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種の章
25 リフェリスの愛
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「ハル、フィエルを俺に貸して。お前じゃだめだ!このヘタレ!」
その日の夜、僕はリフェリスに連れ去られた。
ヘタレ!となじられて、反論しようとするハルをアンバーが止めた。
「うん、ハルが悪い」
「いやでも!しかし!」
リフェリスはこれも自分だと言う巨大な木を僕を片手で抱えたまま、すいすいと登って行く。枝や葉が登りやすいよう、登りやすいように避けたり、差し出したりしているように見えるのが不思議だ。
下にいるハルとアンバーの姿は、生い茂る葉に隠れてすぐに見えなくなった。
「分かってるんだろ、あっためてるだけじゃ駄目だって。フィエルはもう生きるのを諦めてる。それをなんとかしないと俺たちとは永遠にサヨナラしちまうって!」
「分かってる!でも……俺は、何をしてやれば良いか……」
「それよ、それ!それがヘタレだっつーの!だから、リフェリスに盗られる!良いか!フィエルの事が大好きなのはお前だけじゃねーんだ!俺も大好きだ!あんなお人好しで優しい奴、みんな好きなんだよ!」
アンバーはハルの胸ぐらを掴み上げる。
「良いか!俺たちはもう二度とフィエルを泣かせない、あいつはこれから笑って過ごすんだ!その最初の一歩を踏み出させてやらないといけないんだ!それが出来ない奴なんてフィエルの側にいらねーんだよ!忘れんな!」
ドン、と地面にハルを投げ捨てる。
「レオニーは俺が躾けておく。お前にできる事はなんだ?ハル。考えろよ」
アンバーに吐き捨てるように言われ、ハルは口を閉ざすしか無かった。
リフェリスは大きな木をトントンと登って行き、てっぺんに到着した。
「フィエル、遠くまで良く見えるよ」
「わぁ」
本当に辺り一面、草すら生えていない。少し近くに禿げた山がみえ、山賊達はそこに住んでいるのだと言う。
「まだあの根城には100人単位でいるはずだ。あの山は殲滅に耐えて、地下に水脈を持っている」
もっと向こうには山や木らしき物が見える。
「あっちまで行けば街も残っているよ。全部が壊された訳じゃないんだ。でもここら辺みたいに砂漠みたいになった所はたくさんある」
「ディーオがやったの?」
「ああ、ここで大規模な戦闘を行ってね。結果的にディーオの人間を減らすと言う目的は達成された」
「そう……」
ディーオは仕事を全うして帰った。多分それで良いのだろう。
僕は?僕は仕事じゃない。好きにして良いなら、もう帰っても良いよね?ここから落ちたら僕は死ぬ。
太陽は翳り始め、大地に落ちてゆく。真っ赤な夕日が、真っ赤な大地を染め上げてとても、きれいだった。
「フィエル、夜がやって来る。こっちに来て」
太い幹に木の扉がついていて、リフェリスは僕の手を引いた。
「中からでも、外は見えるから」
中は小さな部屋になっていて、大きな窓から外は見える。2人がけのテーブルと椅子、ふかふかのクッションが並べられたベッド。
薄い緑と落ち着いた茶色で作られたほっとする色合いの部屋。
「フィエル」
リフェリスが僕を呼ぶ。
「フィエル。俺たちは、いや俺はお前が好きだ。大好きだ」
「うん……テイムされたら、僕の事を好きになるよね」
「それ以上に好きなんだ。愛してる、命尽きるまでお前と一緒に居たいんだ。大勢の中の1人でもいい。それでも一緒に生きて欲しいんだ……死なないで、フィエル」
ぎゅっと抱きしめられた。ハルとは違う少し低い体温。さわやかな森の匂いがする。
「……でも僕はもう疲れちゃったんだ、リフェリス」
「じゃあもう少し眠ろうか?俺が守ってあげるよ。元気になるまで、ずっと、ずっーと」
