【完結】不憫令息を幸せにする。責任を取ったつもりがこういうのはちょっと違うと思います!

鏑木 うりこ

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17 きっと事故だよな?

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「ユール、君の事が好きなんだ。結婚して私の奥さんになって、私の子供を産んで欲しい」

「え……うーん。好きなのはありがとう。でも結婚は婚約者として欲しいな、アンセル。子供も婚約者との間に作るべきだよ、きっと可愛いだろうなあ」

 ダルタンの息子フォンテに刺激されたのか何なのか、アンセルは私にそんな冗談を何度も言うようになってしまった。うーん、アンセルには可愛い素敵なお嫁さんと結婚して貰いたいんだよねえ。そしてアンセルの結婚式でフェルム公爵と並んでワンワン泣くつもりなんだけどなあ。

「私に婚約者はいない!私が愛してるのはユールだけなんだ!」

「え……いやいや、そんなことないよね?」

 ちょっと真剣なアンセルに驚くけれどそんなはずはない。はあ、冗談もこれだけ毎日だと飽きてくるよ。

「だったら父上に聞いてみるといい!行こう、ユール!」

「ええ~~」

 強引に引っ張られて、フェルム公爵の執務室へ連れて来られる。

「行ってきて!」

「分かったよう」

 アンセルに押し込まれるように執務中のフェルム公爵に挨拶をする。突然おかしな事を聞くが公爵は真剣で難しい顔をしながら、アンセルの冗談を肯定した。

「アンセルの言っている事は正しい。本当にアンセルに婚約者はいないし、かなり以前からユールと結婚したいと譲らん。ユール、君はどうなんだ?はっきり教えて欲しい。君が嫌がる事を私はアンセルにさせるつもりはない。君の事も私はアンセル同様可愛い息子だと思っているからね」

「……えっと……」

「急に返事は出来んだろう、良く考えてみてくれ」

「はい……」

 えっと、アンセルの冗談は本気だったって事……?いやどうかな、二人で私をからかっているのかもしれない。フェルム公爵の執務室から出てくるとアンセルが待っていた。

「分かってくれた?私は本気なんだ」

「……アンセル、公爵に私をからかうように頼んで…‥‥」

 アンセルの綺麗な顔がぷくっと膨らんだ。無言で腕を引っ張られて、行く先は……この方向はアンセルの部屋だな。何度も来ているからフェルム邸の内部は良く知っている。

「アンセル、アンセル?どうしたんだよ」

 そのままアンセルの部屋に引っ張り込まれた。あれ?待てよ、話の流れから私がアンセルの部屋で、アンセルと二人っきりになるのは何かよろしくない雰囲気がするんだが、気のせいだろうか?乱暴に扉をしめられ、ご丁寧に鍵をかける音がした。あれ……やっぱり何か不味いのでは……?

「ユール!私はユールが大好きなんだ、愛してるんだ、結婚したいんだ!だから今からキスをする!」

「ええっ!?」

 そんな、突然宣言されても困る!キスなんてものは好きな人とするものであって、そんなこと言われても……あ、でもアンセルは私の事を好きだって言ってるんだから、アンセル的には好きな人とキスするのはアリなのかな?そんな割とどうでもいい事を考えていたら、思いっきり両肩を掴まれてアンセルの顔が近づいてくる!

 えっ!えっ!?ど、どうしたら、どうしたらいいんだ!?

 嫌だって突き放したらアンセルはショックを受けるだろうか、がっかりするだろうか。私は嫌われてしまうだろうか!?でも私はアンセルの事を愛している訳じゃない……はず。あーどうしようっ……アンセル、可愛い、いや綺麗な顔だなあ……少し薄い色の金髪は柔らかくて手触りが良いし、今は閉じられてる瞳もほんと綺麗な色。肌は白いし、つるつるでそれでいて唇は女の子より柔らかそうで……。
 あれ?私は特にアンセルの事を嫌いじゃないし、今なんかよく分からないけどキスされそうになってるけれど、別に嫌な感じはしない……?あれ?あれれ?私は意外とアンセルの事を好きなのかな?嫌いじゃないから好き、なのか?
 自分の気持ちが分からずにパニックを起こしているその間にちゅっと唇と唇が重なってしまったのはきっと事故だろう、うん。



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