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17 義弟の病が深刻だ。
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義母上のお怒りで何となく有耶無耶になったが、どうも侯爵家に連れ回される事になってしまった。
「フレイ」
帰りはヴィオル家の馬車で送られる事になり、オルウィンが見送りに来てくれた。
「オルウィン……頼むよー皆に私の恥ずかしい失敗を暴露しないで」
オルウィンは少し困った顔する。
「でもフレイが心配なんだ」
「私は男だよ?全くヴィオル家の皆は私をか弱い令嬢だと思ってるの?」
「そこいらの令嬢より可愛い自覚がないのか?」
「意味が分からない」
オルウィン、しばらく会わないうちに頭の病気に罹ったのか?それとも目の病気かな?早く医者に行け。
「心配なんだ。私の可愛い女神が何者かに汚されないか気が気でならない」
まずい、本格的にオルウィンが頭の病気だ。アージェとオルウィンは仲の良い姉弟だったからな……たった2年間しか一緒に暮らしていない私よりダメージが深刻でも仕方のない話だ。
「オルウィン……良いから、医者に行け、な?」
「医者は要らないよ、フレイが側にいてくれればそれで良い」
ああ、アージェ!お前の弟を私はどうやって救ったら良い?無力な私に力を貸しておくれ!
「っと、とにかく今日は帰るよ、またなオルウィン」
「ああ、気をつけて」
名残惜しそうに手を撫で指先に唇を落とす。そんな紳士な格好も様になるのに、頭と目がイカれてしまっているとは……。
「可哀想なオルウィン……大丈夫、私もこうして暮らしている。オルウィンもいつか元に戻れるさ」
なるべく早い事を祈る。きっとオルウィンの子供は可愛いだろうな。女の子ならアージェに似るかもしれない。そうしたら思いっきり可愛がってあげよう。
私は遠くなってしまった思い出を思い出す。
「アージェ!赤ちゃんの服を買ったんだ!水色なんだけど!」
「嫌だわ!気が早い。女の子か男の子か分からないのに?」
「どっちでも似合うよ!だって私とアージェの子供だもの」
オルウィンが結婚して子供が生まれたら水色の服を贈っても許されるだろうか?一度だけで良いからその服を着た赤ちゃんを見てみたい、一度だけでも良いから。
「オルウィンより先にクリスとリリエンの子供が先かもな!おじさん頑張っちゃうぞ!」
誰がか弱い令嬢だ、私は甥の為に頑張るおじさんなんだぞ!夜会が何だ、太くて立派な縁を結んでジェス家の繁栄の為に頑張るんだから!
「高位貴族の夜会だろうがなんだろうが、利用できるものは利用するぞ!」
ふんっ!と握りこぶしを振り上げて、私は鼻息を荒くしたのだった。
「フレイ」
帰りはヴィオル家の馬車で送られる事になり、オルウィンが見送りに来てくれた。
「オルウィン……頼むよー皆に私の恥ずかしい失敗を暴露しないで」
オルウィンは少し困った顔する。
「でもフレイが心配なんだ」
「私は男だよ?全くヴィオル家の皆は私をか弱い令嬢だと思ってるの?」
「そこいらの令嬢より可愛い自覚がないのか?」
「意味が分からない」
オルウィン、しばらく会わないうちに頭の病気に罹ったのか?それとも目の病気かな?早く医者に行け。
「心配なんだ。私の可愛い女神が何者かに汚されないか気が気でならない」
まずい、本格的にオルウィンが頭の病気だ。アージェとオルウィンは仲の良い姉弟だったからな……たった2年間しか一緒に暮らしていない私よりダメージが深刻でも仕方のない話だ。
「オルウィン……良いから、医者に行け、な?」
「医者は要らないよ、フレイが側にいてくれればそれで良い」
ああ、アージェ!お前の弟を私はどうやって救ったら良い?無力な私に力を貸しておくれ!
「っと、とにかく今日は帰るよ、またなオルウィン」
「ああ、気をつけて」
名残惜しそうに手を撫で指先に唇を落とす。そんな紳士な格好も様になるのに、頭と目がイカれてしまっているとは……。
「可哀想なオルウィン……大丈夫、私もこうして暮らしている。オルウィンもいつか元に戻れるさ」
なるべく早い事を祈る。きっとオルウィンの子供は可愛いだろうな。女の子ならアージェに似るかもしれない。そうしたら思いっきり可愛がってあげよう。
私は遠くなってしまった思い出を思い出す。
「アージェ!赤ちゃんの服を買ったんだ!水色なんだけど!」
「嫌だわ!気が早い。女の子か男の子か分からないのに?」
「どっちでも似合うよ!だって私とアージェの子供だもの」
オルウィンが結婚して子供が生まれたら水色の服を贈っても許されるだろうか?一度だけで良いからその服を着た赤ちゃんを見てみたい、一度だけでも良いから。
「オルウィンより先にクリスとリリエンの子供が先かもな!おじさん頑張っちゃうぞ!」
誰がか弱い令嬢だ、私は甥の為に頑張るおじさんなんだぞ!夜会が何だ、太くて立派な縁を結んでジェス家の繁栄の為に頑張るんだから!
「高位貴族の夜会だろうがなんだろうが、利用できるものは利用するぞ!」
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