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宇宙イモムシとの日常
初めてのお留守番
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5月24日、月曜日の朝。
俺は登校。母は出勤。いつもは庭仕事の父も出勤。
「スキャくん…お留守番、出来る…?」
「留守番か。初めてだがうまくやってみせよう。」
「ありがとう。じゃ、ここに鶏肉置いておくから。んじゃ、行ってくるねー。」
「健闘を祈る。」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
さて、留守番か。
これまではタイチが外出した時はタイチの父親が我の世話をしていたが、その父親も外出か。
この建物の中で一匹だけということは初めてである。
タイチが帰ってくる、または両親が帰ってくるまで待つとしよう。
~三十分後~
肉が半分になっている…。
無論、我が半分食べたからである。
しかし、タイチが帰ってくるのはだいたいが日が沈むくらいの時刻だ。このままでは帰って来る前に飢えてしまう。死にはしないとは思うが、飢えるのはまずい。タイチはキッチンのレイゾウコ、というところから肉をとってきてると言ってたな。
よし、探してみるか。
~五分後~
部屋の外に出ることは出来た。
だが、まずキッチンというのが分からない。
レイゾウコとやらも分からない。
それらしきものを探すしかないか。
~三分後~
これはテレビと言ってたな。
今は暗くなっているが…明るい時はこの薄く、大きな箱の中で映像が流れるといったものだ。
む?テレビの横にあるデンワとやらが明るい?
そこには「着信」と書かれている。
「プルルルルルル!」
「!?」
「知ラナイ携帯電話カラデス。電話ニヨル勧誘ニ気ヲ付ケテ下サイ。」
「プルルルルルル!」
「………」
驚いた…
なんだ?デンワ自体が分からない。
タイチは遠くからでも会話できる機械と言っていたが…
「プルルルルルル!」
この音はなんだ?
とてもうるさいな…どうすればいいのだ?
「プルルルルルル!」
……………
「プルルルルルル!」
…………………………
「プルルルルルル!」
「いい加減にしろ!うるさい!静まれ!」
「プルルルルルル!」
「………」
「プルルルルルル!」
「いい加減にしろと言ってるだろ!!」
バシィ!!
カチャ
「…?」
「あ!やっと出たよ!母さん、俺だよ。俺~。」
手が痛い…が、やっと止まった…と思いきや叩き飛ばしたデンワの一部が取れ、そこから声が聞こえてきた。
「誰だ?貴様は。タイチか?」
「え?あぁ。そうそう!タイチだよ俺!母さん、ちょっと頼みたいことが…」
「我はお前の母さんではないぞ。」
「…は?」
「だいたい、タイチはそんな声ではないぞ。ということは…偽物か?」
「あ、あぁ、ちょっと風邪ひいて…ゲホッゲホッ」
「演技にしか聞こえないな。用がないなら…どうすればいいんだ?」
「そ、それよりもさぁ、俺今月ヤバくてさぁ~百万くらいくれない?今月使いすぎちゃったんだよねぇ~。後母さんなんか声変だよ?いい病院紹介してあげるからタクシー代で5000円くれない?」
ふむ…これは時々テレビとやらで流れていたサギ、という奴か?サギ、というのは確か自分の子供や役人になりきり、金銭を騙し取ろうとするハンザイシャっていうやつだったかな。
「断る。じゃぁな。」
「え?おい!ちょっ!待っ…」
ガシャン。ツー、ツー、ツー。
「怪シイト感ジタラ、スグニ警察ニ通報シテ下サイネ。」
デンワとやらの使い方が少し分かったかもしれない。
あの機械の一部を元に戻すと会話を終了出来るみたいだな。戻すの大変だったな。腹も減ってきた。その為にも、肉を見つけなければ…
「今ノ電話ヲアンシン番号ニ登録スル場合ハ1ヲ、オ断リ番号トシテ登録スル場合ハ0ヲ、登録シナイ場合ハ停止ボタンヲ押シテ下サイ。」
~五分後~
ここがキッチンか?
他の場所よりも清潔感がある所だ。
レイゾウコはどれだ?一つ一つ探りを入れるしかないか。これはなんだ?
………
よく分らないな。
これは?
………………
これもよく分らない。
こっちは?
