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10 抜け出す
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令嬢のひとりが鼻息荒く立ち上がり近寄って来た。
「お前、夜会で注意したのに聞かなくて・・・アレン様に纏わりつくなって・・・・なのにあの夜会の夜、レオ様にも近づいて・・・思いしらせるように皆様に申し上げたんですのよ。ですから今日はしっかりお付き合い下さいね」
このセリフの間、妃殿下たちも王女殿下たちも令嬢がたもにやにや笑っていた。アレンの婚約者の座はとても大きいのだとよくわかる。僕は邪魔する気はないよ。出て行くから・・・
アレン、なにやってんだ。・・・・いやいや僕はなにも知らないよ・・・
確かにレオもアレンもかっこいいけど、結婚生活大変そうだよ・・・とか思っていると令嬢が集まって来て僕を取り囲んだ、手にジュース・・・こっちでは果実水って言うんだな・・・今日は色とりどりだね・・・・
イズミは背を丸めて髪から果実水を垂らしながら、とぼとぼと歩いた。靴にも果実水が入って気持ち悪い。うっかり浄化してしまわないように気合を入れて歩いた。
すれ違う者が驚くとともに僅かに侮蔑のこもった視線を向けてくる。すれ違ったあとはわざわざ振り返り、連れとなにやら話しているようだ。
自分の部屋に続く絨毯の前で、そばにいた物を呼び止めた。
「あの、悪いけど、なにか拭くものを持ってない?このままここを歩くと絨毯を汚しそうで・・・・」
「そんなもの持っていません。失礼します」
「そうだよね、貸したくないよね」とイズミは言うと靴と靴下を脱いだ。
上着を脱いで足を拭くと靴と靴下を両手に持つと部屋に向かった。
イズミの後ろに笑い声が広がって行った。
着替えたイズミが部屋からでてきたのは夕方だった。制服を着て食堂へ向かった。
イズミは注目を浴びながら食堂へ向かった。食事が終わると化粧室へ入った。
服を普段着に着替えると髪と目の色を変えた。よく目にする茶色の髪と榛色の目で鏡にウインクをすると
「うん、異世界って感じだ」と投げキスをした。
そのまま、通用門に向かった。
「おぉめかしこんでるね。兄ちゃん」と門を守る兵が声をかけてきた。
「あぁ今夜こそだ」
「がんばれよ」
手を振りながらイズミは歩み去った。
物陰にはいると髪を金髪、緑の目に変えた。空間収納からリュックをだして背負うと古着屋に向かった。
古着を買ってその場で着替えた。
「お客さん、その服よかったら買い取るけど・・・・」
「買い取る?買い取ってくれるの!助かる。頼む・・・高く買ってくれ」
「もちろんだよ。こんないい服めったに入らないからね」
古着屋から代金をもらったリルは、古着屋をでるとまたこっそりと髪と目の色を茶色と榛色に変えた。
冒険者ギルドに行って登録をしたが、
必要なのは名前だけだった。年齢もいらなかった。名前と血を一滴・・・・
イズミと書かれた黄のカードを受け取るとリュックにしまった。
「ギルドおすすめの宿ってある?」
「この通り沿いのフクロウ屋がおすすめだ」
「ども。行ってみる」とイズミはギルドを出た。
宿の部屋にはいるとしっかりと鍵をかけた。ドアノブの下に椅子を噛ませた。髪の色と目の色を維持と結界の維持の両立はちょっときついのだ。
今日は盛りだくさんだったな。城を抜け出せたのは良かったがなにも言わずに出てきたジョーに済まない気持ちと、アレンに会えないことを深く考えまいとする気持ち、ほんとはあいつらをぶっ飛ばしたかった気持ちが混ざり合って疲れているのに眠れない夜だった。
気が付くと空が明るくなってきて、リルは起きだした。髪と目の色を確認すると部屋をでた。
フロントに鍵を返すと宿をでて馬車乗り場に行った。
最初に出る馬車に乗って最終的には国をでると決めていた。
最初の馬車は三〇分後に出る、ダンジョンの町に向かう便だ。ここから六時間程かかるというので朝とお昼に食べるものと飲み物を買い込んだ。
馬車に乗っているのは大半が冒険者だったが、ひとり中年のおじさんが乗っていた。
お昼を過ぎたころ馬車に酔ったのかおじさんが真っ青になっていた。
リルは見かねて隣に座ると飲み物を差し出した。
「お水ですけど飲めそうだったら」そう言いながら軽く治癒魔法をかけた。
おじさんは水を少し飲むと
「おや、胸がすっきりしてきた。助かったよ。ありがとう」
「よかったら全部飲んで下さい」
飲み終わったおじさんは、ウトウトし始めた。リルはこの町でどうやって過ごすか考えていた。
町に着いて馬車を降りるとおじさんはリルに
「あんたのおかげで助かった。わしはこの町で鍛冶屋をやっている師匠の手つだいに来たんだ。見たところあんたは武器をもっておらんな。店においで、見繕ってやるから」と言って去って行った。
リルはシャワーのある宿に決めると三泊分のお金を払った。
浄化があるからシャワーはいらないが、リルはやりたいことがある。
禊だ。滝に打たれる、あれ!
