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第5章 世界大戦
第179話 技術屋だってやれることがあるッス!
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フランチェスカの魔法により防衛隊の士気は回復し、魔物の大行進もかなり減らす事が出来た。
しかし依然として危機的状況なのは変わらず、魔物の数も5万を超えている。
「固定式大型弩は射程に入り次第発射しろ! 弓兵と魔法兵も順次攻撃を開始!」
軍の防衛指揮官の命令が各所に飛ぶ。
城壁の上に備え付けられた固定式大型弩は射程が長く威力も大きい。それが40基ほどあるのだが、それらが順次発射されていく。
弓は高い位置から発射されるため、通常よりも威力・射程共に長いのだが、残念ながら魔法は高所だからと射程が長くなる事は無い。
ライトの魔法で昼間のように明るいため、魔物の動きが手に取るようにわかり、常に先手を打てるのは大きい。
「どうしよう……ラグ、おかしくなっちゃったッス」
「え? どうしたっていうの?」
「フランチェスカさんが使った魔法、別に大した事なかったなって思ってたッスよ!」
「あはは、それはそうよね、もっと凄い魔法を見てるんだものね」
ラグズは文字通り『山の形を変える魔法』を目にしており、1万どころか10万の魔物を倒す魔法を見た事もある。
ラグズの中のAランク冒険者の代表格は修斗であり、フランチェスカは新人だからこの程度なんだな、と思っていたのだ。
しかし周囲の反応を見るに、今の魔法ですらとんでもない魔法だった事を知ったのだ。
「気にしなくても良いわよ。私だって感覚が狂う事はよくあるもの」
「そ、そうッスよね? じゃあラグはやれることをやって来るッスから、フランチェスカさんも頑張ってくださいッス~」
そう言ってラグズはどこかへ走り去ってしまった。
「え? ラグがやれる事って、今あるの?」
ラグズが走って行った先、それは門だった。
到着すると直ぐに肩にかけてあったバッグから道具を取り出し、作業の準備に入る。
最初に出て来てのはブーツ。
白いブーツだが、それに履き替えると他の道具を手にする。
道具、というよりも、まるで巨大な接着剤のチューブの様なものを手にしている様だが……?
「あ、指揮官さーん、ちょっと補強をしたいんスけど、門と城壁と、どっちを強くした方がいいッスかね」
「なに補強? それはどっちとも強くしたいが、そうだな、城壁よりも門の方が弱いから、門を補強してくれると嬉しいな」
「了解ッス! それじゃあ外から補強するッスね!」
「は!? まてまて、今外に出るなんて、オーイ!」
なんとラグズ、空を走って門の外に出て行ってしまった。
どうやら履き替えたブーツは空を飛べる物のようだ。
「ふんふふんふふ~ん。さあ、キビキビとやっちゃうッスよぉ~!」
巨大な接着剤のチューブのキャップを外し、門の上からニュルニュルと塗っていく。
高い所もブーツのお陰で簡単に塗れて、門全体に満遍なく塗る事が出来た。
「ヨシっと。じゃあ蝶番にも塗っときましょうッス」
蝶番の門と城壁の接合部分に塗り、門の補強は完了した。
「まだ補強材は残ってるッスね。城壁にも塗っておくッスよ!」
門の両脇の石壁のつなぎ目に流し込み、門周辺の補強が完了した。
どうやらこの補強材、コンクリート質の瞬間接着剤で、すぐに乾く上にかなりの強度アップが見込めるようだ。
だが長期間は持たないため、精々がひと月程度が限度だろう。
今はそれだけ持てば十分だ。
「1本目が無くなっちゃったッスね。もう1本あるッスけど、壁が壊れた時の修理用に残した方がいいッスかね」
ま、フランチェスカさんが居れば必要ないと思うんスよね~、と思っているが、万が一という事があるため、念のため残しておくようだ。
「あと出来る事と言えば……うん、思いつかないッスね! 思いついたらその時にやるッスよ!」
なぜかとてもお気楽だった。
そのころ冒険者達は敵に向けて攻撃を開始していた。
「撃てー! 撃ちまくれー!」
ベルゴットの指示のもと、矢と魔法が飛び交っていた。
魔物の速度は速く、第1波はそろそろ城壁にたどり着こうとしている。
矢が雨のように降り注ぎ、魔法は嵐となって魔物に襲い掛かる。
フランチェスカはその魔法の強さゆえ周囲には誰もおらず、好き放題に魔法を放っていた。
「なぜかしら、集団防衛戦のはずなのに、私は1人で戦っている様な気がするわ」
それも仕方が無い事で、フランチェスカの火力を無駄にしない為には、周囲に人が居てはダメなのだ。
城壁の上なのに、左右100メートル以内には誰もいない。
なのでフランチェスカは200メートルの範囲をいっぱいに使い、魔法を連射している。
魔物の距離が近いので8つの魔法の同時使用は控え、極大火炎弾は単体で遠距離の魔物に使用している。
それと並行して、フランチェスカが自分で唱えた魔法で近距離の魔物への攻撃もしている。
遠くではあちこちで爆発し、近くでは雷や水の魔法、風も併用して戦っているようだ。
水で濡らし雷を通りやすくしたうえで、風の魔法で体温を奪い凍らせる。
寒い地域の魔物なのに、寒さで凍えて死んでしまっている。
