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67 その後
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「ホルウェークは世界で2番目に可愛いなあ! 」
「分かってますよ、世界で一番可愛いのは母上なんでしょう? 父上ってば」
「その通り」
「まあでも母上は世界で一番尊いので仕方がないですね」
夫と一番上の息子はそっくりだと思う。主に阿呆な所がね……。俺はビビり散らかしながら妊夫になって、元シャトルリアの魂の子を大事に大事に育て、気合一閃この世に送り出してもらった。うん、あの先生の腕は最高だと思う。シャッと切ってパッと出してススイと縫う、なんかすごいんであの先生の下に何人もの弟子志願の子達がくっ付いているのも頷ける。
「でも私はやはり男性が妊娠するという人体の神秘の解剖に心血を注ぎたい!」
と、ちょっぴりマッドな発言をしている……怖い怖い。俺が実は3センチしかない糸くずだってばれたら確実にメスをギラつかせながら寄ってくるだろう。
「尻尾の方、5ミリくらいなら切って構わんだろう……? 」
絶対そんなことを言いそうだから、秘密にしないといけない。まあでも先生のヤバい心を慰めるくらい妊夫さんが頻繁にやってくるから、ヤバい方面に手を出してる暇がなさそうで何よりだ。
「こんなに早く混血を進めるつもりじゃないんだけど、世界の忖度が止まらないんだーー! 」
神様も慌てふためいている。
「まずは過酷な運命やら好奇の目やらに晒されても心をしっかり持てるような人達からゆっくり進めていくつもりだったのにー!あああ、調整がー調整がー! 」
子供の魂を引っ付けたまま右へ左へ走り回っていた。一人産まれるたびに引っ付いてる魂が減っているから神様に引っ付いてる魂はルーセンの血を持った妊夫さんや妊婦さんから産まれる予定の子供たちなのだろう。
「フフ……フフフ!お先に失礼しますよ……ふはははーー! 」
元宰相さんのテリーさんが二人目の後、2連続で双子を設けるというなんか離れ業を披露してくれた。
「もうくっ付いている子供はいませんでしたからね、流石私です! 」
「体は大丈夫なんですか……? 」
「腹の皮は伸びました」
子供を産むたびに元気になっていっている気すらする。でも本当にそれは気のせいじゃなくてどうも神様からの感謝の気持ちらしい。神様にくっ付いて過ごしていた子供達の魂はいろいろな加護の欠片をくっ付けてやってくる。それを産まれる時に母体に残しているようだ。ああやって神様にべったりくっ付いているのはそれを受け取る為みたい。
普通の出産はたくさんの困難や事故もあるけれど、俺が見ている妊夫さん達は皆元気で産んでいる。とてもありがたいことだけれど、きっとこんな幸運は年々減っていき、そのうち普通になっていくんだろう。
「あのね……なんとなく気がついてると思うけど、前の神って人間を弄って英雄を作り出そうとしちゃったりする奴だったでしょう?まあ、他の管理も杜撰なんだよねえ……」
「世界がどこか歪んでたり、人間以外も弄られてるの? 」
「大正解」
俺達と俺達の子供達は神様のためにいろいろ働いている。世界の為であり、自分の為なんだから悪いことはないんだけれど、忙しくて仕方がない。
セイルとミュゼルの子供は勇者の血を濃く引いて、まだ10歳ながらに悪魔を仕留めたなんて言っている。名前はシェミルと言ってとてもワンパクなんだけれど、そのシェミルに俺の2番目の息子がべた惚れだ。
「俺、シェミルを嫁にする! 」
「……逆では」
「やだあーーーーーー! 」
まだ8歳の2番目の子はアリーフという……そう、ミミズ神の計画ではホランの妹として生まれ、聖女となる女性で、さらにセイルと結婚する予定だった子と同じ名前で同じ魂だ。ホランが笑顔でこの子の名前を付けた時は別の名前にしよう?と言いかけたがやめた。きっとこの子の幸せになってくれるはずだし、金髪の神様はこの子を不幸になんてするはずがない。
アリーフは元気な男の子に生まれて、強い神聖力を最初から身につけていた。女性ではないけれど、何故か聖女の称号を得て俺よりももはや強い。
「……なんだか非常に申し訳ない」
「えーと……?アリーフはシェミルのことが大好きなんだね!」
まだ赤ん坊だったアリーフは初めてシェミルを見た時からロックオンしていたな。なんか目の色を変えて高速ハイハイで近寄っていってよだれでベロベロにしていたっけ……。俺がセイルとミュゼルに速攻で頭を下げた案件だった。最初の息子のホルウェークがここまでじゃなかったから、油断していたけれどそうだ、この子はホランの息子なんだと改めて痛感したっけな。
