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14 私の犠牲で救われる民がおります

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「ばぶらばぶら……」
「シャティ様……?」
「キャハッ☆」

 ラブリー赤ちゃんごっこは辛い。しかしそうもいっていられない。俺はすーっと昇天してしまったシャトルリアの魂の為にもきちんと赤子としての職務をせねばならん。可愛い赤ちゃんですよん!しんどい。

「仕事で疲れた酒場の酔っ払いみたいな顔しないで下さい」
「うぶー……」

 俺はまだ上手に喋ることができないけれど、宰相さんは二人っきりの時は普通に話しかけてくる。ふ、この人ともやっとカギカッコで喋れるようになったぞ。

「赤ん坊のうちから魔力回路でも回しておいたらどうです?」
「ウウブーンウブンブン(あまり小さいうちからやるのは良くない気がする)」
「なんて?」

 伝わらなかったようだ。ふて寝するしかない。というかすぐ眠くなるな、流石赤子。俺は気が付くと寝ていて、おっぱいを飲み、そして大きくなっていった。3歳にもなると喋れるようになったぞ!

「ママー、ニィニ、ウバ、サイショー」
「まあ!シャティはおしゃべりがお上手ね!」
「ウン、エヘヘ」

 パパはほとんど現れなかったけれど、兄という人は良く来てくれた。第一王子、つまりこの国の王太子なんだけど、年で言えば5歳上らしい。良くつらそうな顔をしてごめんなさいっていってるなんでだろ?

「サイショー、なんで兄、ごめんなさいっていうんだ?」
「それはですね、あなたの嫁ぎ先がもう決まっているからです」
「なんやて?」

 不穏な単語が結構混じってた。

「あなたは生まれた時から北帝国エネルの王太子へ嫁ぐことが決まっています。もう婚約も済んでいますね。あなたがいなければ王太子のリヒャルド様が行かれる予定でしたから」
「まず確認だがよ、北帝国エネルの王太子に嫁ぐ?もしかして、王太子は男か?」

 俺の口調は3歳児ぶっている余裕がなくなった。

「ええ、今9歳ですね。つまりあなたは人質として送られます。すいません、わが国弱くて」
「おーまいがー……なるほど、ごめんの意味も必要の意味もそういうことだったのか」
「そういうことです。もう少し大きくなってからお伝えしようと思っておりましたが、まあ中の人が疑問に思うのも無理はないですね、そういうことです」
「俺……男の嫁とか無理なんだけど」
「あなたの犠牲で救われる民の命があります」
「おーまいがー……」

 俺の尻は年頃になると死亡確定事項だったか。

「……それまで甘やしてくれたまえ……」
「あと3年は大切にしますよ」
「俺、6歳になったら出荷なのか!?」
「すいません、わが国弱くて」

 まじかよーーーーーー!

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