めていた足を再び動かして、一行の、あとを追った。
するとアレクに腕を掴まれてた、女性が・・・・メアリーさん?・・・がこう言っていた。
「ですから、アレク。結婚してるのを気にしてるなら、別れたらいいんですよ。わたくしも別れますから」
そしてそばに来た、初老の男性に向かって
「あなた、いい所に、ちょうどよかった。離縁しましょう」と言った。
周りは一瞬、ざわっとなったが、すぐに静かになり、元辺境伯がなんと答えるか、注目した。
彼は先ず、アレクが腕を持っていた、妻を自らの腕で拘束した。
「公爵閣下、すまない」とそっとささやいた。
それから、元辺境伯はメアリーを連れて、あっと言う間に会場を出て行った。彼は終始無言だった。
後に残った従者は優雅に礼をすると、
「このようなおめでたい席でつまらない騒ぎを起こしてしまい、お恥ずかしい事です。勇者の皆様、ご列席の皆様に後日のお詫びの品を送らせていただきます」
そして、その言葉をみなが理解した頃、
「それでは、これで失礼いたします」と退場して行った。
アレクもその従者を見送って、ため息をつくと
「あぁ、アーデリア。今の見ていた?」と聞いた。
「うん、途中から、メアリーさんが一緒ですぐに辺境伯が・・・」
「そうか。驚いた。彼女、結婚してた・・・・けど・・・おかしかった」
「みたいね」
「それはそうと、面白い話を貰ったんだ。北の領地の人が、品物を置きたいってそして、建物も作るって」
「それはいいわね。北の建物を作ってもらえば楽しいわ」とアーデリアが言うと
「それはいいね、僕だと思いつかなかった」とアレクが答えた。そして、
「色気のない話はこれくらいにして、ちょっと散歩しない?庭が素敵なんだよ。実はマークも招待して貰ったんだ。今頃、庭師と話しているかも」
「マークに会いたいとは思わないけど、庭はみたいわ」と言うと二人は笑って歩き出した。
庭は見事だった。マークはいなかったが、思いがけない人と出会った。
青い花が咲く花壇のそばにレイモンド王子が、立っていたのだ。
「お久しぶりです、殿下」とアーデリアが礼を取ると、
「今は・・・」言いかけたがレイモンドも、
「お久しぶりです」と二人に向かって礼を取った。
「もう、昔になるが、あの日あなたとなんの言葉も交わせなかった。今更だが、すまなかった」と頭を下げるレイモンドに
「いえ、縁がなかったのですわ」とアーデリアが微笑んだ。
「この青い花の名前を教えて欲しいと思いながら今日まで来ました」とアーデリアが言うと、
「・・・・・よく知らないのです」とレイモンドは答えた。
「レイモンド様は、デステ侯爵の領地を治める事になったのですね」とアレクサンダーが言うと
「はい、幸い、あそことは相性がよかったようで、わたしのようなものでも歓迎してくれました。その縁で今回・・・・・・今後、ノイデ伯爵と名乗ります」
「おめでとうございます。ノイデ伯爵」とアーデリアが言うと
「ありがとうございます」とレイモンドが答え、
「それではノイデ伯爵、これで失礼します」とアレクがアーデリアをうながして歩き出した。
後ろ姿を見ながら、レイモンドが
「ヒドゥンブルー」と呟いた声は誰にも聞こえなかった。
「わたくしはお役に立てないと思います」こう言うと暇の挨拶をした。
アレクの元に戻りながら、二人の話を思い返した。
「前の婚約者のメアリーさんは、わたしたち家族が絆を取り戻せるように、気を使ってくれました。両家族でお茶会とか、お食事とか、アーデリアさんも同じ事が出来ると思うんで、お願い出来ませんか?」
これだけの事を二人が代わる代わる、言葉を変えて言って来たのだ。
アーデリア自身が家族に期待せずにここまで来ている。冷たいようだが、この問題にはかかわりたくない。
