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第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第241話 実力差を分からせるには
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満面の笑みで美人をパーティーに誘ったのに一瞬でフラれたヨーゼフ少年。
自分の顔や女性への接し方に自信があったようで、まさかフラれるとは思っていなかったようだ。
そしてついに我慢できなくなった者が声を上げる。
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃ! ヤクシに、ヤクシに瞬殺されてやんの! ひー! ヒー! 笑いがとまらねー!」
ガッコウが腹を抱えて転げ回っている。
大人しくしていると思ったら、こうなる事を予想して大人しくしていたようだ。
ガッコウ自身も美少女と言っていいが、なにぶん性格がコレなのが災いしている。
顔を真っ赤にして怒っている……のはヨーゼフではなく、騎士風の男だった。
「貴様! ヨーゼフ様を振るとは何事か! こう見えてもヨーゼフ様はビービレの第一お――」
「いや~フラれちゃったね~。キレイなお姉さんだからお近づきになりたかったけど、腕も立つし護衛も要らないか~。あ、せめてお友達になってくれると嬉しいんだけどな」
騎士風の男の言葉を遮り、頭をかきながらヘラヘラと笑っている。
怒り心頭な騎士だったが、本人がやめろと言うならやめるしかない。
それでも多少の希望は持ちたいようだ。
そして大声でようやく目を覚ましたシャンディラ。
「ん……。あれ? が、ガッコウさん? お腹を抱えてどうしたんですか?」
状況を全く理解できていないが、全く場にそぐわない言葉にガッコウはさらに笑ってしまった。
「ひー、ひー、お前いいタイミングだわ。目も覚めた事だし行くとすっか」
「そうですね。それでは皆さん失礼します」
「え? えっと、えっと、し、失礼します!」
相変わらず理解できていないシャンディラは、ヤクシの真似をして頭を下げた。
そのまま別れようとしたのだが……なかなか諦めが悪いようだ。
地図を確認・加筆しながらなので速度が出ない為、6人はずっと後を追いかけてくる。
気にしないで先へ先へと進んでいくのだが、不意にガッコウが足を止めた。
「ガッコウ?」
「あ~面倒くせぇ。おいお前ら! 後を付けてくんなよな!」
気楽な女3人旅を楽しむはずが、ゾロゾロと後を付いて来られるのが嫌だったのだろう。
「ま、まぁまぁ待ちなよ、女性だけじゃ危険だろ? せめて戦力になるから連れて行ってよ」
「いらねーってんだよ。大体足手まといが戦力になるわけねーだろ?」
「き、貴様! 我々が足手まといだというのか!」
またしてもバカにされ、また顔を真っ赤にして怒りをあらわにする騎士。
もちろんこの塔の51階まで来るだけの実力はあり、もう少し先まで進むことも可能だろう。
そう、もう少し先まで、だ。
「大体さぁ、お前ら気付いてねーんだろ?」
「何をだ!」
懐に両手を入れて、大型の回転式拳銃を2丁取り出すガッコウ。
それを曲芸の様に天井・壁・通路に向けて乱射する。
大型拳銃2丁の射撃音は凄まじく、ヤクシ・シャンディラ以外は思わず身をかがめて耳を押さえた。
射撃が終わり、拳銃を懐に戻すと、天井からは昆虫型魔物が、壁には獣が、通路の先からは大きなものが倒れる音がした。
そう、魔物たちが待ち構えていたのだ。
「気付いてねーからそんな無防備だったんだろ?」
「え? が、ガッコウさん、こんなあからさまな待ち伏せ、き、気付かないはずが……え? 本当?」
シャンディラが6人を見ると、本当に気づいていなかった様で目を丸くして驚いている。
どうやらシャンディラでさえ気付いていたのに、偉そうな口をきいた6人は気付いていなかったようだ。
まぁシャンディラにしてもAランク冒険者くらいには能力があるうえ、特殊スキルのお陰かもしれないが。
「……どうやらここまでのようですね。皆さんは怪我をされない内に戻る事をお勧めします」
一瞬で魔物を倒したうえ未知の武器を使うガッコウ。
少なくとも6人が束になっても勝てない相手であり、残りの2人にしても仲間ならばそれに近い能力があるハズ、そう考えたら足手まといと言われても仕方がなかった。
呆然と立ち尽くし、ヤクシ達が先へ進むのを黙って見ているしかなかった。
6人は弱くはない。しかし相手が悪かったうえに、もう少し先まで進める実力はあるにせよ、無傷で行けるわけではない。
特に今回の様に魔物が協力して攻めて来られたら、太刀打ちする事は出来ないだろう。
塔に対する認識が甘かった、そう考えて出直すのだが、それは6人にとって吉と出る。
「あ、あの人たち、つ、付いてきませんね」
「アレでついてきたら、温厚なアタシでもブチギレだぜ」
「この先に進めば怪我では済まないでしょうから、あれでよかったのでしょうね」