僕は首を横に振る。50年も寝たから、もう寝なくて良いよ。
「ねぇ、フィエル。俺に君を愛させて?」
その日の夜、僕はリフェリスに連れ去られた。
ヘタレ!となじられて、反論しようとするハルをアンバーが止めた。
「うん、ハルが悪い」
「いやでも!しかし!」
リフェリスはこれも自分だと言う巨大な木を僕を片手で抱えたまま、すいすいと登って行く。枝や葉が登りやすいよう、登りやすいように避けたり、差し出したりしているように見えるのが不思議だ。
下にいるハルとアンバーの姿は、生い茂る葉に隠れてすぐに見えなくなった。
「分かってるんだろ、あっためてるだけじゃ駄目だって。フィエルはもう生きるのを諦めてる。それをなんとかしないと俺たちとは永遠にサヨナラしちまうって!」
「分かってる!でも……俺は、何をしてやれば良いか……」
「それよ、それ!それがヘタレだっつーの!だから、リフェリスに盗られる!良いか!フィエルの事が大好きなのはお前だけじゃねーんだ!俺も大好きだ!あんなお人好しで優しい奴、みんな好きなんだよ!」
アンバーはハルの胸ぐらを掴み上げる。
「良いか!俺たちはもう二度とフィエルを泣かせない、あいつはこれから笑って過ごすんだ!その最初の一歩を踏み出させてやらないといけないんだ!それが出来ない奴なんてフィエルの側にいらねーんだよ!忘れんな!」
ドン、と地面にハルを投げ捨てる。
「レオニーは俺が躾けておく。お前にできる事はなんだ?ハル。考えろよ」
アンバーに吐き捨てるように言われ、ハルは口を閉ざすしか無かった。
リフェリスは大きな木をトントンと登って行き、てっぺんに到着した。
「フィエル、遠くまで良く見えるよ」
「わぁ」
本当に辺り一面、草すら生えていない。少し近くに禿げた山がみえ、山賊達はそこに住んでいるのだと言う。
「まだあの根城には100人単位でいるはずだ。あの山は殲滅に耐えて、地下に水脈を持っている」
もっと向こうには山や木らしき物が見える。
「あっちまで行けば街も残っているよ。全部が壊された訳じゃないんだ。でもここら辺みたいに砂漠みたいになった所はたくさんある」
「ディーオがやったの?」
「ああ、ここで大規模な戦闘を行ってね。結果的にディーオの人間を減らすと言う目的は達成された」
「そう……」
ディーオは仕事を全うして帰った。多分それで良いのだろう。
僕は?僕は仕事じゃない。好きにして良いなら、もう帰っても良いよね?ここから落ちたら僕は死ぬ。
太陽は翳り始め、大地に落ちてゆく。真っ赤な夕日が、真っ赤な大地を染め上げてとても、きれいだった。
「フィエル、夜がやって来る。こっちに来て」
太い幹に木の扉がついていて、リフェリスは僕の手を引いた。
「中からでも、外は見えるから」
中は小さな部屋になっていて、大きな窓から外は見える。2人がけのテーブルと椅子、ふかふかのクッションが並べられたベッド。
薄い緑と落ち着いた茶色で作られたほっとする色合いの部屋。
「フィエル」
リフェリスが僕を呼ぶ。
「フィエル。俺たちは、いや俺はお前が好きだ。大好きだ」
「うん……テイムされたら、僕の事を好きになるよね」
「それ以上に好きなんだ。愛してる、命尽きるまでお前と一緒に居たいんだ。大勢の中の1人でもいい。それでも一緒に生きて欲しいんだ……死なないで、フィエル」
ぎゅっと抱きしめられた。ハルとは違う少し低い体温。さわやかな森の匂いがする。
「……でも僕はもう疲れちゃったんだ、リフェリス」
「じゃあもう少し眠ろうか?俺が守ってあげるよ。元気になるまで、ずっと、ずっーと」
僕は首を横に振る。50年も寝たから、もう寝なくて良いよ。
「ねぇ、フィエル。俺に君を愛させて?」
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