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第6章 ダンジョンから始まる世界交流
第243話 埋まる隙間
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「ってオイ! シャンディラ何してんだよ! ヤクシの手! 手を繋げって!」
言われて慌てて手を握るのだが、ヤクシもシャンディラも不思議な感覚を味わっていた。
そう、ずっと手を握っているつもりでいたのだ。
ヤクシはシャンディラの視覚情報を感覚として受け取っていたし、シャンディラも見られている意識があったのだ。
「おかしいですね。私、シャンディラの目で見ていたはずですが……」
「わ、私も、です……だから、て、手を繋いでるものだと」
「え? そうなのか? じゃあなんで? まさかヤクシ、手を繋いでなくても感覚を受け取ってんのか?」
ガッコウが近くに来て手をつなぐと、ヤクシには視覚情報が伝わってくる。
そしてワザとガッコウが手を離すのだが、はやり視覚情報は途切れていた。
「ダメですね、手を離すと見えなくなりました。ガッコウ、もういち……!!」
ガッコウに両手を差し出すとヤクシの動きが止まる。
何も見えなくなったしまったのだ。
両手を差し出したのは無意識だったが、それによって一つの仮説がヤクシの中で完成する。
「ヤクシ? 大丈夫かヤクシ?」
「え、ええ大丈夫です。お陰で理由が分かった気がします」
ヤクシの仮説だが、手を離していても視覚情報が共有されていたのはシャンディラにある、と。
シャンディラのスキルは『相手の視線を認識して殺す』だが、言い方を変えると『相手の意識が自分に向くと相手に影響を与える』でもある。
つまりシャンディラがヤクシを意識している内は、シャンディラはヤクシの体に感覚共有という影響を与えられるのだ。
目に見えない距離にいても相手を殺すシャンディラのスキルだ、近距離ならば簡単だろう。
「以前から不思議だったのです。目の無い生き物すら殺すシャンディラの力、本当は少し違うのではないかと」
「そういやぁ水の中とか、鏡を通していても殺してたもんな。そっか~意識か~」
人に言われて気が付いたシャンディラ。
自分でも理解できなかった部分が埋まったのだろう。
相手の視線を認識する、ではなく、相手の意識を感じ取る、が正解だったのだ。
だが今回の事で言えば、ヤクシ自身にも変化があったのだ。
今までは相手に触れたからといって視覚情報を必ず得られるわけではなく、その発生条件があいまいだった。
今はどうだろうか、ガッコウとシャンディラに触れれば、間違いなく情報が得られるのだ。
自分を拒絶する場所に入る事で弱点を知り、誰かに救いを求める事で生まれた隙間。
その隙間を埋まられる人物からならば、確実に感覚情報は得られるようになった。
ただまぁ……この力のせいで、ヤクシは後々困ったことが発生するのだが。
しかしシャンディラがヤクシを意識する事で、手をつなぐという行為が必要なくなったことは、このフロアの移動が多少は楽になる。
のだが、ガッコウはもちろん、ヤクシもシャンディラも手を繋いで歩いている。
強力な魔物が出てくる塔の内部だというのに、魔物退治や罠探査、宝箱発見というイベントを楽しんでいるのだろう。
ヤクシは他人に優しいが、それは自分の方が強いからという側面もあり、自分が一番役に立たなくなった事で他の立場を理解し、そして他の2人は自分を頼りにしてくれるのが嬉しいのだろう。
セーフティーゾンでは3人並んで横になり、朝になるとヤクシがガッコウ・シャンディラに抱き付ていた。
「も、申し訳ありません、私ったら寝ぼけていたようです」
「いやいや、アタシは構わねーよ」
「ヤクシさん……な、なんかカワイイ」
しきりに照れ隠しに頭を下げているが、どうにも隠しきれていない。
顔は真っ赤なのに手を離さないのだから。
しかしそんな81階の探索が終わり、地図は全て埋める事が出来た。
「これで全部か? んじゃあ階段に戻って上にいくとすっか!」
階段を登るとヤクシは小さく声を上げる。
「感覚が……戻っています」
魔術師殺しのフロアは81階だけであり、82階はフロア全体の仕掛けは無い。
なのでヤクシの元の感覚が戻り、通常通りの行動が可能になったのだ。
「そっかそっか、そいつは良かったぜ」
「こ、これで安心できますね」
「そうですね、ですが……」
握っている2人の手に少し力を入れ、一歩前に進む。
