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3.君は嵐のように僕の心を乱す
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いつの間にか眠ることはできていたけれど、昨夜のことは夢ではなかったようだ。僕の隣で、裸の女の子が眠っている。起こさないようにそうっとベッドから抜け出て、タオルケットを掛け直した。綺麗な寝顔だ。黒い艶やかな髪に触れてみると、絹糸のように滑らかだった。
部屋を見渡しても、やっぱり猫の鈴音はいなくて。だとするとこの女の子が本当に鈴音ということになるのだろうか。そんなことがあるのだろうか。
「ボク、おはよー」
いつの間にか起きていた自称鈴音が抱きついてきた。背中に柔らかな感触を感じて困惑する。しがみつく彼女をずりずりと引きずりながらタンスに近づき、適当にTシャツを引っ張り出した。振り向かずに手に持ったTシャツを自称鈴音に押し付ける。
「とりあえず、これ着て」
「ボク、なにこれ? なんで着なきゃいけない?」
「もう、いいから着てってば」
いろいろと視界に入ってしまわないように気を付けながら、女の子の頭からTシャツをずぼっとかぶせた。
「ほら、腕出して」
服を着せて、ようやく自称鈴音の姿を見ることができた。髪は背中の真ん中あたりまでの直毛で、瞳は猫の鈴音と同じ金色だ。瞳の色が珍しいだけで、他はどう見ても人間の女の子だった。
「本当に、鈴音なの?」
「そうだと言ってる。ボク、鈴音のこと忘れたか?」
「いや、だって……。っていうかさっきから言ってるボクって僕のこと?」
「うん。ボク、お腹空いた」
このマイペースで食いしん坊な感じは、たしかに僕が知っている鈴音だ。何が起きたのかはわからないが、この女の子が本当に鈴音なのかもしれない。
部屋を見渡しても、やっぱり猫の鈴音はいなくて。だとするとこの女の子が本当に鈴音ということになるのだろうか。そんなことがあるのだろうか。
「ボク、おはよー」
いつの間にか起きていた自称鈴音が抱きついてきた。背中に柔らかな感触を感じて困惑する。しがみつく彼女をずりずりと引きずりながらタンスに近づき、適当にTシャツを引っ張り出した。振り向かずに手に持ったTシャツを自称鈴音に押し付ける。
「とりあえず、これ着て」
「ボク、なにこれ? なんで着なきゃいけない?」
「もう、いいから着てってば」
いろいろと視界に入ってしまわないように気を付けながら、女の子の頭からTシャツをずぼっとかぶせた。
「ほら、腕出して」
服を着せて、ようやく自称鈴音の姿を見ることができた。髪は背中の真ん中あたりまでの直毛で、瞳は猫の鈴音と同じ金色だ。瞳の色が珍しいだけで、他はどう見ても人間の女の子だった。
「本当に、鈴音なの?」
「そうだと言ってる。ボク、鈴音のこと忘れたか?」
「いや、だって……。っていうかさっきから言ってるボクって僕のこと?」
「うん。ボク、お腹空いた」
このマイペースで食いしん坊な感じは、たしかに僕が知っている鈴音だ。何が起きたのかはわからないが、この女の子が本当に鈴音なのかもしれない。
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