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20 困った私と困ったボク
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「悪魔公爵のお嫁様見たかい?」
「可愛い男の子だろう!?銀色の髪に水色の目のキラキラした!」
「うんうん!どうもね、平民の出らしくて凄く平民に優しいんだよ。そして知ってるか?そんなお嫁様の好物は……」
「「「ふかした芋!」」」
何故か公爵家にお芋がたくさん届くようになってしまった。一体どうしてなんだろう?芋は好きだけれど、貯蔵してもこれは食べきれないのではないのだろうか……?
「秋になったら焼き芋大会でもすればいいのかな……?」
私の好物がふかし芋だとあちこちに広がってそのせいで皆が持って来てくれたと後から聞いて恥ずかしいやら嬉しいやらでびっくりした。私が大量のお芋に囲まれて困っていた頃にもっと困った状況になっている人達がいたのだった。
「アメシス」
「で、殿下ぁ……」
あの卒業パーティで悪役令息を断罪し、国外追放した。そうして主人公であるボクは王太子殿下と結ばれてずっと幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし!だったのに……物語はそこでハッピーエンドで終わって幸せに暮らすのに、ボクは殿下に叱られていた。
「君らしくもないマナー違反だ。学園での君のマナーは完璧だし、先生からいつも合格をいただいていただろう?今日に限って一体どうしたんだ?」
そ、それは……マナーなんて堅苦しい事嫌いだったから、授業もテストも全部紫に瞳の色を変えたアクアが出ていたんだもん。だってあの鈍くさくて平民出のアクアが出来るんだよ?この物語の主人公のボクならちょちょいのちょいで出来ちゃうじゃん。だから面倒なテストなんてアクアにやって貰ってちょうどいいって思ってたんだ。
でも今日、いざ王妃様とのお茶会に出てみると何が何だかさっぱりわからなくて、お茶を零すし、カップは割っちゃうし大変だった……。王妃様はあまり怒っていなかったけれど、
「失礼、呼び出しだわ」
と、途中退席してしまった……。王妃様がいなくなると他の参加者もいなくなって、ボクは一人ぽつんと残されたんだった……。
「母上はカンカンにお怒りで、なだめるのが大変だった」
「えっ……そんなに怒っているようには見えなかったんですけれど」
だって呼ばれて行っちゃったんだよ?それなのに殿下は心底呆れた顔をしながらため息をついた。
「普通お茶会で主催が帰ってしまう事などないんだよ、常識だろう?それなのに行ってしまったという事は相当許せない事が起こったという事だ。マナー以前の問題だよ、アメシス。一体どうしてしまったんだい、優秀な君が」
ど、どうしよう……そういうやり取りも面倒くさすぎて全部アクアに任せていたから、ボク……わからなくなってるんだ!
「え……その、あの……や、やはり兄がいなくなったのは……結構ショックだったというか……何というか」
「……そういえばそうか。無理をさせたね、アメシス。母上にはそうお伝えしておくよ。次は大丈夫だよ、と」
「は、はい……」
まずいまずいまずい!ハッピーエンドのその先があるんだった!ど、どうしよう……これから必死で勉強するしかないの!?ううっやだよそんなの。今まで通り遊んで、面倒くさい事はアクアに押し付けて暮らしたいよ!
……そうだ、アクアを呼び戻そう!そうしてまたアクアにさせればいいんだ。どうせボクたちが入れ替わっても誰もきがつかないんだから!ボクはどうやって殿下に内緒でアクアの居所を捜せるか考え始めた。
アクア、死んでないよね?頼むよー!
「可愛い男の子だろう!?銀色の髪に水色の目のキラキラした!」
「うんうん!どうもね、平民の出らしくて凄く平民に優しいんだよ。そして知ってるか?そんなお嫁様の好物は……」
「「「ふかした芋!」」」
何故か公爵家にお芋がたくさん届くようになってしまった。一体どうしてなんだろう?芋は好きだけれど、貯蔵してもこれは食べきれないのではないのだろうか……?
「秋になったら焼き芋大会でもすればいいのかな……?」
私の好物がふかし芋だとあちこちに広がってそのせいで皆が持って来てくれたと後から聞いて恥ずかしいやら嬉しいやらでびっくりした。私が大量のお芋に囲まれて困っていた頃にもっと困った状況になっている人達がいたのだった。
「アメシス」
「で、殿下ぁ……」
あの卒業パーティで悪役令息を断罪し、国外追放した。そうして主人公であるボクは王太子殿下と結ばれてずっと幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし!だったのに……物語はそこでハッピーエンドで終わって幸せに暮らすのに、ボクは殿下に叱られていた。
「君らしくもないマナー違反だ。学園での君のマナーは完璧だし、先生からいつも合格をいただいていただろう?今日に限って一体どうしたんだ?」
そ、それは……マナーなんて堅苦しい事嫌いだったから、授業もテストも全部紫に瞳の色を変えたアクアが出ていたんだもん。だってあの鈍くさくて平民出のアクアが出来るんだよ?この物語の主人公のボクならちょちょいのちょいで出来ちゃうじゃん。だから面倒なテストなんてアクアにやって貰ってちょうどいいって思ってたんだ。
でも今日、いざ王妃様とのお茶会に出てみると何が何だかさっぱりわからなくて、お茶を零すし、カップは割っちゃうし大変だった……。王妃様はあまり怒っていなかったけれど、
「失礼、呼び出しだわ」
と、途中退席してしまった……。王妃様がいなくなると他の参加者もいなくなって、ボクは一人ぽつんと残されたんだった……。
「母上はカンカンにお怒りで、なだめるのが大変だった」
「えっ……そんなに怒っているようには見えなかったんですけれど」
だって呼ばれて行っちゃったんだよ?それなのに殿下は心底呆れた顔をしながらため息をついた。
「普通お茶会で主催が帰ってしまう事などないんだよ、常識だろう?それなのに行ってしまったという事は相当許せない事が起こったという事だ。マナー以前の問題だよ、アメシス。一体どうしてしまったんだい、優秀な君が」
ど、どうしよう……そういうやり取りも面倒くさすぎて全部アクアに任せていたから、ボク……わからなくなってるんだ!
「え……その、あの……や、やはり兄がいなくなったのは……結構ショックだったというか……何というか」
「……そういえばそうか。無理をさせたね、アメシス。母上にはそうお伝えしておくよ。次は大丈夫だよ、と」
「は、はい……」
まずいまずいまずい!ハッピーエンドのその先があるんだった!ど、どうしよう……これから必死で勉強するしかないの!?ううっやだよそんなの。今まで通り遊んで、面倒くさい事はアクアに押し付けて暮らしたいよ!
……そうだ、アクアを呼び戻そう!そうしてまたアクアにさせればいいんだ。どうせボクたちが入れ替わっても誰もきがつかないんだから!ボクはどうやって殿下に内緒でアクアの居所を捜せるか考え始めた。
アクア、死んでないよね?頼むよー!
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