走りながら魔物を倒し、地図を埋め、宝箱を見つけて喜ぶ3人。
この日は60階までの地図を完成させ、翌日は61階からスタートするのだが、順調なのは80階までだった。
自分の顔や女性への接し方に自信があったようで、まさかフラれるとは思っていなかったようだ。
そしてついに我慢できなくなった者が声を上げる。
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃ! ヤクシに、ヤクシに瞬殺されてやんの! ひー! ヒー! 笑いがとまらねー!」
ガッコウが腹を抱えて転げ回っている。
大人しくしていると思ったら、こうなる事を予想して大人しくしていたようだ。
ガッコウ自身も美少女と言っていいが、なにぶん性格がコレなのが災いしている。
顔を真っ赤にして怒っている……のはヨーゼフではなく、騎士風の男だった。
「貴様! ヨーゼフ様を振るとは何事か! こう見えてもヨーゼフ様はビービレの第一お――」
「いや~フラれちゃったね~。キレイなお姉さんだからお近づきになりたかったけど、腕も立つし護衛も要らないか~。あ、せめてお友達になってくれると嬉しいんだけどな」
騎士風の男の言葉を遮り、頭をかきながらヘラヘラと笑っている。
怒り心頭な騎士だったが、本人がやめろと言うならやめるしかない。
それでも多少の希望は持ちたいようだ。
そして大声でようやく目を覚ましたシャンディラ。
「ん……。あれ? が、ガッコウさん? お腹を抱えてどうしたんですか?」
状況を全く理解できていないが、全く場にそぐわない言葉にガッコウはさらに笑ってしまった。
「ひー、ひー、お前いいタイミングだわ。目も覚めた事だし行くとすっか」
「そうですね。それでは皆さん失礼します」
「え? えっと、えっと、し、失礼します!」
相変わらず理解できていないシャンディラは、ヤクシの真似をして頭を下げた。
そのまま別れようとしたのだが……なかなか諦めが悪いようだ。
地図を確認・加筆しながらなので速度が出ない為、6人はずっと後を追いかけてくる。
気にしないで先へ先へと進んでいくのだが、不意にガッコウが足を止めた。
「ガッコウ?」
「あ~面倒くせぇ。おいお前ら! 後を付けてくんなよな!」
気楽な女3人旅を楽しむはずが、ゾロゾロと後を付いて来られるのが嫌だったのだろう。
「ま、まぁまぁ待ちなよ、女性だけじゃ危険だろ? せめて戦力になるから連れて行ってよ」
「いらねーってんだよ。大体足手まといが戦力になるわけねーだろ?」
「き、貴様! 我々が足手まといだというのか!」
またしてもバカにされ、また顔を真っ赤にして怒りをあらわにする騎士。
もちろんこの塔の51階まで来るだけの実力はあり、もう少し先まで進むことも可能だろう。
そう、もう少し先まで、だ。
「大体さぁ、お前ら気付いてねーんだろ?」
「何をだ!」
懐に両手を入れて、大型の回転式拳銃を2丁取り出すガッコウ。
それを曲芸の様に天井・壁・通路に向けて乱射する。
大型拳銃2丁の射撃音は凄まじく、ヤクシ・シャンディラ以外は思わず身をかがめて耳を押さえた。
射撃が終わり、拳銃を懐に戻すと、天井からは昆虫型魔物が、壁には獣が、通路の先からは大きなものが倒れる音がした。
そう、魔物たちが待ち構えていたのだ。
「気付いてねーからそんな無防備だったんだろ?」
「え? が、ガッコウさん、こんなあからさまな待ち伏せ、き、気付かないはずが……え? 本当?」
シャンディラが6人を見ると、本当に気づいていなかった様で目を丸くして驚いている。
どうやらシャンディラでさえ気付いていたのに、偉そうな口をきいた6人は気付いていなかったようだ。
まぁシャンディラにしてもAランク冒険者くらいには能力があるうえ、特殊スキルのお陰かもしれないが。
「……どうやらここまでのようですね。皆さんは怪我をされない内に戻る事をお勧めします」
一瞬で魔物を倒したうえ未知の武器を使うガッコウ。
少なくとも6人が束になっても勝てない相手であり、残りの2人にしても仲間ならばそれに近い能力があるハズ、そう考えたら足手まといと言われても仕方がなかった。
呆然と立ち尽くし、ヤクシ達が先へ進むのを黙って見ているしかなかった。
6人は弱くはない。しかし相手が悪かったうえに、もう少し先まで進める実力はあるにせよ、無傷で行けるわけではない。
特に今回の様に魔物が協力して攻めて来られたら、太刀打ちする事は出来ないだろう。
塔に対する認識が甘かった、そう考えて出直すのだが、それは6人にとって吉と出る。
「あ、あの人たち、つ、付いてきませんね」
「アレでついてきたら、温厚なアタシでもブチギレだぜ」
「この先に進めば怪我では済まないでしょうから、あれでよかったのでしょうね」
走りながら魔物を倒し、地図を埋め、宝箱を見つけて喜ぶ3人。
この日は60階までの地図を完成させ、翌日は61階からスタートするのだが、順調なのは80階までだった。
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