【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ

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IF編 闇へ

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「おはようございます」

「おはよう、ロウ。今日も元気ね」

「はい!」

 リリーの息子はロウと名付けられ、なんとか5歳になった。目立たない茶色の髪に薄い青い目の平凡な子供だった。

「ロウっ!」

「あ、母さん」

 母親を見つけ少し笑顔を作ろうとしたロウは髪の毛を思いっきり掴まれて苦痛に顔を歪める。

「ロウっ!」

「かあさ、っ!痛いっ!」

 にやり、と母であるリリーは笑う。

「やっぱりまた生えて来てる……便利よねぇ、あんた!」

「ううっ、痛いよぉ」

 ロウの髪の毛には一房だけ金の髪が生えて来るのだ。そしてその金の髪には一つだけ綺麗な紫の玉がついている。

「ははっ!これを売ればぁ、酒が買えるわぁ!」

 リリーに力づくて毟り取られ、痛みにロウは涙を流した。ハサミやナイフで切れば問題ないのに、リリーは無理矢理引きちぎる。

「痛いよ、母さん……」

「うるさいわね!あっちへお行き!

「あうっ!」

 近くにあった木の皿を投げつけられ、ロウは小さくなる。ロウが部屋の隅に避難している間にリリーは出て行ってしまった。

「母さん……」

 ポロポロとロウは涙を流す。しかしリリーは振り返らない。

「母さんは僕が嫌いなの……?僕は


「おーい、ロウ。リリーさんご機嫌で出てったけど大丈夫?」

「う、うん、平気だよ!」

 ご近所の獣人がロウに声をかけてくれる。縞々尻尾がキュートな獣人は、小さいロウの世話を焼いてくれた。

「ほら、パン。ちっちゃいけど、ないよりマシだろ?食え」

「ありがと、でも半分は母さんに」

「馬鹿!パンなんか持ってたらリリーさんに何言われるかわかんねーだろ!しかもこんな小さいパン、半分にしたら無くなる!お前が食え!」

「う、うん」

 白くもなく、柔らかくもないパンだったが、久しぶりのパンの味は美味しかった。

「また、千切られた?」

「……うん……」

 短くなった金の房を見られてロウはため息をつく。

「なんでここだけ色が違って、玉が一個付いてくるんだろう?」

 リリーが持っていって今頃少ない硬貨と交換している紫の玉は、しばらくするとまた金の髪にくっついて戻っている。
 これがあるから、リリーはロウを手元に置いてるし、ロウもなんとか生かして貰っている。

「さあ?」

 ぱんぱんとお尻の埃を払って獣人は立ち上がる。

「ロウが生まれる前に何かあったんじゃない?」

「そうなのかな……僕、全然分かんないよ。あ、でもパンありがとう。ライツ」

「ん、またな。ロウ」

 アライグマの獣人は人好きのする笑顔をして去っていった。

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