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宇宙イモムシとの日常
五月の出来事
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あれから一ヶ月。4月が終わり5月になった。
あれからもスキャくんと一緒に暮らしている。
ある日、親にバレたことがあり、母は絶叫し今すぐ捨てなさいと言われたが父に説得されなんとかちゃんと世話をするように言われただけでなんとかなった。
それから脱皮も数回した。正確には5回した気がする。
そして、今では両手サイズである。
それから、スキャくんが
「なぜだか、額がムズムズするのだ…」
と言い始めたのだ。原因は分からない。
最初は蛹化が近いのかなと思ったが、それなら額だけには限らない筈である。そして、なんだか最近スキャくんが突然頭を抱えることが多くなった。
聞いてみたが返答は
「なんでもない、気にしないでくれ…」
とのことだ。もし悩み事があれば聞いてあげたい。
そんな気持ちだ。そういや、スキャくんと会ったあの日…本来はどういう生物か聞いたとき…
「我は本来、巨大な生物として様々な星の人々から恐れられている存在のはずなんだが…」
と、話していたな…
………まさか、前世の記憶が残ってる、とかか?
それで今もその記憶がフラッシュバックしている、とかなのか?ん?そう言えば…
「うーむ、全体的に我より大きいものが多すぎるのだ。本来ならば建造物を丸呑みにしたり、惑星の地面を抉ったりできるのだが…」
ということも言ってたな。となると、やっぱり…
………
………………
………………………
プァーン
ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン
考え事をしてたらいきなり電車が通ってびっくりした。そういえば、登校してる途中だったんだった。
そしてこの踏切の前で考え事をしてたんだった。
列車通過方向表示機の左矢印が消えた。
しかし、左矢印が消える直前に今度は右矢印が現れた。待ち時間がただただ過ぎてゆく。踏切の警報音はただただこの静かな5月の朝の空間を切り裂きけたたましく鳴り響いている。そして、水色のラインが入った十両編成の電車が通ってゆく。遮断桿がモーター音を鳴らしながら上がっていく。また、静かな5月の朝の空間が戻ってくる。そして、学校にはもう皆がいた。
いつもの朝。いつもの日常。友達ともおはようと言って、ノートと教科書を取り出して机の中にしまい、運動着に着替える。そして、図書室から借りた本を取り出し朝読書の準備をした。しばらくして朝読書開始のチャイムが鳴り響き、皆は本を読んでいる。俺の本の題名、それは『宇宙という名の海』。簡単に言えばとにかく宇宙は広いってことを教えてくれる本だ。
総ページ数は87ページ。挿絵や画像もあって宇宙のことが分かりやすい。
『宇宙空間という名の海に惑星という名の島がいくつもあってその海の中で我々には想像出来ないようなことが毎日起こっている。そして、その海の島の中で我々は生きて…』……
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
額が…ムズムズする……
なぜだ?なぜなんだ?更になんだか体の中までムズムズし始めた。なんなんだ?何が原因だ?
我は今タイチの家に留守番しているのだがどうもムズムズするのだ。……なぜだ…!なぜだ……!!
………
………………
………………………
………ぬ、ぬぅ?
