ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第3章 異世界召喚

第112話 飼い殺しの国

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 カイリと男勇者たちが出かけて数日、ラグズは魔道具を色々と作っていた。
 電子レンジは無理だったが、オーブンが完成したため、焼き物がいつでも食べれるようになった。
 冷風機や温風器も完成し、夏や冬はすごしやすいだろう。

「これがあれば俺達は随分と過ごしやすくなるな」

「そうッスね~。ただやっぱり……」

「ああ、属性付きの魔石は俺にしか作れない様だ」

 魔石は通常の付与魔法とは違い、燃料として魔力を使う都合上、炎(熱)の属性を持たせたまま魔力を出力させることが非常に難しく、町の魔石屋では出来なかったのだ。
 修斗達が自分たちで使う分にはいいが、汎用性が無い。

「こればっかりは魔法制御の上手な人を探すしか、手はないッスね~」

 魔法技術自体は元の世界の方が高いので、可能な人物がいる事を祈るしかない。
 
 そしてカイリ達が帰ってきたが、その表情はとても複雑だ。

「ただいま戻りましたシュウト様」

「どうだった? 交渉は上手く行ったのか?」

「はい、それなのですが……イルメリータント国は、準メンバーとして受け入れる事が決まりました」

「ほぅ、上々じゃないか。俺は突っぱねられると思っていたからな」

「入れた事は良いのですが、発言権は無い上に、運営資金の半分を負担するという条件でした」

「なんだそりゃ。金だけ払えって事か?」

「一応は情報の共有や戦力の融通など、最低限の権利は得られましたが、イルメリータント国にとってはあまりにも苦しい条件です」

「生かさず殺さずに近いな。イルメリータントは大国らしいから、滅んでもらっても困る、だが仲間に入れるのは不安。その中でギリギリの譲歩だったのかもしれないな」

「私がもう少し交渉出来れば……」

「無茶を言うな。今のお前以上の交渉なんて、俺やエルノヴァにしか出来ん」

「え? しかし勇者様は?」

「自分のステータスを確認して見ろ」

 言われてカイリはステータスを開く。

 名前:カイリ・ラスティア
 年齢:21歳
 HP:51329
 MP:36151
 力強さ:3722
 知 力:5688
 防御力:2702
 素早さ:2600
 魅 力:6476
 状 態:
 スキル:外交LV54
     聖王女
     限界解除

 目を大きく見開き、口をパクパク動かしている。
 ここしばらくは修斗としてばかりで、能力が上がる行動をとっていなかったため、どうして爆上がりしているのか理解できない様だ。

「男連中よりも、交渉はお前の方が上だな」

「しゅ、シュウト様? これは一体どういう事でしょうか……???」

「気にするな、お前は強くなった、それだけだ。とはいえ、勇者連中の方が強さは圧倒的に上だがな」

 勇者の方が強いとはいえ、この世界の人間らしき者ヒューマノイドとしては圧倒的であり、誰も手が出せないだろう。
 本当は魔族に対抗できる能力にしたかったようだが、それはあまりに時間がかかり過ぎるため、この数値で妥協するしか無いだろう。

 この日の晩は、最後のお楽しみとして6Pをしたかったようだが、残念ながら晩餐会が開催されてしまった。
 とはいえ、終わったら終わったで6Pを決行したのだが。




「随分と短い付き合いだったが、それなりに楽しめた。もう会う事は無いだろうが、達者で暮らせよ」

 朝を迎え、修斗達は元の世界に戻るため、中庭に集まっている。
 
「けっ! てめぇ~にはひっでぇ~目に合わされたぜぇ、あ~ん?」

「お前達と過ごした時間は、楽しかったよ」

「みんなも元気で暮らしてくれ! 我々はこの世界を護り抜いて見せる!」

「ふふふ、がんばってね。楽しかったよみんな」

「みんな元気で……さようなら」

「お主ら、魔族や人間モドキヒューマノイドなどと気にする事は無いぞ? 好きにするのじゃ」

「ラグは本当に短い間だったッスけど、お互い元気でいましょうッス!」

「皆さん、本当にありがとうございました。勇者召喚という過酷な運命を背負わせたのに、助けて頂いた恩、決して忘れません」

 大きな魔法陣が地面と中空に現れ、4人の女達は魔法陣に入る。
 アイカ、ヴァージニア、ラグズ、エルノヴァは魔法陣が光ると、すでに姿が無くなっていた。

「カイリ、一つだけアドバイスをやる。完全な平和などあり得ない、お前が身をもって経験したことを、決して忘れない事だ」

「シュウト様……ありがとうございます。何とお礼を言っていいか……」

 修斗は一歩前進し、カイリのあごを持ち唇にキスをする。
 優しく、静かに。
 カイリは一瞬驚くが、ゆっくりと目を閉じると、修斗の胸に手を当てる。

 修斗は1度だけ強くカイリを抱きしめると手を離し、離れ際に人差し指でカイリの鼻の先に触れる。

「じゃあな。楽しかったぞ」

 魔法陣の中に入り、元の世界に戻ろうとする……が、上空から何者かが急降下してくる。
 ソレは修斗を目がけて急降下し、両手を大きく広げて首に狙いを付けた。
 そして手を振り抜く。

「ハニ~! どこ行くのよ! 私を置いて行かないでよ!」

 ソレは修斗の首に抱き付いて離れない。

「お前は……サキュバスのラライラ・ライラか! なんだ? ハニーというのは?」

「だって、アナタっていうと怒るんだもの。だから、ハニーって呼ぶの!」

「キャラが変わって無いか? お前」

「女はね、愛する人のためならいつでも変われるの!」

「ええい! いいから離せ! 転送が……あ」

 カイリが口を押さえて笑っている姿を最後に、魔法陣は転送を開始した。

(まぁ、涙で別れるよりは、笑顔の方がいいだろう)

 


 魔法陣が光を放ち、残り2人の転送を完了させた。
 そこは城の野外訓練場で、すでに沢山の兵士たちが膝をついていた。

「お帰り……シュウト」

「シュウト様、お帰りなさいませ!」

「お帰りなさい、シュウトさん」
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