上 下
23 / 41

21話 ルームメイト

しおりを挟む

「おっ!やっと来た、初めましてアル君」
と男子寮の玄関に居た男の人に声を掛けられる
「貴方は?」
と僕が聞くとカラルが
「あぁ、この人────」
「私は男子寮の寮監督のエイブ コンスタンティだ、宜しく」
とカラルの言葉を遮って話し始めた
「コンスタンティ?……まさか!?あのコンスタンティ家の人ですか?」
と僕が驚いた。


(コンスタンティ家って……水属性で有名な名家だったはず)
と思いながら質問すると
「まぁ、多分君が思い浮かべた家の者だよ、私は」
と言い、エイブさんは今度は僕ではなく、カラルの方を向き
「あらっ?もうアル君と友達になったのですか?カラル君?」
とカラルに聞きカラルも
「当然!!」
と言い、さっきと同じように親指を立てる。僕は初めて友達が出来て、少し嬉しかった


「で、アル君、この寮の規則についてですが」
と今、僕は寮監督室にてエイブさんに話を聞いている
「基本的に時間帯ついては何も言いませんが、あまりに遅すぎると外出禁止になるので気をつけてください。後、基本的にこの寮ではふたり部屋なのですが……」
と言い出したところでエイブさんの言葉が詰まった
「あの?どうかしました?」
と僕が聞くと、エイブさんは
「はい……今日………シーザー君と一悶着ありましたよね?それが原因で」
と言われ
(アイツっ!!やっぱりあそこで息の根を止めとくんだった)
と本気で後悔したながら話を聞いていると
「それでですね……提案なのですがカラル君と同室なんてどうでしょう?」
と質問され
「私はそっちの方が良いですが、カラルの方に聞いてみないと」
と僕が言うと
「失礼しまぁす」
と言い、カラルが寮監督室に入ってきた
「あれっ?何で?」
とカラルに聞くとカラルは
「さぁ?俺も何で呼ばれたかは知らないんだよ」
と言うと、エイブさんが
「率直で悪いんだが、カラル君、アル君と同室でもいいかな?」
とカラルに質問する
(あれっ?さっきも聞いたような)
と思っていると、カラルは
「別に良いけど」
と言うとエイブさんは
「そうか、良かった、ではカラル君、アル君を部屋まで案内してあげてください。荷物はそっちに届いています。後、制服は明日受け取ってください」
と言われ話が終わり、僕はカラルに手を引っ張られ部屋まで向かった


「此処が俺達の部屋だ」
と言い、僕達は部屋に入ると
(あれっ?)
と違和感を感じ
「ねぇ、カラル?カラルにルームメイトって居ないの?」
と聞くと、カラルは少し困ったように笑いながら
「俺ってさ…平民だからさ…誰も来なかったんだよ」
と言われ
「ご、ごめん」
ととっさに謝るとカラルも
「いや、もう慣れたから大丈夫だよ」
と言い、椅子に腰掛け、カラルは
「そんな事より、アルって、今期の編入生何だよな」
とさっきの暗いムードから打って変わって明るいトーンで質問され
「ま、まぁ一応」
と返すと、カラルは
「じゃあさ、どんな問題が出たんだ?」
と聞かれ
(やばいな、受けてないしなぁ)
と考える。そして
「実は、試験の内容って人に言っちゃ駄目らしくて」
と言うと、カラルは
「それだったら、しょうがないな」
と言った後、カラルは少し何かを考え
「な…なぁ…アルって…何で…そのっ…従者何かやってんだ」
と聞かれた。
(こいつ、案外失礼な奴だな、それにしてもなんて答えようかな?)
と思いながら
「何で、そんなこと聞くの?」
と答えるとらカラルは
「だって…アルって…俺が、その……何だ…庶民て言っても態度変えなかっただろ?だからさ……気になったんだけだ」
と恥ずかしそに、それに少し申し訳なさそうに言うカラルを見て僕は僕自身に失望した。
(こんなに良い奴に僕は一体何を言っているんだ)
と僕が少し笑うと
「あっ、アルっ、てめぇ何笑ってんだよ」
とカラルに怒られ
「ごめんごめん、やっぱりアルって良い奴だなと思ってよ」
と口調を砕いて言うとカラルは
「お、おうさっきとは口調が変わって何か雰囲気も変わった気がするな」
と言われ
「そうか?でもこの話し方お嬢さまの前では話せないからな」
と言っていると
「そうなんだ、なんかそっちも大変そうだな」
と同情されたが
「まぁ、俺が好きでやってからな」
と言うとカラルにジト目で見られ
「お前…やっぱり馬鹿……変だよな、好きで従者やるなんて」
と聞かれ
「馬鹿ってなんだよ!!」
と言ったが、それから朝まで質問攻めに合うのであった
しおりを挟む

処理中です...