突然、ムズムズが収まった。なんだったんだ?結局。
原因が分からないまま、また眠りにつこうとした。
その時だった。
「!?」
突然、足が動かなくなった。
驚いて慌てて足を確認すると、
胴体の先端のほうになにか緑色の固いものが我の胴体の先端を包んでいた。それは徐々に足を包み、更に手を包み、終いには我を完全に包んでしまった。
…見動きが出来ない。視界も微かにしか見えない。
そして、徐々に意識が薄れていった。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「ただいまー」
玄関の扉を開け、帰宅を知らせる。
手を洗い、うがいをして自室の扉を開ける。
「スキャくーん、帰った…ん?」
虫かごの中にスキャくんはいなくて代わりに緑色で上の方に二本の黄色い筋が入った、蛹みたいなものがあった。
「…そっか。」
5回も脱皮したのだ。蛹化が近いのかなって思ってたけどこんなに早いなんてね。俺は椅子に座り、スマホを取り出す。
蛹の写真を撮り、クラスの皆に写真とメッセージを送る。
[写真を送信しました。]
「皆!スキャくんが蛹になった!」
すると、もう既読がついた。
「皆!スキャくんが蛹になった!」既読12
「マジ?」
「ついに来たか」
「どんなの羽化するんだろw」
「待ってました!」
「すごい楽しみ!」
「スキャくんの蛹ってこんな感じなんだ」
「脱皮殻とかない?」
ん?脱皮殻?確かに一般的な幼虫は蛹になる際は幼虫の皮を脱ぎ捨て、蛹になるので脱皮殻が残る筈だが…
「あれ?脱皮殻ないよ?」既読14
「え?」
「(・・?」
「なぜ?」
「なんで?」
「ほんと?」
「本当。今から虫かご全体の写真送るわ」既読13
[写真を送信しました。]
「まじやんww」
「やばwww」
「え?なぜ?」
「でしょ?」既読11
「なぜ?」
「分からない…」既読12
「なんでだろうね?」
………
………
俺はメッセージアプリを閉じてスマホをスリープ状態にし、スマホに充電機を繋げた。
にしても、本当に不思議だ。なぜ脱皮殻がないのか。
多分、羽化には数日かかるだろう。俺は蛹に向けて笑顔を見せ、私服に着替えた後俺は自室を出た。
あれから数日たった。俺はスキャくんの羽化を楽しみに待っている。最近蛹が僅かに動くことが多くなった。
羽化が近いのかな?そう思っている。
羽化の瞬間を見逃さぬように時間があればずっと蛹を見ている。早く羽化して成虫の姿のスキャくんを見たい。
でも、どんな姿だろうか?羽が生えただけ?それとも、全然違う姿なのかな?どっちにしろ羽化が楽しみだ。
待っているからね、スキャくん。
次回に続く。
あれからもスキャくんと一緒に暮らしている。
ある日、親にバレたことがあり、母は絶叫し今すぐ捨てなさいと言われたが父に説得されなんとかちゃんと世話をするように言われただけでなんとかなった。
それから脱皮も数回した。正確には5回した気がする。
そして、今では両手サイズである。
それから、スキャくんが
「なぜだか、額がムズムズするのだ…」
と言い始めたのだ。原因は分からない。
最初は蛹化が近いのかなと思ったが、それなら額だけには限らない筈である。そして、なんだか最近スキャくんが突然頭を抱えることが多くなった。
聞いてみたが返答は
「なんでもない、気にしないでくれ…」
とのことだ。もし悩み事があれば聞いてあげたい。
そんな気持ちだ。そういや、スキャくんと会ったあの日…本来はどういう生物か聞いたとき…
「我は本来、巨大な生物として様々な星の人々から恐れられている存在のはずなんだが…」
と、話していたな…
………まさか、前世の記憶が残ってる、とかか?