………………………
何かを入れるということはわかったがよく分らない。
この大きな黒い箱はなんだ?
「!?」
開けた瞬間、突然冷気が襲ってきた。
この箱かららしい。
一瞬だけだったが…肉が見えた!
これがレイゾウコか。
あれを手に入れさえすれば、飢えはしのげるだろう。
行ってみるか…!
さ、寒い…
なんとか肉がある場所にはたどり着けたが、今にも凍えそうだ。とにかく、これを運び出さなければ…
~十分後~
寒かったが、肉は運び出せた。
さあ、早く部屋に戻って食べよう。
~五分後~
ようやく運び終わった…
肉の運搬作業…今思うと必要なかったと思う。
その場で食べてしまえばよかったのに。
しかし、何故だろう?
少しでも、行儀よく、礼儀正しく、机の上で。
………人間の文化が我の体に染み付いているようだ。
…そんなことはどうでもいい。
早く食べよう。
~十分後~
腹は十分満たされた。
さて、あとはタイチかその両親が帰ってくるまで耐えるだけか。
………そういえば、我の両親はどんなのだろうか?
一度も顔を見たことがない。
どんな感じなのだろう?こんな殺伐としてない銀河で育った我をどう思っているのだろうか?
悲しく思ってなければいいが…
『繁殖をした後の雄は一ヶ月に亡くなる。雌は卵を産んだ一ヶ月後亡くなる。』
本能が告げた。
……………………………
我の親はもう死んでいるのか?
子の顔を見れず死んでしまったのか?
「 」
「…?」
なにかがいた気がする。
我の親か?あの世から見守っているのか?
「チガウ!!!!!!」
バン!
「っ!?」
突然机が揺れた。
チガウ?
何がだ?
「ワレハァ…キサマヲォ…シアワセナキサマヲォ…コンセノキサマヲォ…ユルサナイィ…」
「誰だ貴様は。名乗れ。」
「イ ウ モ ノ カ 」
「……?」
「 」
………
なんだったんだ?
今のは。赤い…何かがいた?
それから5時間後、タイチが帰ってきた。
留守番している間になにがあったかは言わないでおく。
次回に続く。
俺は登校。母は出勤。いつもは庭仕事の父も出勤。
「スキャくん…お留守番、出来る…?」
「留守番か。初めてだがうまくやってみせよう。」
「ありがとう。じゃ、ここに鶏肉置いておくから。んじゃ、行ってくるねー。」
「健闘を祈る。」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
さて、留守番か。
これまではタイチが外出した時はタイチの父親が我の世話をしていたが、その父親も外出か。
この建物の中で一匹だけということは初めてである。
タイチが帰ってくる、または両親が帰ってくるまで待つとしよう。
~三十分後~
肉が半分になっている…。
無論、我が半分食べたからである。
しかし、タイチが帰ってくるのはだいたいが日が沈むくらいの時刻だ。このままでは帰って来る前に飢えてしまう。死にはしないとは思うが、飢えるのはまずい。タイチはキッチンのレイゾウコ、というところから肉をとってきてると言ってたな。
よし、探してみるか。
~五分後~
部屋の外に出ることは出来た。
だが、まずキッチンというのが分からない。
レイゾウコとやらも分からない。
それらしきものを探すしかないか。
~三分後~
これはテレビと言ってたな。
今は暗くなっているが…明るい時はこの薄く、大きな箱の中で映像が流れるといったものだ。
む?テレビの横にあるデンワとやらが明るい?
そこには「着信」と書かれている。
「プルルルルルル!」
「!?」
「知ラナイ携帯電話カラデス。電話ニヨル勧誘ニ気ヲ付ケテ下サイ。」
「プルルルルルル!」
「………」
驚いた…
なんだ?デンワ自体が分からない。
タイチは遠くからでも会話できる機械と言っていたが…
「プルルルルルル!」
この音はなんだ?
とてもうるさいな…どうすればいいのだ?
「プルルルルルル!」
……………
「プルルルルルル!」
…………………………
「プルルルルルル!」
「いい加減にしろ!うるさい!静まれ!」
「プルルルルルル!」
「………」
「プルルルルルル!」
「いい加減にしろと言ってるだろ!!」
バシィ!!
