31 / 69
31 俺だってきれるよ?
しおりを挟む
「シャトルリア様……!」
「貴様ァアアア!」
「黙って!」
俺は俺の後ろで一瞬呆気にとられてから怒り出した皆を制止する。怒る必要なんてない。俺が頭を下げれば殿下が少しでも早く治るんならどうってことないじゃないか。そりゃ服とか顔は汚れるけど洗えばいいしな。
何か知らんがシェリリアまで呆然としてる。変な奴。お前がやれって言ったんだろ?
「は……はは!あのシャトルリアがァアアア頭を下げたアアアアア!この、アタシに!アタシに頭を下げて謝った!!あは、あはは……あーーーーっっはっはっは!」
変な奴。何がそんなに楽しいんだろう?俺一人に頭を下げさせただけで何がそんなに嬉しいのかさっぱりわからん。それに後ろの侍女ちゃんは泣いているコもいるし、騎士達は怒りでガタガタ震えている。意味が分からん。俺だぞ?中身糸クズ2センチメートルの俺だぞ??うるせえけど、シェリリアは暫く大笑いしていた。でけー口。お下品なやつめ。
「聖女が!あのシャトルリア様がああああああ!アタシに、アタシにいいいい!あーー気持ちいい最高ッ!最高よ!王太子を誘った時より、令嬢共を操った時より、最高の気分だわ!!」
そんだけで大喜びしてるの?こいつ。ホント変な奴だけどそろそろこの格好やめたい。床はゴツゴツした岩で足は痛いし、何せ床は臭い。とっても臭い。
「薬の、成分を」
「あーーーーっはっはっは!いう訳ないでしょう!!女はぁー男を騙すモンなのよおおおお!残念でしたアアアア!あんたは曲がりなりにも男だからねええ!だぁから騙されるのよおおおお!」
はあ、根性の曲がり切った奴。まあある程度予想はしていた。俺は床から立ち上がり、ブルブルと真っ赤になって震えるこの場で一番偉い騎士団長に声をかけた。
「ゼル団長。シェリリアは薬の成分を知るためだけに生かしてあるんだっけ?薬の成分さえ分かればもう生かしておく必要はない存在?」
「その通りです!そいつの父親と領地はもう軍が囲んでいます。薬のことが分かるまで泳がせている段階です。その女は殺しても構いません!」
「それは、良かった」
「は……何しようっていうのよ!私は喋らないからね!!」
流石に俺も切れたぜ。ブッチ切れたぜ。
「早く喋った方が身のためだけれど、流石に私も怒ったからね?悪いんだけど、その子をベッドかなんかに括り付けて微動だに出来ないようにしてくれない?」
「了解です!シャトルリア様!!」
俺達は地下の牢獄からちょっとだけ綺麗な部屋に移動してきた。そして宰相さんも呼んだ。
「何があったか聞きました……なんと無礼な女なんでしょう!」
「まあ……これから可哀想な実験に付き合わせるつもり。頭をいじろうかなって」
「……成程、後学のために私を呼んだんですね?」
俺は頷いた。
「シャ、シャトルリアのくせに!アタシに跪いた癖に!」
喋って貰わなきゃいけないから口は塞いでいないけれど、シェリリアは指一本動かせない姿で簡素なベッドに括り付けられている。
「とっても痛いからね?早く喋ると良いよ」
きっと俺の目はとても冷たかったと思う。でも流石に許せそうにない。指でシェリリアの頭を掴む。そう、指先から出せるんだ、糸くずの長いのをね?
「外側から……入れるんだけど、中の様子を見ながらじゃないとどんな効果を齎しているかよくわからないでしょう?だから中に入って治療する。でもさ、治療目的じゃないなら……乱雑に扱っていいわけ」
「ヒ、痛い痛い痛いーーー!」
「頭の中には痛みを感じる部位っていうのがあってね。そこを刺激すると、痛いんだよ、とっても」
「ギャアアアアアアアアアアアア!」
令嬢らしくない叫びが木霊するけれど、誰も止めようとしない。
「この程度でソレじゃあこの先どうするの?まだまだほんの先っちょを刺しただけだよ」
「やめて……やめて、やめてやめてやめ‥‥…ギャアアアアア!」
「堪え性の無い人だ」
若干目の前の宰相さんが引いてるけど、若干だ。どちらかというと興味深げに眺めている。
「白目を剥いて気絶したらどうするんです?」
「そうならないように加減して刺して行きましょう。本当は刺すなんてことはしない方が良いんですよ。壊れて使い物にならなくなる。でも……もう要らないそうです、この人」
「捨てること前提っていうわけですね。情報さえ取れれば後は要らない?」
「らしいですよ」
俺達のやり方は良くないかもしれない、でも効果的だろうな。
「貴様ァアアア!」
「黙って!」
俺は俺の後ろで一瞬呆気にとられてから怒り出した皆を制止する。怒る必要なんてない。俺が頭を下げれば殿下が少しでも早く治るんならどうってことないじゃないか。そりゃ服とか顔は汚れるけど洗えばいいしな。
何か知らんがシェリリアまで呆然としてる。変な奴。お前がやれって言ったんだろ?