「か弱い女3人旅ですから、このままいきませんか?」
「そーだな、Dランクの弱っちい冒険者だしな!」
「さ、賛成」
言われて慌てて手を握るのだが、ヤクシもシャンディラも不思議な感覚を味わっていた。
そう、ずっと手を握っているつもりでいたのだ。
ヤクシはシャンディラの視覚情報を感覚として受け取っていたし、シャンディラも見られている意識があったのだ。
「おかしいですね。私、シャンディラの目で見ていたはずですが……」
「わ、私も、です……だから、て、手を繋いでるものだと」
「え? そうなのか? じゃあなんで? まさかヤクシ、手を繋いでなくても感覚を受け取ってんのか?」
ガッコウが近くに来て手をつなぐと、ヤクシには視覚情報が伝わってくる。
そしてワザとガッコウが手を離すのだが、はやり視覚情報は途切れていた。
「ダメですね、手を離すと見えなくなりました。ガッコウ、もういち……!!」
ガッコウに両手を差し出すとヤクシの動きが止まる。
何も見えなくなったしまったのだ。
両手を差し出したのは無意識だったが、それによって一つの仮説がヤクシの中で完成する。
「ヤクシ? 大丈夫かヤクシ?」
「え、ええ大丈夫です。お陰で理由が分かった気がします」
ヤクシの仮説だが、手を離していても視覚情報が共有されていたのはシャンディラにある、と。
シャンディラのスキルは『相手の視線を認識して殺す』だが、言い方を変えると『相手の意識が自分に向くと相手に影響を与える』でもある。
つまりシャンディラがヤクシを意識している内は、シャンディラはヤクシの体に感覚共有という影響を与えられるのだ。
目に見えない距離にいても相手を殺すシャンディラのスキルだ、近距離ならば簡単だろう。
「以前から不思議だったのです。目の無い生き物すら殺すシャンディラの力、本当は少し違うのではないかと」
「そういやぁ水の中とか、鏡を通していても殺してたもんな。そっか~意識か~」
人に言われて気が付いたシャンディラ。
自分でも理解できなかった部分が埋まったのだろう。
相手の視線を認識する、ではなく、相手の意識を感じ取る、が正解だったのだ。
だが今回の事で言えば、ヤクシ自身にも変化があったのだ。
今までは相手に触れたからといって視覚情報を必ず得られるわけではなく、その発生条件があいまいだった。
今はどうだろうか、ガッコウとシャンディラに触れれば、間違いなく情報が得られるのだ。
自分を拒絶する場所に入る事で弱点を知り、誰かに救いを求める事で生まれた隙間。
その隙間を埋まられる人物からならば、確実に感覚情報は得られるようになった。
ただまぁ……この力のせいで、ヤクシは後々困ったことが発生するのだが。
しかしシャンディラがヤクシを意識する事で、手をつなぐという行為が必要なくなったことは、このフロアの移動が多少は楽になる。
のだが、ガッコウはもちろん、ヤクシもシャンディラも手を繋いで歩いている。
強力な魔物が出てくる塔の内部だというのに、魔物退治や罠探査、宝箱発見というイベントを楽しんでいるのだろう。
ヤクシは他人に優しいが、それは自分の方が強いからという側面もあり、自分が一番役に立たなくなった事で他の立場を理解し、そして他の2人は自分を頼りにしてくれるのが嬉しいのだろう。
セーフティーゾンでは3人並んで横になり、朝になるとヤクシがガッコウ・シャンディラに抱き付ていた。
「も、申し訳ありません、私ったら寝ぼけていたようです」
「いやいや、アタシは構わねーよ」
「ヤクシさん……な、なんかカワイイ」
しきりに照れ隠しに頭を下げているが、どうにも隠しきれていない。
顔は真っ赤なのに手を離さないのだから。
しかしそんな81階の探索が終わり、地図は全て埋める事が出来た。
「これで全部か? んじゃあ階段に戻って上にいくとすっか!」
階段を登るとヤクシは小さく声を上げる。
「感覚が……戻っています」
魔術師殺しのフロアは81階だけであり、82階はフロア全体の仕掛けは無い。
なのでヤクシの元の感覚が戻り、通常通りの行動が可能になったのだ。
「そっかそっか、そいつは良かったぜ」
「こ、これで安心できますね」
「そうですね、ですが……」
握っている2人の手に少し力を入れ、一歩前に進む。
「か弱い女3人旅ですから、このままいきませんか?」
「そーだな、Dランクの弱っちい冒険者だしな!」
「さ、賛成」
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