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10話 試合

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僕は急いで主の待つ、中庭へ急いだ、中庭に着くと明らかに戦闘服と言った感じの服を着た主と少し不機嫌のエマ様が居た
「すいません、遅れました主」
と僕が言うと主は
「いや、私が無理を言っているのだから気にしないでくれ」
と言い笑っていたが、気のせいか若干疲れているように見える
「主、疲れているでしたら、少し休息のとってからからでも」
と僕が言うと主は
「いや、大丈夫だよ」
と笑いながら言っているが、すこし辛そうだ
「では、主ルールはどうしますか?やはり武器は無しですか?」
と僕が言うと主は
「いやいや、ルーク今からやるのは戦闘だよ、流石に武器無しは」
と言い苦笑いを浮かべていた。


「では、審判は私が務めるわね、アルカは何でも有りで、貴方は武器のみの攻撃だけで十分でしょう怪我をした場合は私の治癒魔法で回復するから思う存分やりなさい」
とエマ様が言い戦闘を開始しようとした時、主が
「エマ、余りにも私に不利なルールでは無いか?」
と困ったように言った、それにエマ様は
「あら、この国随一と言われたお人が何を仰っていますか」
と言い主の申し出をスルーし戦闘を開始しようとした時
「あっ、すっかり忘れていたね、ルーク、武器庫から好きなのを取って」
と言われ僕は
「はい、では私はこの剣を」
と言い主が準備してくれた武器庫から剣を取り出し構えると
「やっぱり、全力では来てくれないか」
と言い主はがっかりしていた


「え?何を仰っているのですか?主」
と僕が訊くと主は
「それは私に聞くより自分の方が分かっているだろ」
と言い主は笑った
「はぁ~、やはり主にはお見通しでしたか」
と言い僕は剣を武器庫に戻し、腰からダガーを1つ取り出した
(本当はトンファーか二刀流が使いたいけど、怪我させたら大変だからなぁ)
と思いながら背中に忍ばせといたダガーを鞘から抜いた
「そんな所に閉まっていたのか、だがまだ、何かを隠してる気はするがまぁ、君の武器を見れたから良いか」
と言い主は両手剣を鞘から抜いた構えた
(全く、どれだけ感が鋭いんだ?)
と思いながら僕は再びエマ様が合図をするのを待つ


「お待たせ、それではこれからウィリアムVSアルカの決闘を始めます、時間無制限、どちらかが降参、気絶した場合のみ、試合を終了します、両者それで宜しいですか」
とエマ様に言われ、僕と主は、「はい」と答え僕はダガーを主は両手剣を構えた

「それでは、試合開始!」
と言いエマ様が空に水の初級魔法のウォーターボールを放った

「アルカ、先においで」
と主が先行を譲ってくれた
「はぁ~~~......では行きます」
と言い僕は一気に間合いを詰めダガーで斬り上げた......だがそれを主は難なく躱し、両手剣を振り下ろした
「あっぶねぇ、今の紙一重だったな」
と僕は言うと慌てて口を塞いだ
「それが、アルカの素か、なかなか良いね、何故今まで隠していたんだい?」
と主が聞いてきた
「それは......私は奴隷でもあり元貴族と言う身分なので、あの喋り方は失礼かと」
と僕が言うと、主は溜息を付きながら
「はぁ~、何度も言うように君達はアルカとアリア君は私達からすればもう立派な家族だよ」と言いまた、両手剣を構えた、そして
「じゃあ、この試合でも、私が勝ったら今度から素の喋り方でいること、もし、私が負けたらメアリーを君にあげよう」
と言ってきた。


「何故、そこでお嬢様の名前が出るのですか、それに勝手に決めてしまってはお嬢様も困ってしまいますよ」
と僕が言うと、主と何故か審判のエマ様まで何だか呆れた感じだった
「ア、アルカ、それは本気で言っているかい?」
と主に恐る恐る聞かれ僕は
「はい、だって迷惑でしょう、私なんかが、その......メアリー様を貰うなんて」
と言うと、主は
「これはなかなかの強敵だが、頑張れメアリー」
と言いがっかりしていた


「まぁ、それはそうとでは続きをしようか?アルカ」
と言い主はいきなり両手剣を地面に突き刺した
「やはり、両手剣は肩に来るな」
と言い主は武器庫からレイピアを取り出し構えた
「まだ、全力と言う訳では無いがお前にはこれを使っても大丈夫だろ」
と言いレイピアの剣先を僕に向けて
「どうにかして、避けろよアルカ」
と言い、剣先をこちらに向けたまま突っ込んできた、流石にこれをダガー1つで捌く事は無理だと判断し、僕は背中に隠してあるもう一つのダガーに手を伸ばし、二刀のダガーをクロスさせながら捌こうとしたが、ダガーが弾かれ、これを紙一重で躱した
「おぉ、てっきり躱されると思ったがまさか、この一撃を真正面から捌こうとするとは、まぁ、避けられる速度でもないが流石だな、アルカ」
と言っているが主は少し悔しそうだ
「ハァ...ハァ...ハァ、ありがとうございます、主ですが、今の一撃は堪えました」
と僕が息を切らしながら言うと主は笑いながら
「それは、仕方ないさ、だってこの技を捌いて見せたのはまだ、世界に100ぐらい人しか居ないだから」
と言った


それを聞いた瞬間、僕は父のある言葉を思い出した
「良いか?アルカ、どんな事があってもメイソン家のウィリアムには手を出すなよ、あいつは私の親友とは言え仮にも元王都近衛隊隊長だからな」
と言う話を今更思い出した
「主はもしかして父さんが言った事ってほんとだったのか?」
と僕が訊くと主は
「ははぁーん、さてはレイドの奴がバラしたな」
と言い笑っている、そして
「あぁ、私は元王都近衛隊隊長のウィリアム メイソン......だよ」
と笑いながら言った、だがその笑顔からは殺気に満ちていた


「はぁ~、参りました、流石に元隊長には叶わねぇ」
と言い僕は口調を崩し、ダガーを背中にしまい、両手を上に上げ降参のポーズをとった
「えー、つまらないなぁ、でも今回は引き分けにしようアルカ」
と殺気に満ちた笑顔から普通の笑顔になった主が言った
「じゃあ、口調も!!......」
と僕が期待の眼差しを送りながら言うと主は
「うん、でも私の前ではその口調でいなさい」
と言った
それを聞き僕は
「はぁ~、マジかよぉ」
と言いながら地面に腰を落とした
「うん、やっぱり私は君のその喋り方の方が好きだ」
と言い笑っていた
「それにしても貴方のレイピアを防いだのには驚いたは、ルーク君やるわね」
と言い審判であったエマ様も来た
「いえ、それ程でも」
と僕が言うと、エマ様は
「そんなに謙遜しなくてもいいわよ、あの人のレイピアを捌いた人達は全員が他の国の騎士団長クラスや名のある剣士とかしか居ないんだから」
と言い笑っていたが、僕は笑えなかった
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