16 / 78
16 婚約破棄
しおりを挟む
「アルカンジェル・ヴェルデ!お前のマリリーに対する非道な態度!ほとほと愛想が尽きた!お前との婚約は破棄させて貰う!」
「はあ……」
「そしてマリリー・ミルド子爵令嬢と新たな婚約を結ぶ!」
「はあ……」
「嬉しいですぅ!リース様あ!」
「マリリー!これから私の婚約者として王子妃教育に外交、頑張っておくれ」
「はい!」
わたくし、アルカンジェルはリース殿下に婚約破棄をされたのですが……。
「あ、あの教授様。ダンスとマナーの試験は続けた方が宜しいですか?」
呆気に取られていたマナーとダンスの教授はこほん、と咳払いを一つして
「アルカンジェル・ヴェルデ。君は合格だ。多分ご家族との話し合いも必要だろうから、もう帰ってよろしい。あと、誰か付き添って上げなさい」
わたくしが、と数人の同学年の女子が手を上げてくださいました。
「ありがとうございます、皆様」
「良いのですよ。しかし、どう言ったおつもりなのでしょう」
「わかりませんが、婚約破棄を急がされたのではないのですか?あの方に」
「だからといって……」
教授はリース殿下とマリリーさんの方を向き、淡々と言い渡します。
「殿下、ミルド子爵令嬢。お二人はダンスもマナーも不合格です。補習を言い渡します」
「な、何故だ!」
「えー!ひどいぃ!マリリー何もしていないわぁーー!」
二人の騒ぎ声が聞こえますが、本当に意味が分かりません。
「では何故、前期サマーホリデー前の試験会場で婚約破棄などというふざけた事をお言いになったのですか?!大体人前で婚約破棄を言い渡すなど、マナーに叶っているとお思いか!」
そうなのです。今この場は学園の試験会場なのです。夜会でも、卒業パーティーでもなく、試験官などが見詰めるこの場で、わたくしはどうやら婚約破棄を叫ばれたらしいのです。
「し、しかし……パーティーなど近々催されないし、マリリーが出る事が出来て、更にアルカンジェルが居るとなると本当に少なく……卒業パーティーまでマリリーは待てないと言うし……」
「そうよ!あんな女、さっさと居なくなれば良いのよ!リース様に捨てられて学園も辞めちゃえば良いの!」
何故、リース様に婚約破棄を叫ばれたらわたくしが学園を去らねばならないのでしょうか?分かりません。
お父様からはリース様との婚約に対する同意書を見せて頂いております。勿論、中には解消、破棄についての項目も極めて詳しく書いてありました。
「アルカンジェルが違反していることなど何一つない。それについての証言も全て揃っている。リース殿下は自分が苦境に立たされる事をご存知だから、婚約解消を先延ばししているのやもしれんな」
そう聞いて、成程と納得したのですが、何も考えておられなかったのではないかと思いました。
友人達に付き添われ、玄関まで歩いて行くと、沢山の留学生達が声をかけて下さいました。
「手続きが終わったら、すぐ送るから」
「何をでございましょう?」
「着いてからのお楽しみで」
「私もね」「私も申し込ませて貰うよ」
何の事かは分かりませんが、皆様笑顔で楽しげなので、きっと良い事なのでしょう。
玄関まで行くとレミが頭を下げてまっていました。あら?わたくし、来てくださいって呼んでいませんのに、凄いですわ。
「お嬢様、お迎えに上がりました。ご友人様もお付き添いありがとうございます。お嬢様も心強かったでしょう」
何かしら、もしかしてレミは今起こった事を知っているかしら?そんな大声で叫ばれたなんて少し恥ずかしいですわ。
「レミ、知っているの?」
「ええ、もう旦那様は王宮へ書類を持って向かっております。なかった事になんてさせませんから」
驚きました、凄い手際です!まるで全て見ていたかの様なレミにますます驚いてしまいました。
「そうなのですね、流石お父様ですわ。これでわたくしもスッキリしたってやつですわよね?」
レミから習った言葉でそう言うと、にっこり素敵な笑顔を見せてくれます。
「ええ!後は我々にお任せ下さいね!」
「はい、任せましたわ」
こうしてわたくしはサマーホリデー前にスッキリして楽しい休みを迎える事が出来たのでした。