「分かってますよ、世界で一番可愛いのは母上なんでしょう? 父上ってば」
「その通り」
「まあでも母上は世界で一番尊いので仕方がないですね」
夫と一番上の息子はそっくりだと思う。主に阿呆な所がね……。俺はビビり散らかしながら妊夫になって、元シャトルリアの魂の子を大事に大事に育て、気合一閃この世に送り出してもらった。うん、あの先生の腕は最高だと思う。シャッと切ってパッと出してススイと縫う、なんかすごいんであの先生の下に何人もの弟子志願の子達がくっ付いているのも頷ける。
「でも私はやはり男性が妊娠するという人体の神秘の解剖に心血を注ぎたい!」
と、ちょっぴりマッドな発言をしている……怖い怖い。俺が実は3センチしかない糸くずだってばれたら確実にメスをギラつかせながら寄ってくるだろう。
「尻尾の方、5ミリくらいなら切って構わんだろう……? 」
絶対そんなことを言いそうだから、秘密にしないといけない。まあでも先生のヤバい心を慰めるくらい妊夫さんが頻繁にやってくるから、ヤバい方面に手を出してる暇がなさそうで何よりだ。
「こんなに早く混血を進めるつもりじゃないんだけど、世界の忖度が止まらないんだーー! 」
神様も慌てふためいている。
「まずは過酷な運命やら好奇の目やらに晒されても心をしっかり持てるような人達からゆっくり進めていくつもりだったのにー!あああ、調整がー調整がー! 」
子供の魂を引っ付けたまま右へ左へ走り回っていた。一人産まれるたびに引っ付いてる魂が減っているから神様に引っ付いてる魂はルーセンの血を持った妊夫さんや妊婦さんから産まれる予定の子供たちなのだろう。
「フフ……フフフ!お先に失礼しますよ……ふはははーー! 」
元宰相さんのテリーさんが二人目の後、2連続で双子を設けるというなんか離れ業を披露してくれた。
「もうくっ付いている子供はいませんでしたからね、流石私です! 」
「体は大丈夫なんですか……? 」
「腹の皮は伸びました」
子供を産むたびに元気になっていっている気すらする。でも本当にそれは気のせいじゃなくてどうも神様からの感謝の気持ちらしい。神様にくっ付いて過ごしていた子供達の魂はいろいろな加護の欠片をくっ付けてやってくる。それを産まれる時に母体に残しているようだ。ああやって神様にべったりくっ付いているのはそれを受け取る為みたい。
普通の出産はたくさんの困難や事故もあるけれど、俺が見ている妊夫さん達は皆元気で産んでいる。とてもありがたいことだけれど、きっとこんな幸運は年々減っていき、そのうち普通になっていくんだろう。
「あのね……なんとなく気がついてると思うけど、前の神って人間を弄って英雄を作り出そうとしちゃったりする奴だったでしょう?まあ、他の管理も杜撰なんだよねえ……」
「世界がどこか歪んでたり、人間以外も弄られてるの? 」
「大正解」
俺達と俺達の子供達は神様のためにいろいろ働いている。世界の為であり、自分の為なんだから悪いことはないんだけれど、忙しくて仕方がない。
セイルとミュゼルの子供は勇者の血を濃く引いて、まだ10歳ながらに悪魔を仕留めたなんて言っている。名前はシェミルと言ってとてもワンパクなんだけれど、そのシェミルに俺の2番目の息子がべた惚れだ。
「俺、シェミルを嫁にする! 」
「……逆では」
「やだあーーーーーー! 」
まだ8歳の2番目の子はアリーフという……そう、ミミズ神の計画ではホランの妹として生まれ、聖女となる女性で、さらにセイルと結婚する予定だった子と同じ名前で同じ魂だ。ホランが笑顔でこの子の名前を付けた時は別の名前にしよう?と言いかけたがやめた。きっとこの子の幸せになってくれるはずだし、金髪の神様はこの子を不幸になんてするはずがない。
アリーフは元気な男の子に生まれて、強い神聖力を最初から身につけていた。女性ではないけれど、何故か聖女の称号を得て俺よりももはや強い。
「……なんだか非常に申し訳ない」
「えーと……?アリーフはシェミルのことが大好きなんだね!」
まだ赤ん坊だったアリーフは初めてシェミルを見た時からロックオンしていたな。なんか目の色を変えて高速ハイハイで近寄っていってよだれでベロベロにしていたっけ……。俺がセイルとミュゼルに速攻で頭を下げた案件だった。最初の息子のホルウェークがここまでじゃなかったから、油断していたけれどそうだ、この子はホランの息子なんだと改めて痛感したっけな。
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