「は……はは!あのシャトルリアがァアアア頭を下げたアアアアア!この、アタシに!アタシに頭を下げて謝った!!あは、あはは……あーーーーっっはっはっは!」
変な奴。何がそんなに楽しいんだろう?俺一人に頭を下げさせただけで何がそんなに嬉しいのかさっぱりわからん。それに後ろの侍女ちゃんは泣いているコもいるし、騎士達は怒りでガタガタ震えている。意味が分からん。俺だぞ?中身糸クズ2センチメートルの俺だぞ??うるせえけど、シェリリアは暫く大笑いしていた。でけー口。お下品なやつめ。
「聖女が!あのシャトルリア様がああああああ!アタシに、アタシにいいいい!あーー気持ちいい最高ッ!最高よ!王太子を誘った時より、令嬢共を操った時より、最高の気分だわ!!」
そんだけで大喜びしてるの?こいつ。ホント変な奴だけどそろそろこの格好やめたい。床はゴツゴツした岩で足は痛いし、何せ床は臭い。とっても臭い。
「薬の、成分を」
「あーーーーっはっはっは!いう訳ないでしょう!!女はぁー男を騙すモンなのよおおおお!残念でしたアアアア!あんたは曲がりなりにも男だからねええ!だぁから騙されるのよおおおお!」
はあ、根性の曲がり切った奴。まあある程度予想はしていた。俺は床から立ち上がり、ブルブルと真っ赤になって震えるこの場で一番偉い騎士団長に声をかけた。
「ゼル団長。シェリリアは薬の成分を知るためだけに生かしてあるんだっけ?薬の成分さえ分かればもう生かしておく必要はない存在?」
「その通りです!そいつの父親と領地はもう軍が囲んでいます。薬のことが分かるまで泳がせている段階です。その女は殺しても構いません!」
「それは、良かった」
「は……何しようっていうのよ!私は喋らないからね!!」
流石に俺も切れたぜ。ブッチ切れたぜ。
「早く喋った方が身のためだけれど、流石に私も怒ったからね?悪いんだけど、その子をベッドかなんかに括り付けて微動だに出来ないようにしてくれない?」
「了解です!シャトルリア様!!」
俺達は地下の牢獄からちょっとだけ綺麗な部屋に移動してきた。そして宰相さんも呼んだ。
「何があったか聞きました……なんと無礼な女なんでしょう!」
「まあ……これから可哀想な実験に付き合わせるつもり。頭をいじろうかなって」
「……成程、後学のために私を呼んだんですね?」
俺は頷いた。
「シャ、シャトルリアのくせに!アタシに跪いた癖に!」
喋って貰わなきゃいけないから口は塞いでいないけれど、シェリリアは指一本動かせない姿で簡素なベッドに括り付けられている。
「とっても痛いからね?早く喋ると良いよ」
きっと俺の目はとても冷たかったと思う。でも流石に許せそうにない。指でシェリリアの頭を掴む。そう、指先から出せるんだ、糸くずの長いのをね?
「外側から……入れるんだけど、中の様子を見ながらじゃないとどんな効果を齎しているかよくわからないでしょう?だから中に入って治療する。でもさ、治療目的じゃないなら……乱雑に扱っていいわけ」
「ヒ、痛い痛い痛いーーー!」
「頭の中には痛みを感じる部位っていうのがあってね。そこを刺激すると、痛いんだよ、とっても」
「ギャアアアアアアアアアアアア!」
令嬢らしくない叫びが木霊するけれど、誰も止めようとしない。
「この程度でソレじゃあこの先どうするの?まだまだほんの先っちょを刺しただけだよ」
「やめて……やめて、やめてやめてやめ‥‥…ギャアアアアア!」
「堪え性の無い人だ」
若干目の前の宰相さんが引いてるけど、若干だ。どちらかというと興味深げに眺めている。
「白目を剥いて気絶したらどうするんです?」
「そうならないように加減して刺して行きましょう。本当は刺すなんてことはしない方が良いんですよ。壊れて使い物にならなくなる。でも……もう要らないそうです、この人」
「捨てること前提っていうわけですね。情報さえ取れれば後は要らない?」
「らしいですよ」
俺達のやり方は良くないかもしれない、でも効果的だろうな。
167
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる