【本編完結】神に捨てられた糸くずの俺は愛される~不幸な物語なんて変えてやるから安心して

鏑木 うりこ

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68 その後2

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「サイショーサン、私達は今日どっち?」
「サイショーサンという名前ではないと何度もお伝えしているでしょう? 行けそうならかなり遠いですが、東の果ての島国で「リュウ」と呼ばれるものが「ギョク」を盗まれて大暴れしているそうです。「ギョク」を取り戻す仕事になりますね」
「ランドルフと一緒ならどこでも大丈夫だよ~ね?ラン」
「えええ……私はあまりこの国から離れたくな」
「行ってきまあーす!」
「キャアアアア!ホァン、やめてえええええ!」

 マチェット君の2番目の息子ランドルフ君の襟首を踏ん捕まえてイノシシより早く走って行ったのは俺の三番目の息子のホァンルン。俺の息子達は一番最初のホルウェーク以外、性格が完全に旦那様よりだった。ホルウェークは元々シャトルリアの元の魂の子が入っているから、おっとりしている。
 でもなんか俺のことを必要以上に神聖視するのはどうかと思うよ……。今日も元気にホランと一緒に俺を拝んでいる、やめろ他の子供が真似をする。

 ルーセンの血を濃く引くと誰でも妊娠すること、帝国の血を濃く引くと誰か一人に馬鹿みたいに固執するって言う国民性??が浸透して来た。
 ルーセン民は魔力溜まりを開けちゃうと本当に妊娠し易くて、女性なんかはほぼ100%なので避妊技術が向上している。
 帝国民には執着心を和らげる薬なんかを開発中だけれど、まだ上手く行かない。内緒で何度もホランに飲ませてみているけど、さっぱりだ。

「いくらシャトの頼みでもあの苦いお茶は飲みたくないな……」

 毎回そうやって顔をしかめているから、どんな効果のお茶をもちろん飲まされているかは気がついているみたい。それでも飲んでくれるから、俺がもし毒を出しても喜んで飲んでくれそうでちょっと怖い。

「ふふ、シャトの手ずから毒なら飲んで死にたいなぁ……その時はシャトの胸に抱かれて死ぬんだ……はぁ、堪らない」

 うっとりそんな呟きを聞いたことがあるから、毒を絶対に盛らないようにしないと駄目だと心に誓った。まあ、毒を盛る予定もないけど……。
 まだまだたくさんの問題は抱えているけれど、子供達はやはり強さの桁が違う。小さなうちから力を持て余していたけれど、成人近くからは世界中を飛び回る勢いだ。
 そしてセイルとミュゼルも殆ど国にはいない。

「俺、この世界を旅してみたいんです」

 セイルは目をキラキラさせて、そんな夢を教えてくれた。

「俺は前世の記憶というものがあります。そこで俺は毎日毎日仕事漬けで……自由に旅することを夢見てたんです……出来れば最高に気の合う、愛する人と」

 ミュゼルと顔を合わせ、微笑み合う。

「うっ!ピュアな光が眩しっ! 」

 俺が両目を覆ってしまうくらいのルクスだった……。それでセイル達は帝国を拠点としてあちこちへ旅をしている。呑気な旅行のつもりで出かけるのに、何かを倒したとか、争いを鎮めたとか、問題ある子供を連れ帰るとかトラブルメーカーではなくトラブルシューターだ。何でもかんでも解決して帰って来る。でもよく解決しきれずに問題をお持ち帰りして来るんで、宰相さんに俺が泣きついてしまった。

「まったく仕方がないですね」

 そう言いながら引き受けてくれた。ついでに言えば暇だったらしい……宰相さんも何か仕事をしていないと落ち着かない社畜体質だったのだ。
 それで持ち帰った問題の解決や力を持て余した子供達の遊び先を考えたりしてくれている。

 俺はその活動の資金のスポンサーというわけだ。いや、どっちかっていうとトラブルを起こすのはうちの子が多いのでやっぱり宰相さんに助けてもらっているんだよなぁ。

「私どもの息子達もアレなんで……まあ、まとめてお世話しますよ」

 宰相さんちの子供達もなかなかパワフルモンスター揃いで頼もしいやら恐ろしいやらだ。何せ下の二組は二人がかりで伝統の双子サンドをしてくるから、挟まれた方はたまったものではないらしい。うちの一番下の息子のユーリアがサンドされたが割と平気らしい、強い。



 
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