第一、アレクだって会場に来ている。直接話せばいいのだ。
そう思いながら、歩いていると、なにやら騒いでいるわけではないのに、異様な雰囲気で、アーデリアは足を止めた。
すると、なにやら貫禄があって、品のいい初老の男性が、怒りの気配を身にまとい、追い越して行った。
「奥様はおかしなことを」「ニック公爵にご迷惑を」「恥をかかすなと」などと言う言葉が耳に入った。
アーデリアは止めていた足を再び動かして、一行の、あとを追った。
するとアレクに腕を掴まれてた、女性が・・・・メアリーさん?・・・がこう言っていた。
「ですから、アレク。結婚してるのを気にしてるなら、別れたらいいんですよ。わたくしも別れますから」
そしてそばに来た、初老の男性に向かって
「あなた、いい所に、ちょうどよかった。離縁しましょう」と言った。
周りは一瞬、ざわっとなったが、すぐに静かになり、元辺境伯がなんと答えるか、注目した。
彼は先ず、アレクが腕を持っていた、妻を自らの腕で拘束した。
「公爵閣下、すまない」とそっとささやいた。
それから、元辺境伯はメアリーを連れて、あっと言う間に会場を出て行った。彼は終始無言だった。
後に残った従者は優雅に礼をすると、
「このようなおめでたい席でつまらない騒ぎを起こしてしまい、お恥ずかしい事です。勇者の皆様、ご列席の皆様に後日のお詫びの品を送らせていただきます」
そして、その言葉をみなが理解した頃、
「それでは、これで失礼いたします」と退場して行った。
アレクもその従者を見送って、ため息をつくと
「あぁ、アーデリア。今の見ていた?」と聞いた。
「うん、途中から、メアリーさんが一緒ですぐに辺境伯が・・・」
「そうか。驚いた。彼女、結婚してた・・・・けど・・・おかしかった」
「みたいね」
「それはそうと、面白い話を貰ったんだ。北の領地の人が、品物を置きたいってそして、建物も作るって」
「それはいいわね。北の建物を作ってもらえば楽しいわ」とアーデリアが言うと
「それはいいね、僕だと思いつかなかった」とアレクが答えた。そして、
「色気のない話はこれくらいにして、ちょっと散歩しない?庭が素敵なんだよ。実はマークも招待して貰ったんだ。今頃、庭師と話しているかも」
「マークに会いたいとは思わないけど、庭はみたいわ」と言うと二人は笑って歩き出した。
庭は見事だった。マークはいなかったが、思いがけない人と出会った。
青い花が咲く花壇のそばにレイモンド王子が、立っていたのだ。
「お久しぶりです、殿下」とアーデリアが礼を取ると、
「今は・・・」言いかけたがレイモンドも、
「お久しぶりです」と二人に向かって礼を取った。
「もう、昔になるが、あの日あなたとなんの言葉も交わせなかった。今更だが、すまなかった」と頭を下げるレイモンドに
「いえ、縁がなかったのですわ」とアーデリアが微笑んだ。
「この青い花の名前を教えて欲しいと思いながら今日まで来ました」とアーデリアが言うと、
「・・・・・よく知らないのです」とレイモンドは答えた。
「レイモンド様は、デステ侯爵の領地を治める事になったのですね」とアレクサンダーが言うと
「はい、幸い、あそことは相性がよかったようで、わたしのようなものでも歓迎してくれました。その縁で今回・・・・・・今後、ノイデ伯爵と名乗ります」
「おめでとうございます。ノイデ伯爵」とアーデリアが言うと
「ありがとうございます」とレイモンドが答え、
「それではノイデ伯爵、これで失礼します」とアレクがアーデリアをうながして歩き出した。
後ろ姿を見ながら、レイモンドが
「ヒドゥンブルー」と呟いた声は誰にも聞こえなかった。
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