全開で出したシャワーの下で、『なんとか、かんとか、南無ーーーアーメンーー喝ーーー』とか適当に唱えた。
「よし、前世も城の暮らしも水に流した」
髪を拭きながらイズミはさっぱりしすぎてちょっと寒かった。
「お前、夜会で注意したのに聞かなくて・・・アレン様に纏わりつくなって・・・・なのにあの夜会の夜、レオ様にも近づいて・・・思いしらせるように皆様に申し上げたんですのよ。ですから今日はしっかりお付き合い下さいね」
このセリフの間、妃殿下たちも王女殿下たちも令嬢がたもにやにや笑っていた。アレンの婚約者の座はとても大きいのだとよくわかる。僕は邪魔する気はないよ。出て行くから・・・
アレン、なにやってんだ。・・・・いやいや僕はなにも知らないよ・・・
確かにレオもアレンもかっこいいけど、結婚生活大変そうだよ・・・とか思っていると令嬢が集まって来て僕を取り囲んだ、手にジュース・・・こっちでは果実水って言うんだな・・・今日は色とりどりだね・・・・
イズミは背を丸めて髪から果実水を垂らしながら、とぼとぼと歩いた。靴にも果実水が入って気持ち悪い。うっかり浄化してしまわないように気合を入れて歩いた。
すれ違う者が驚くとともに僅かに侮蔑のこもった視線を向けてくる。すれ違ったあとはわざわざ振り返り、連れとなにやら話しているようだ。
自分の部屋に続く絨毯の前で、そばにいた物を呼び止めた。
「あの、悪いけど、なにか拭くものを持ってない?このままここを歩くと絨毯を汚しそうで・・・・」
「そんなもの持っていません。失礼します」
「そうだよね、貸したくないよね」とイズミは言うと靴と靴下を脱いだ。
上着を脱いで足を拭くと靴と靴下を両手に持つと部屋に向かった。
イズミの後ろに笑い声が広がって行った。
着替えたイズミが部屋からでてきたのは夕方だった。制服を着て食堂へ向かった。
イズミは注目を浴びながら食堂へ向かった。食事が終わると化粧室へ入った。
服を普段着に着替えると髪と目の色を変えた。よく目にする茶色の髪と榛色の目で鏡にウインクをすると
「うん、異世界って感じだ」と投げキスをした。
そのまま、通用門に向かった。
「おぉめかしこんでるね。兄ちゃん」と門を守る兵が声をかけてきた。
「あぁ今夜こそだ」
「がんばれよ」
手を振りながらイズミは歩み去った。
物陰にはいると髪を金髪、緑の目に変えた。空間収納からリュックをだして背負うと古着屋に向かった。
古着を買ってその場で着替えた。
「お客さん、その服よかったら買い取るけど・・・・」
「買い取る?買い取ってくれるの!助かる。頼む・・・高く買ってくれ」
「もちろんだよ。こんないい服めったに入らないからね」
古着屋から代金をもらったリルは、古着屋をでるとまたこっそりと髪と目の色を茶色と榛色に変えた。
冒険者ギルドに行って登録をしたが、
必要なのは名前だけだった。年齢もいらなかった。名前と血を一滴・・・・
イズミと書かれた黄のカードを受け取るとリュックにしまった。
「ギルドおすすめの宿ってある?」
「この通り沿いのフクロウ屋がおすすめだ」
「ども。行ってみる」とイズミはギルドを出た。
宿の部屋にはいるとしっかりと鍵をかけた。ドアノブの下に椅子を噛ませた。髪の色と目の色を維持と結界の維持の両立はちょっときついのだ。
今日は盛りだくさんだったな。城を抜け出せたのは良かったがなにも言わずに出てきたジョーに済まない気持ちと、アレンに会えないことを深く考えまいとする気持ち、ほんとはあいつらをぶっ飛ばしたかった気持ちが混ざり合って疲れているのに眠れない夜だった。
気が付くと空が明るくなってきて、リルは起きだした。髪と目の色を確認すると部屋をでた。
フロントに鍵を返すと宿をでて馬車乗り場に行った。
最初に出る馬車に乗って最終的には国をでると決めていた。
最初の馬車は三〇分後に出る、ダンジョンの町に向かう便だ。ここから六時間程かかるというので朝とお昼に食べるものと飲み物を買い込んだ。
馬車に乗っているのは大半が冒険者だったが、ひとり中年のおじさんが乗っていた。
お昼を過ぎたころ馬車に酔ったのかおじさんが真っ青になっていた。
リルは見かねて隣に座ると飲み物を差し出した。
「お水ですけど飲めそうだったら」そう言いながら軽く治癒魔法をかけた。
おじさんは水を少し飲むと
「おや、胸がすっきりしてきた。助かったよ。ありがとう」
「よかったら全部飲んで下さい」
飲み終わったおじさんは、ウトウトし始めた。リルはこの町でどうやって過ごすか考えていた。
町に着いて馬車を降りるとおじさんはリルに
「あんたのおかげで助かった。わしはこの町で鍛冶屋をやっている師匠の手つだいに来たんだ。見たところあんたは武器をもっておらんな。店においで、見繕ってやるから」と言って去って行った。
リルはシャワーのある宿に決めると三泊分のお金を払った。
浄化があるからシャワーはいらないが、リルはやりたいことがある。
禊だ。滝に打たれる、あれ!
全開で出したシャワーの下で、『なんとか、かんとか、南無ーーーアーメンーー喝ーーー』とか適当に唱えた。
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髪を拭きながらイズミはさっぱりしすぎてちょっと寒かった。
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