それで今もその記憶がフラッシュバックしている、とかなのか?ん?そう言えば…
「うーむ、全体的に我より大きいものが多すぎるのだ。本来ならば建造物を丸呑みにしたり、惑星の地面を抉ったりできるのだが…」
ということも言ってたな。となると、やっぱり…
………
………………
………………………
プァーン
ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン
考え事をしてたらいきなり電車が通ってびっくりした。そういえば、登校してる途中だったんだった。
そしてこの踏切の前で考え事をしてたんだった。
列車通過方向表示機の左矢印が消えた。
しかし、左矢印が消える直前に今度は右矢印が現れた。待ち時間がただただ過ぎてゆく。踏切の警報音はただただこの静かな5月の朝の空間を切り裂きけたたましく鳴り響いている。そして、水色のラインが入った十両編成の電車が通ってゆく。遮断桿がモーター音を鳴らしながら上がっていく。また、静かな5月の朝の空間が戻ってくる。そして、学校にはもう皆がいた。
いつもの朝。いつもの日常。友達ともおはようと言って、ノートと教科書を取り出して机の中にしまい、運動着に着替える。そして、図書室から借りた本を取り出し朝読書の準備をした。しばらくして朝読書開始のチャイムが鳴り響き、皆は本を読んでいる。俺の本の題名、それは『宇宙という名の海』。簡単に言えばとにかく宇宙は広いってことを教えてくれる本だ。
総ページ数は87ページ。挿絵や画像もあって宇宙のことが分かりやすい。
『宇宙空間という名の海に惑星という名の島がいくつもあってその海の中で我々には想像出来ないようなことが毎日起こっている。そして、その海の島の中で我々は生きて…』……
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額が…ムズムズする……
なぜだ?なぜなんだ?更になんだか体の中までムズムズし始めた。なんなんだ?何が原因だ?
我は今タイチの家に留守番しているのだがどうもムズムズするのだ。……なぜだ…!なぜだ……!!
………
………………
………………………
………ぬ、ぬぅ?
突然、ムズムズが収まった。なんだったんだ?結局。
原因が分からないまま、また眠りにつこうとした。
その時だった。
「!?」
突然、足が動かなくなった。
驚いて慌てて足を確認すると、
胴体の先端のほうになにか緑色の固いものが我の胴体の先端を包んでいた。それは徐々に足を包み、更に手を包み、終いには我を完全に包んでしまった。
…見動きが出来ない。視界も微かにしか見えない。
そして、徐々に意識が薄れていった。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「ただいまー」
玄関の扉を開け、帰宅を知らせる。
手を洗い、うがいをして自室の扉を開ける。
「スキャくーん、帰った…ん?」
虫かごの中にスキャくんはいなくて代わりに緑色で上の方に二本の黄色い筋が入った、蛹みたいなものがあった。
「…そっか。」
5回も脱皮したのだ。蛹化が近いのかなって思ってたけどこんなに早いなんてね。俺は椅子に座り、スマホを取り出す。
蛹の写真を撮り、クラスの皆に写真とメッセージを送る。
[写真を送信しました。]
「皆!スキャくんが蛹になった!」
すると、もう既読がついた。
「皆!スキャくんが蛹になった!」既読12
「マジ?」
「ついに来たか」
「どんなの羽化するんだろw」
「待ってました!」
「すごい楽しみ!」
「スキャくんの蛹ってこんな感じなんだ」
「脱皮殻とかない?」
ん?脱皮殻?確かに一般的な幼虫は蛹になる際は幼虫の皮を脱ぎ捨て、蛹になるので脱皮殻が残る筈だが…
「あれ?脱皮殻ないよ?」既読14
「え?」
「(・・?」
「なぜ?」
「なんで?」
「ほんと?」
「本当。今から虫かご全体の写真送るわ」既読13
[写真を送信しました。]
「まじやんww」
「やばwww」
「え?なぜ?」
「でしょ?」既読11
「なぜ?」
「分からない…」既読12
「なんでだろうね?」
………
………
俺はメッセージアプリを閉じてスマホをスリープ状態にし、スマホに充電機を繋げた。
にしても、本当に不思議だ。なぜ脱皮殻がないのか。
多分、羽化には数日かかるだろう。俺は蛹に向けて笑顔を見せ、私服に着替えた後俺は自室を出た。
あれから数日たった。俺はスキャくんの羽化を楽しみに待っている。最近蛹が僅かに動くことが多くなった。
羽化が近いのかな?そう思っている。
羽化の瞬間を見逃さぬように時間があればずっと蛹を見ている。早く羽化して成虫の姿のスキャくんを見たい。
でも、どんな姿だろうか?羽が生えただけ?それとも、全然違う姿なのかな?どっちにしろ羽化が楽しみだ。
待っているからね、スキャくん。
次回に続く。
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