上 下
10 / 41

9話 朝食

しおりを挟む

「あら、遅かったけど何かあったの」
とエマ様が心配そうに言ってきた
「いえ、何もありませんよ、エマ様」
と余計な心配をかけないように返し僕はキッチンに向かおうとした時、
「ルーク、今から私と朝食を取ろう」
と主が言った
「ですが、私は奴隷なので主と御一緒に食事など、それにアリアさんだって、キッチンで片付けをやっているので私も...」
と僕が言うと今度はエマ様が
「アリアちゃんも誘ったんだけど、私には無理ですぅぅと言ってキッチンに走ってったのよ」
と言い溜息をついた
「だから、ルークだけでもな?」
と主に言われ
「了解いたしました、主」
と言い僕は主と朝食を取ることになった
「では、頂こうか」
と言い主は食べ始めた、今日の朝食は野菜のスープとパンと果実のマーマレードだった、貴族にしては少し質素だなと思い、パンにマーマレードを塗り口に運んだ、パンとマーマレードと絶妙にマッチしておりとても美味しく、スープもとても美味しかった、そして僕が朝食を食べ終わると
主がエマ様に合図をし、エマ様を一旦外に出すと
「で、そろそろ本題に入るがまず、編入試験の内容についてだか、学力、魔力、戦闘能力の3つだ、本当、この中の1つでも満たしていれば良いのだが、アルスター学園は入学は簡単だが、編入は難しいのだ」
と主は難しい顔をして言った。



「いえ、何とかなると思いますよ?」
と僕が言うと主は
「学力、魔力は何とかなると思うが戦闘能力はどうにもならないだろ」
と言いまた、難しい顔をした
「主、これでも僕は一応アレキサンダー家の者です、戦闘も出来ます」
と言うと主は
「おぉ、そうだった、と言う事はルークも多少なりとは戦えるのか?」
と主に恐る恐る聞かれ僕は
「はい、人並みには出来るとは思います」
と言うと主は
「じゃあ、この後少しやらないか?」
と主に誘われた
「この、食器を片付けた後でも宜しいでしょうか」
と僕が言うと
「全然、構わないよ、では私は中庭で待ってるから片付けが終わったら来さなさい」
と言い、主は部屋を出ようと、扉を開けた瞬間、顔を真っ青にして出ていった
そして、僕は主と僕の食器を持ってキッチンへ向かった。



キッチンに着いたが既にアリアさんが食器を洗っている最中だった
「ごめん、朝食とか全部アリアさんが作ってくれたんだよね?」
と僕が申し訳なさそうに言うとアリアさんは笑いながら
「いや、実は殆どを奥様がしたの」
とアリアさんに言われ僕は驚いた
「え?じゃあ今日の朝食はエマ様が作ったの?」
と僕が訊くとアリアさんは
「うん、私が奥様に料理のコツを訊いたら、説明するより実践した方が早いって言って」
と笑いながら言った
「じゃあ、何でエマ様からの朝食断ったの?」
と僕が質問するとアリアさんは
「だって、私達は元は貴族とは言え今は奴隷ですよ?奴隷は主人である人達とは一緒に食事なんて取らないんです」
と必死に言った
「はぁ~~、アリアさん、僕らを買った時の主の話聞いてなかったの?」
と僕がため息混じりに言うと
「え?.........はっ!」
とアリアは一瞬何かを考え、ハッとした
「分かった?それにエマ様がっかりしてたよ?次にお誘いがあったら今度は受けてあげてよ」
と僕がいうとアリアさんは少し恥ずかしそうに
「ま、まだ一人じゃ不安だからルーク君も一緒に朝食取ってくれる?」
と不安げに言われ僕は
「その時は全然良いよ」
と言うとアリアさんは嬉しそうに
「ありがと、その時は頑張る」
「それで、失礼かも知れないけど、もしかしてアリアさんって料理出来ない?」
と恐る恐る僕が訊くと
「む~、料理位は私にも出来るよ、でも、奥様のは卑怯だよ、上手すぎだよ」
とアリアさんが頬を膨らませ言った
「ふふっ」
と僕は堪えきれずに笑いだしてしまった
「もー、ルーク君笑わないでよ」
とアリアさんに、怒られた
「ごめんごめん、余りにもアリアさんが可愛くって」
と僕が言うとアリアさんは、え?って言う顔をしながら
「可愛い?私が?」
と聞かれ
「うん、最初に会った時と比べたら段違いだよ、そっちの方が可愛くて僕は好きだよ」
と言うと、アリアさんは顔を真っ赤にして
「もー、ルーク君のバカ」
と言って水を、飛ばしてきた
「ごめんごめん」
と笑いながら謝るとアリアさんは
「じ、じゃあ、今度から私の事をアリアと呼んでくれたら許して上げます」
と言った
「そんな事で良いの?てっきり僕は無理難題を言われるかと…」
と言うと、アリアさんは
「そんな事はしませんよ、失礼ですね」
とアリアさん怒りながら言った
「はいはい、ごめんごめんアリア」
と僕が笑いながら言うとアリアは顔を真っ赤にして
「あ、あ、ありがとうございますルーク君」
と恥ずかしそうにアリアが言った
「でも、僕だけ呼び捨てだとフェアじゃあ無いよね?だからアリアも僕の事をルーク君じゃなくてルークて読んでよ」
と僕が言うとアリアは
「う、うん、これでいい?ル、ルーク」
とアリアが恥ずかしそうに言った
「うん、そんな感じ」
と言い僕が笑うと
「そう言えば、ル、ルークは何でキッチンに?」
とまだぎこちなく呼ぶアリアに僕は
「僕と主の食器を届けに......あっ、すっかり忘れてた、ごめん、この食器任せてもいい?主と今から試合だった」
と言い僕は食器をアリアに任せて、急いで庭に向かった
しおりを挟む

処理中です...