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11 隣人との遭遇
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季節は夏になる。我が部屋にもエアコンはあり、涼しい中大福は仕事をして、私はのんびりしていたりする。
「しょうがないでしょうよ。季節は夏ですから。この時期に呼ばれなくてどうしますか?忘れられると存在が消えますよ?」
「人出が多くてウザイ?来てくれる参拝者がいるだけありがたい事ですよ。山村の山神殿はもう狸にしか成れぬと泣いておられる時代なのですよ」
大福・コールセンターは今日も商売繁盛だ。あえて聞く気はないのだが、どうしても漏れ聞こえてしまう。
大福は他の神様や、妖怪など昔から日本に住んでいる摩訶不思議な存在達の愚痴を聞いているようだ。
わたしが昔話で聞いた事があるような名前もちらほら出る事もあり、なんだか街中で芸能人を見かけた気分になる。
「誠子、どこへ行くのだ?もう夜中だぞ」
相談が一段落したのか、玄関へ向かっていた私の背中に大福が声をかけた。
「暑いのでな。コンビニにアイスでも買いに行こうと思って」
「む」
大福は眉間に皺を寄せた……んだろう多分。丸いから分からん。
「こんな夜更けに女性の独り歩きは関心せん、私も行く」
女性とハムスターの一人プラス一匹歩きは良いのか。だが、大福の心遣いには甘えるとしよう。
「ああ、じゃあ頼む。一緒に行こう」
大福をポケットに入れて玄関を出た。
「あ、こんばんは」
「……こんばんは」
何ヶ月振りだろうか、隣の部屋に住む男性とばったり出くわした。ここに住み始めてかなり立つが、数回しか顔を合わせた事がない。
ま、隣人などそんなもんだろう。
いつもはそれだけでお互い部屋に入ってしまうのだが、男性は私のポケット辺りをじーーっと見ていた。
なんだなんだ?
「せ、誠子……」
「あれ?どうした、大福。寒いのか?!」
アパートから歩いて5分のコンビニに着くと大福がガタガタ震えていたのに気がついた。
「いや、うん……もう、大丈夫だが、怖かった……うん、大丈夫だ」
はて?何か大福を恐怖させるものがあったか?私は不思議に思いながらアイスを買い、大福にはカットスイカを購入する。
「猫だ……猫だった……」
大福の呟きはポケットに吸い込まれて、私の耳には届かなかった。
「しょうがないでしょうよ。季節は夏ですから。この時期に呼ばれなくてどうしますか?忘れられると存在が消えますよ?」
「人出が多くてウザイ?来てくれる参拝者がいるだけありがたい事ですよ。山村の山神殿はもう狸にしか成れぬと泣いておられる時代なのですよ」
大福・コールセンターは今日も商売繁盛だ。あえて聞く気はないのだが、どうしても漏れ聞こえてしまう。
大福は他の神様や、妖怪など昔から日本に住んでいる摩訶不思議な存在達の愚痴を聞いているようだ。
わたしが昔話で聞いた事があるような名前もちらほら出る事もあり、なんだか街中で芸能人を見かけた気分になる。
「誠子、どこへ行くのだ?もう夜中だぞ」
相談が一段落したのか、玄関へ向かっていた私の背中に大福が声をかけた。
「暑いのでな。コンビニにアイスでも買いに行こうと思って」
「む」
大福は眉間に皺を寄せた……んだろう多分。丸いから分からん。
「こんな夜更けに女性の独り歩きは関心せん、私も行く」
女性とハムスターの一人プラス一匹歩きは良いのか。だが、大福の心遣いには甘えるとしよう。
「ああ、じゃあ頼む。一緒に行こう」
大福をポケットに入れて玄関を出た。
「あ、こんばんは」
「……こんばんは」
何ヶ月振りだろうか、隣の部屋に住む男性とばったり出くわした。ここに住み始めてかなり立つが、数回しか顔を合わせた事がない。
ま、隣人などそんなもんだろう。
いつもはそれだけでお互い部屋に入ってしまうのだが、男性は私のポケット辺りをじーーっと見ていた。
なんだなんだ?
「せ、誠子……」
「あれ?どうした、大福。寒いのか?!」
アパートから歩いて5分のコンビニに着くと大福がガタガタ震えていたのに気がついた。
「いや、うん……もう、大丈夫だが、怖かった……うん、大丈夫だ」
はて?何か大福を恐怖させるものがあったか?私は不思議に思いながらアイスを買い、大福にはカットスイカを購入する。
「猫だ……猫だった……」
大福の呟きはポケットに吸い込まれて、私の耳には届かなかった。
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