「はあ……」
「そしてマリリー・ミルド子爵令嬢と新たな婚約を結ぶ!」
「はあ……」
「嬉しいですぅ!リース様あ!」
「マリリー!これから私の婚約者として王子妃教育に外交、頑張っておくれ」
「はい!」
わたくし、アルカンジェルはリース殿下に婚約破棄をされたのですが……。
「あ、あの教授様。ダンスとマナーの試験は続けた方が宜しいですか?」
呆気に取られていたマナーとダンスの教授はこほん、と咳払いを一つして
「アルカンジェル・ヴェルデ。君は合格だ。多分ご家族との話し合いも必要だろうから、もう帰ってよろしい。あと、誰か付き添って上げなさい」
わたくしが、と数人の同学年の女子が手を上げてくださいました。
「ありがとうございます、皆様」
「良いのですよ。しかし、どう言ったおつもりなのでしょう」
「わかりませんが、婚約破棄を急がされたのではないのですか?あの方に」
「だからといって……」
教授はリース殿下とマリリーさんの方を向き、淡々と言い渡します。
「殿下、ミルド子爵令嬢。お二人はダンスもマナーも不合格です。補習を言い渡します」
「な、何故だ!」
「えー!ひどいぃ!マリリー何もしていないわぁーー!」
二人の騒ぎ声が聞こえますが、本当に意味が分かりません。
「では何故、前期サマーホリデー前の試験会場で婚約破棄などというふざけた事をお言いになったのですか?!大体人前で婚約破棄を言い渡すなど、マナーに叶っているとお思いか!」
そうなのです。今この場は学園の試験会場なのです。夜会でも、卒業パーティーでもなく、試験官などが見詰めるこの場で、わたくしはどうやら婚約破棄を叫ばれたらしいのです。
「し、しかし……パーティーなど近々催されないし、マリリーが出る事が出来て、更にアルカンジェルが居るとなると本当に少なく……卒業パーティーまでマリリーは待てないと言うし……」
「そうよ!あんな女、さっさと居なくなれば良いのよ!リース様に捨てられて学園も辞めちゃえば良いの!」
何故、リース様に婚約破棄を叫ばれたらわたくしが学園を去らねばならないのでしょうか?分かりません。
お父様からはリース様との婚約に対する同意書を見せて頂いております。勿論、中には解消、破棄についての項目も極めて詳しく書いてありました。
「アルカンジェルが違反していることなど何一つない。それについての証言も全て揃っている。リース殿下は自分が苦境に立たされる事をご存知だから、婚約解消を先延ばししているのやもしれんな」
そう聞いて、成程と納得したのですが、何も考えておられなかったのではないかと思いました。
友人達に付き添われ、玄関まで歩いて行くと、沢山の留学生達が声をかけて下さいました。
「手続きが終わったら、すぐ送るから」
「何をでございましょう?」
「着いてからのお楽しみで」
「私もね」「私も申し込ませて貰うよ」
何の事かは分かりませんが、皆様笑顔で楽しげなので、きっと良い事なのでしょう。
玄関まで行くとレミが頭を下げてまっていました。あら?わたくし、来てくださいって呼んでいませんのに、凄いですわ。
「お嬢様、お迎えに上がりました。ご友人様もお付き添いありがとうございます。お嬢様も心強かったでしょう」
何かしら、もしかしてレミは今起こった事を知っているかしら?そんな大声で叫ばれたなんて少し恥ずかしいですわ。
「レミ、知っているの?」
「ええ、もう旦那様は王宮へ書類を持って向かっております。なかった事になんてさせませんから」
驚きました、凄い手際です!まるで全て見ていたかの様なレミにますます驚いてしまいました。
「そうなのですね、流石お父様ですわ。これでわたくしもスッキリしたってやつですわよね?」
レミから習った言葉でそう言うと、にっこり素敵な笑顔を見せてくれます。
「ええ!後は我々にお任せ下さいね!」
「はい、任せましたわ」
こうしてわたくしはサマーホリデー前にスッキリして楽しい休みを迎える事が出来たのでした。
応援ありがとうございます!
15
お気に入りに追加
3,952
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる