ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第46話 チート薬

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 翌朝、ヒルデガルドは修斗が泊まる宿屋の部屋に、朝早くから押しかけて来た。

「早く起きてシュウト! ルッツを優勝させてくれるって言ったでしょ!!!」

 部屋のドアを力いっぱい叩きまくり、鍵のかかったノブを乱暴に回している。
 部屋の中からは物音がしたので、修斗が目を覚ましたのかもしれな……随分と音の数が多い様だ。
 ベッドから降りる音が数回、背伸びをする声が多数、着替えをする音も数名分。

 そして全てが女性の声だ。
 ドアの鍵が開き、ゆっくりと開いた。

「早くしてよシュウ……ト?」

 部屋の中には髪の乱れた女性が裸で立っていた。
 
「あら? 随分と若いわね。ねぇシュウトくん、この子も呼んだの?」

「ん? ああそいつは違う。おい、入ってこい」

 シュウトに呼ばれ、怪訝けげんな顔つきで部屋に入ると、そこには10名以上の若い女性がいた。
 裸だったり下着だったり、数名は服を着ている最中だ。
 
「しゅ、しゅ、しゅ、シュウト? ナニやってたの?」

「ナニ? 抱いてたんだが」

「こんなに沢山の女性と抱き付くなんて不潔だわ!」

 どうやらまだ男女の行為についての知識は無い様だ。
 修斗も裸なのだが、布団からは上半身しか見えないため、下半身の膨らんだモノはヒルデガルドからは見えていない。

「剣闘会はいつからだ?」

「ひぇ? け、剣闘会は昼からだけど、午前中に受付をしないといけないよ?」

「そうか、なら昼から行く。受付だけ済ませておけ」

 そう言ってベッドから降りる修斗。
 もちろん下半身は隠していない。

「ぴにゃ~~~~~~!!! パパのと違うーーーー!!!」

 ドアも閉めずに走り去っていった。
 おさまらない物を治めるため、修斗は午前中いっぱい女性たちに相手をさせるのだった。



 昼近くになり、修斗は聞いていた剣闘会の会場に来ていた。
 会場と言っても大きな広場に4つの大きな台が設置されており、その周辺には天幕が張られているだけだ。
 観客は好きに見学をしてくれというスタンスだろうか。

 周囲を見回すと、ルッツとヒルデガルドを見つけた。
 ヒルデガルドはベンチに座り、その横にルッツが車いすに乗っている。

「ここに居たのか」

「やあシュウト君、来てくれたんだね」

「しゅしゅしゅ、シュウト遅いわひょ!」

「なぜ焦っている?」

「あああ、焦って何かいないわびょ! そ、それよりもシュウト? 後ろの女の人達はなに?」

 修斗の背後にはゾロゾロと女性たちが付いて来ていた。
 ついさっきまで抱いていた女なのだが、用事が終わったから帰れと言っても帰らず、そのまま修斗に付いてきていた。
 10人ほど居るのだが、商売女や宿屋の娘、飲み屋の踊り子やウエイトレスなど、手当たり次第に声をかけた結果、全員が夜を共にしたのだ。

「気にするな、一晩やりまくって飽きた女達だ。それよりお前、この薬を飲んでみろ」

 懐から出した小瓶をルッツに渡す。
 見た事もない薬に警戒しているようだが、一口二口なめて、大丈夫と判断したのか一気に飲み干した。

「この薬はなんだい?」

「お前に効く特効薬さ」

 実は修斗、昨日のうちにスキルを追加していたのだ。
 錬金術LV100
 錬金術はいわゆる化学の分野に長けているため、薬の知識や調合技術に優れている。そのスキルを使って作り出したのがこの薬だ。

 するとどうだろう、ルッツは車いすから立ち上がり、自分の足で歩き始めたではないか!

「る、ルッツ!? ど、どうしたの一体!?」

「それが僕にも分からないんだ。なぜか足に力が入るようになって、まさかと思ったら立つ事が出来たんだ」

 修斗が渡した薬は1日限定で元気100倍、ステータスは1000プラスされるという物だ。
 各種ステータスが1000増えるので、1日限定で勇者クラスの能力を発揮する事が出来るという、まさにチート薬だ。

「剣はコレを使え。時間まで俺が相手をしてやるから、剣の使い方を覚えるんだ」

 修斗は担いでいたバッグから剣を取り出し、ルッツに渡した。

「さぁ打ってこい!」

 そう言って自分も剣を構えてルッツを迎え撃つ。
 ルッツは元気になって嬉しいのか、大声を上げて力任せに剣を振ってくる。
 しかし剣の持ち方も知らないズブの素人だけあり、剣の扱い方はめちゃくちゃだ。
 なまじステータスが高いため、傍から見るとそういう戦法に見えてしまうのが恐ろしい所だ。

 ある程度の達人ならば、技術であしらわれてしまうかもしれない。
 仕方がなく修斗は剣の持ち方から振り方、相手のスキを突く方法を伝授する。
 普通ならば簡単に覚えられるものではないが、知力も1000を超えているため、教えた事を要領よく覚え、しかも自ら改良までしてのけた。

 そして数度の手合わせの結果、勇者が出てきてもいい試合になるだろうと判断し、後は剣闘会が始まるのを待つだけとなった。

 剣闘会が始まると、会場では厳つい戦士共が各ステージ上で剣技を競い合った。
 中には女性戦士も居たのだが、残念ながら修斗の好みのタイプは居ない様だ。
 そしてルッツの番になり、ステージに上がると相手戦士は指をさして笑っている。

「だっはっはっは! なんだお前のその体は! 俺を見ろ! 戦士とは鍛え抜かれた肉体を駆使して戦う者だ! 貴様の様な軟弱なヒョロガリが務まる物ではないぞ!」

 それに同調して他の戦士たちも笑っている。
 ヒルデガルドは顔を真っ赤にして怒っているが、ルッツはいたって冷静だった。

「大丈夫だよヒルデガルド。見てて、今の僕は今までの僕とは違うんだから」

 それだけ言ってステージの階段を登り、防具もつけず普通の私服で、剣一本だけ持ち、その顔は自信に満ち溢れている。
 
 互いに剣を構えて試合が開始されると、相手の戦士は一瞬で場外に叩きつけられ、意識を失って倒れていた。
 
「え?」

 会場中からそんな声が聞えてくる。
 どうやら相手の戦士は名の知れた戦士らしく、優勝候補の一角だったらしい。
 それを一瞬で倒してしまったのだから、理解が出来ないのも仕方がない。

 ちなみに相手戦士の一番高いステータスは力強さ158、剣技LVは38。
 戦士としては実力者といって良いだろう。
 しかし今のルッツは薬によるドーピングにより、力強さ1009、剣技LV62。

 勝負になるはずがなかった。

 その後もルッツは問題なく勝ち進み、遂に決勝戦を迎える事になる。
 決勝のステージにルッツが上がると、相手の戦士もステージに上がった。
 相手の戦士も細身だが、左目が切られた痕があり、右目しか見えていない様だ。
 しかし……。

「俺はロサ傭兵団団長ベアトリス。お前の名を聞こう」

「僕はルッツ。あなたも一瞬で終わらせてもらうよ!」

「その心意気や良し。心ゆくまで語り合おう」

 試合が開始される。
 今までと同じようにルッツは相手を場外に吹き飛ばそうと剣を振り回す。
 大きな金属音がすると、ステージ上に倒れているのは……ルッツだった。
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