水で濡れた体が凍ってしまっては、寒い地域の生き物でも関係ないようだ。
気が付けばフランチェスカが担当する200メートルの幅には、魔物が寄り付かなくなっていた。
しかし依然として危機的状況なのは変わらず、魔物の数も5万を超えている。
「固定式大型弩は射程に入り次第発射しろ! 弓兵と魔法兵も順次攻撃を開始!」
軍の防衛指揮官の命令が各所に飛ぶ。
城壁の上に備え付けられた固定式大型弩は射程が長く威力も大きい。それが40基ほどあるのだが、それらが順次発射されていく。
弓は高い位置から発射されるため、通常よりも威力・射程共に長いのだが、残念ながら魔法は高所だからと射程が長くなる事は無い。
ライトの魔法で昼間のように明るいため、魔物の動きが手に取るようにわかり、常に先手を打てるのは大きい。
「どうしよう……ラグ、おかしくなっちゃったッス」
「え? どうしたっていうの?」
「フランチェスカさんが使った魔法、別に大した事なかったなって思ってたッスよ!」
「あはは、それはそうよね、もっと凄い魔法を見てるんだものね」
ラグズは文字通り『山の形を変える魔法』を目にしており、1万どころか10万の魔物を倒す魔法を見た事もある。
ラグズの中のAランク冒険者の代表格は修斗であり、フランチェスカは新人だからこの程度なんだな、と思っていたのだ。
しかし周囲の反応を見るに、今の魔法ですらとんでもない魔法だった事を知ったのだ。
「気にしなくても良いわよ。私だって感覚が狂う事はよくあるもの」
「そ、そうッスよね? じゃあラグはやれることをやって来るッスから、フランチェスカさんも頑張ってくださいッス~」
そう言ってラグズはどこかへ走り去ってしまった。
「え? ラグがやれる事って、今あるの?」
ラグズが走って行った先、それは門だった。
到着すると直ぐに肩にかけてあったバッグから道具を取り出し、作業の準備に入る。
最初に出て来てのはブーツ。
白いブーツだが、それに履き替えると他の道具を手にする。
道具、というよりも、まるで巨大な接着剤のチューブの様なものを手にしている様だが……?
「あ、指揮官さーん、ちょっと補強をしたいんスけど、門と城壁と、どっちを強くした方がいいッスかね」
「なに補強? それはどっちとも強くしたいが、そうだな、城壁よりも門の方が弱いから、門を補強してくれると嬉しいな」
「了解ッス! それじゃあ外から補強するッスね!」
「は!? まてまて、今外に出るなんて、オーイ!」
なんとラグズ、空を走って門の外に出て行ってしまった。
どうやら履き替えたブーツは空を飛べる物のようだ。
「ふんふふんふふ~ん。さあ、キビキビとやっちゃうッスよぉ~!」
巨大な接着剤のチューブのキャップを外し、門の上からニュルニュルと塗っていく。
高い所もブーツのお陰で簡単に塗れて、門全体に満遍なく塗る事が出来た。
「ヨシっと。じゃあ蝶番にも塗っときましょうッス」
蝶番の門と城壁の接合部分に塗り、門の補強は完了した。
「まだ補強材は残ってるッスね。城壁にも塗っておくッスよ!」
門の両脇の石壁のつなぎ目に流し込み、門周辺の補強が完了した。
どうやらこの補強材、コンクリート質の瞬間接着剤で、すぐに乾く上にかなりの強度アップが見込めるようだ。
だが長期間は持たないため、精々がひと月程度が限度だろう。
今はそれだけ持てば十分だ。
「1本目が無くなっちゃったッスね。もう1本あるッスけど、壁が壊れた時の修理用に残した方がいいッスかね」
ま、フランチェスカさんが居れば必要ないと思うんスよね~、と思っているが、万が一という事があるため、念のため残しておくようだ。
「あと出来る事と言えば……うん、思いつかないッスね! 思いついたらその時にやるッスよ!」
なぜかとてもお気楽だった。
そのころ冒険者達は敵に向けて攻撃を開始していた。
「撃てー! 撃ちまくれー!」
ベルゴットの指示のもと、矢と魔法が飛び交っていた。
魔物の速度は速く、第1波はそろそろ城壁にたどり着こうとしている。
矢が雨のように降り注ぎ、魔法は嵐となって魔物に襲い掛かる。
フランチェスカはその魔法の強さゆえ周囲には誰もおらず、好き放題に魔法を放っていた。
「なぜかしら、集団防衛戦のはずなのに、私は1人で戦っている様な気がするわ」
それも仕方が無い事で、フランチェスカの火力を無駄にしない為には、周囲に人が居てはダメなのだ。
城壁の上なのに、左右100メートル以内には誰もいない。
なのでフランチェスカは200メートルの範囲をいっぱいに使い、魔法を連射している。
魔物の距離が近いので8つの魔法の同時使用は控え、極大火炎弾は単体で遠距離の魔物に使用している。
それと並行して、フランチェスカが自分で唱えた魔法で近距離の魔物への攻撃もしている。
遠くではあちこちで爆発し、近くでは雷や水の魔法、風も併用して戦っているようだ。
水で濡らし雷を通りやすくしたうえで、風の魔法で体温を奪い凍らせる。
寒い地域の魔物なのに、寒さで凍えて死んでしまっている。
水で濡れた体が凍ってしまっては、寒い地域の生き物でも関係ないようだ。
気が付けばフランチェスカが担当する200メートルの幅には、魔物が寄り付かなくなっていた。
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