カチャ
「…?」
「あ!やっと出たよ!母さん、俺だよ。俺~。」
手が痛い…が、やっと止まった…と思いきや叩き飛ばしたデンワの一部が取れ、そこから声が聞こえてきた。
「誰だ?貴様は。タイチか?」
「え?あぁ。そうそう!タイチだよ俺!母さん、ちょっと頼みたいことが…」
「我はお前の母さんではないぞ。」
「…は?」
「だいたい、タイチはそんな声ではないぞ。ということは…偽物か?」
「あ、あぁ、ちょっと風邪ひいて…ゲホッゲホッ」
「演技にしか聞こえないな。用がないなら…どうすればいいんだ?」
「そ、それよりもさぁ、俺今月ヤバくてさぁ~百万くらいくれない?今月使いすぎちゃったんだよねぇ~。後母さんなんか声変だよ?いい病院紹介してあげるからタクシー代で5000円くれない?」
ふむ…これは時々テレビとやらで流れていたサギ、という奴か?サギ、というのは確か自分の子供や役人になりきり、金銭を騙し取ろうとするハンザイシャっていうやつだったかな。
「断る。じゃぁな。」
「え?おい!ちょっ!待っ…」
ガシャン。ツー、ツー、ツー。
「怪シイト感ジタラ、スグニ警察ニ通報シテ下サイネ。」
デンワとやらの使い方が少し分かったかもしれない。
あの機械の一部を元に戻すと会話を終了出来るみたいだな。戻すの大変だったな。腹も減ってきた。その為にも、肉を見つけなければ…
「今ノ電話ヲアンシン番号ニ登録スル場合ハ1ヲ、オ断リ番号トシテ登録スル場合ハ0ヲ、登録シナイ場合ハ停止ボタンヲ押シテ下サイ。」
~五分後~
ここがキッチンか?
他の場所よりも清潔感がある所だ。
レイゾウコはどれだ?一つ一つ探りを入れるしかないか。これはなんだ?
………
よく分らないな。
これは?
………………
これもよく分らない。
こっちは?
………………………
何かを入れるということはわかったがよく分らない。
この大きな黒い箱はなんだ?
「!?」
開けた瞬間、突然冷気が襲ってきた。
この箱かららしい。
一瞬だけだったが…肉が見えた!
これがレイゾウコか。
あれを手に入れさえすれば、飢えはしのげるだろう。
行ってみるか…!
さ、寒い…
なんとか肉がある場所にはたどり着けたが、今にも凍えそうだ。とにかく、これを運び出さなければ…
~十分後~
寒かったが、肉は運び出せた。
さあ、早く部屋に戻って食べよう。
~五分後~
ようやく運び終わった…
肉の運搬作業…今思うと必要なかったと思う。
その場で食べてしまえばよかったのに。
しかし、何故だろう?
少しでも、行儀よく、礼儀正しく、机の上で。
………人間の文化が我の体に染み付いているようだ。
…そんなことはどうでもいい。
早く食べよう。
~十分後~
腹は十分満たされた。
さて、あとはタイチかその両親が帰ってくるまで耐えるだけか。
………そういえば、我の両親はどんなのだろうか?
一度も顔を見たことがない。
どんな感じなのだろう?こんな殺伐としてない銀河で育った我をどう思っているのだろうか?
悲しく思ってなければいいが…
『繁殖をした後の雄は一ヶ月に亡くなる。雌は卵を産んだ一ヶ月後亡くなる。』
本能が告げた。
……………………………
我の親はもう死んでいるのか?
子の顔を見れず死んでしまったのか?
「 」
「…?」
なにかがいた気がする。
我の親か?あの世から見守っているのか?
「チガウ!!!!!!」
バン!
「っ!?」
突然机が揺れた。
チガウ?
何がだ?
「ワレハァ…キサマヲォ…シアワセナキサマヲォ…コンセノキサマヲォ…ユルサナイィ…」
「誰だ貴様は。名乗れ。」
「イ ウ モ ノ カ 」
「……?」
「 」
………
なんだったんだ?
今のは。赤い…何かがいた?
それから5時間後、タイチが帰ってきた。
留守番している間になにがあったかは言わないでおく。
次回に続く。
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