【完結】双子の隠キャが踊ります?約束された幸せは幸せでした

鏑木 うりこ

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50 サスワでござる

 私達はワール商会のワール代表と執務室にあるソファで商談中だった。

「……なるほど、ヤヴァいですね」
「ワール殿を見込んで出所を話しますと、実はこの花びら全て女神様からの祝福なんです」

 ワール殿はブボッと紅茶を吹き出した。まあそうなるよね。

「は?め、女神様からの、しゅく……?祝福??なんでそんな神殿でも中々お目にかかれないような貴重なものをリュキ様たちがお持ちなんです……? 」
「簡単に話しますと、我が家の庭で行ったガーデン結婚式に女神様達が降臨なされたからなんですけど」

 ブボバッとさっきより大量にワール殿は紅茶を吹き出した。私にかかりそうだった紅茶はレイ殿が持ったお盆に全部遮られたし、マシェにかかりそうだった紅茶はオル団長が防いでくれた。しゅごい。

「まず、その事象が簡単じゃない!あんまり非常識な事をしないでくださいっ! 」
「そ、そんなこと言われたってぇ~」
「じゃあワール殿が女神様に「来るな」って言ってくれますぅ?」

 ヒイ!睨まれたコワイッ!

「我が家の庭でうちの騎士達の結婚式をやったんですわ。二人とも男性なんで、神殿でやるにはいささかということで、拙者が神父を務めましたらば、女神様達がやって来られまして大量に祝福の花びらを降らせてくださったんですよ」
「リュキ様が神父とか女神様が複数形だとかまあ色々突っ込みたい所は山ほどありますが、確かに男性同士の結婚ですと、神殿が顔を曇らせますね」
「神話では男女で結婚しますからねえ~。でも女神様達はどうやら男性同士の結婚を大いに祝福してくださるようなんですよ」
「ほう?良い商売のタネの香りがしますな」

 ワール殿は頭髪が薄くなった頭部と目を両方光らせて言った。流石ワール、サスワである。

「商売のタネは後で。それでその大量に降らせてくださった花びらなんですが、ジャムにしたんです。女性にウケるだろうし、いっぱいあったら売って貰おうと思って。香りも素晴らしいから絶対売れると思ったんですが……これが強烈すぎるんです」
「ヤヴァいくらい美味いんですよ。効き目は個人差があるんですが……王妃様に小さな小瓶を差し上げたら、騒ぎになったそうなんですが、もっとヤヴァいのがこれ、魅了の効力があるらしいんです」
「発禁じゃないですか!? 」
「でもいっぱいあるんですー!さばいてくださいーーー!」
「ワール商会をそういう方法で潰そうって言うんですかー!酷い酷過ぎる~~!いやでも売ります任せてください」
「サスワ!! 」

 流石ワール殿。絶対に何でも売る男!そして考えに考えた末。

「売りません、キリッ」

 となったからやっぱりサスワだった。

「うちの商品50万ゴールド以上お買い上げの方にプレゼントすることにします」
「サスワ!!」
「しかもほんのちょっとだけ!」
「よっ!悪徳商人!」
「唇にちょろっと塗ってなんか煽り文句つけます」
「商売上手!やり方が汚いっ!」
「化粧品の広告みたいのでござるな!えーと……今夜あなたを魅了する魅惑の唇♡みたいなの!」
「それ、いただきましたー!」

 流石のサスワでござった。でもこの商法が大ヒット。

「50万?!一体何を買えと?! 」

 なんて言われたが「魅惑のとぅるるんリップ」の口コミがおっそろしい勢いで広がってしまい、ご婦人方が殺到したらしい。

「まずあの香りでつけてるとすぐに分かるのよ」
「男性は必ず振り返りますからね」

 から始まり

「意中の方を必ず落とせますわ」

 とかなんとか。しかも唇に塗ったのに顔全体への美容効果もあるとかないとか。

「後、何故か既婚者は振り返りませんわ……」
「そうね、浮気は駄目だわよね」

 例の魅了効果は既婚者や仲の良い婚約者がいる人物には効果が無いそうだ。でも美容効果は素晴らしいらしい。

「あっはっはっは!これだからリュキマシェの腰巾着は辞められませんなーーぁ! 」

 ワール殿が禿げ散らかした頭をギラギラさせながら大笑いするほど儲かったらしい、サスワ!
 因みにライルとリックにワール商会からの謝礼金の半分を渡そうとしたら

「ひい!そんな大金要りませんっ!! 」
「怖いです怖いです!リュキ様預かってて下さいっ! 」

 って言われてしまった。なので二人の銀行口座を作って入れておくことにした。ついでに良さそうな株式もそこそこ買っておいたから毎月ちょっとづつ増えるはずだ。でもライルとリックには言ってないけど、これからあのジャムが無くなるまで毎月ワール商会から謝礼金が届くんだけど……。まあ銀行に預けたり株を買っとけばい良いか。不労収入万歳!
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