【完結】その壊れた恋愛小説の裏で竜は推し活に巻き込まれ愛を乞う

鏑木 うりこ

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51 俺の知らない謎のシリーズ(アリアン

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「アーリアンちゃあん~、みぃつけた!」
「ひっ」

 逃げ回っていた廊下が行き止まりになって、近くにあった部屋に飛び込んだのが悪かった。その部屋は入ると荷物だらけの部屋で、大きな窓の前には使ってない家具が山盛りになっていた。ここから出る為にはしょうがないと、竜語魔法でブレスを吐いて、窓ごとぶっ飛ばした。ものすげえ音がして、家具どもは外に吹き飛んだけど、すぐ後ろに青竜が立っていたのだ。

「んまぁ~お痛がすぎねえですかねえ? アリアンちゃん。罪もない俺んちの家具をぶっ飛ばさないでくれよお?」
「お前んちなんぞ知ったことか!」

 どうせリンカが来たら、ぺちゃんこだ!

「これからぁ、俺とアリアンの愛の巣なんだぞお? 壊しちゃダメだろ、お仕置きだなぁ」
「気持ち悪りぃ!」

 巣の訳ねぇし! 巣っつーならルシんちが俺の巣だろ、こんな落ち着けもしねぇし、なんか臭いとこなんていたくねぇよ!

「どうせ俺には勝てねーよ、アリアン。まず最初に腹をぶち抜いて、あんたがだぁいじに守ってる卵を処分しようねぇ! 他のオスの卵なんて不快でしょうかねぇよ」
「ふっざけんな! こいつは俺が守るっ」

 腹を抱えて青竜から離れる。くそっ部屋に入っちまったせいですぐに壁に背中がついてしまう。隙を見せると本気で腹をぶん殴られそうだ……俺は死なねぇだろうけど、卵は潰れちまう。そんなのは絶対嫌だ! もう喋るようになった賢い奴なんだぞ、絶対守ってやらなくちゃ!

〈アリアンママ……ボクのことはいいから、自分の身を守って。弱すぎて自分を守れないボクが悪いんだ。ボクだって竜の血を引く子供だ、弱い方が悪いっていう竜の掟に従う〉
「クソ小生意気なこと言ってんじゃねーよ! 卵の癖に! ちょっと黙ってろ。すぐに助けがくるからよ!」
〈……〉

 クソ! リンカ早く来い!

 しかし、何だかリンカの気配が薄まってるんだよなぁ……? なんでだろう。まあ、リンカなら下手を打つことねぇと思うんだけど……?

「つーかまえたーぁ」
「は、離せっ!」

 気持ち悪りぃニヤケ顔の青竜に右手首を掴まれた瞬間、何かが壊れた窓から飛び込んできた。

「やぁーーっ!」
「いてぇー!」

 それは短い手を手刀の形にして、青竜の腕に思いっきり振り下ろす。むちゃくちゃ短い手だったけど、威力はあったらしく、ボキッと何かが折れる音がして、青竜の腕があり得ない方向にひしゃげた。
 ついでにその何かは俺をヒョイっと抱き抱えて、青竜から離れる。

「お待たせしました! リンカV3、ただいま参上!」
「リンカぁ?!」

 俺を床に下ろして青竜に向けて拳を突き出し威嚇したちんちくりんはリンカだと言い張った。

「いてぇし! なんだこのガキはぁ!」
「リンカV3だっていってるじゃん! アリアンをよくも虐めてくれたわねぇ! いろんなものに変わってお仕置きよ!」

 俺の足元でガキ特有の甲高い声で啖呵を切る奴は……どうみても人間で言うところの5.6歳のガキだった。でも本人のいう通り、リンカだ。あのリンカがガキになったらこんな顔してるよな? って想像できるくらいリンカだった。

「リンカ!」
「アリアン、卵ちゃんを守ったんだね! 偉い、凄い、かっこいい! 流石黒竜様だよ、アリアン!」

 へへっ、当たり前だろ! じゃなくて!

「何でガキなんだよ!」
「そりゃぁ、力の1号と技の2号だから……」
「訳わかんネェ!」
「分かるよ、空を見て!」
「ん?」

 気がつけば窓の外は陽が翳っていた。何かに日光を遮られたようなそんな感じ。巨大な何かがこの屋敷の上空に、いる。

「へ?う、うそ、だろ?なんで、なんでアリアンがここにいるのに、なんで、なんで黒竜が、空にいるんだ?!」

 ブルブル震えながらその場にぺたんと座り込んだのは青竜だった。俺も目をまん丸に開くしかない。本当に真っ黒な巨大な竜が空にいてこちらを見下ろしている、な、なんだ、何だあいつは!

「無事か、アリアン」
「ルシ?!」

 黒竜の口が動いて発した言葉に俺は更に驚いた。ルシが竜になってんの?!
 よく見れば目の色は竜特有の金色じゃなくてルシと同じ紫色だし、鬣の色は銀色でルシの髪の毛の色とおんなじだった。一体何がどうなってんだ??

「へへっ! まーたまた、やらせていただきましたぁ!」
「リンカ?!」
「うん! ルシ様に黒竜の力の権限を全部渡しちゃった!」
「はあ?!」

 人間に竜の力を渡したぁ?! 負荷がデカすぎてルシが死んじゃうだろうが!

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