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新しい土地
38 つみかさなる
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雨が降り続いていた。ここ何ヶ月も太陽を見ていないが、最近は雨が止まず降り続いている。
ジュールへの手紙を送り出した次の日のことだった。
「川が!川が氾濫いたしました!」
駆け込んできた兵士が必死な形相で叫んだ。
「堤が切れて街に水が!」
「なんだって?!」
こんな事は生まれて初めてだったので、アヴリーはうろたえた。
「一体どうしたら……!そうだ、宰相、宰相を呼べ」
「宰相殿は王の見舞いに…」
口ごもりながら文官は答えたが、後ろからマロード国の宰相は現れた。
「堤が切れただと?!なぜそこまで放置した!上流で変化があったらすぐ知らせるように伝えてあっただろう!」
「……あの、お伝えしました……」
文官は目を逸らしながら訴える。
「私は聞いておらんぞ」
「あの……アヴリー様に……。宰相様に伝えてくださると…」
アヴリーは驚いた。なぜ自分の名前が出るのかと!
「それは、どういうことか?!」
「ちょうどアヴリー様にお会いして…ついでだからもっていってくださると仰られまして……。書類も一緒にお渡しいたしました……10日ほど前です」
思い起こすと、そう言えばこの文官から紙を預かった。王子の手を煩わす訳には参りませんと言ったが、半ば無理矢理奪い取った気がする。
その紙は……自室の机の上には置いたままだ。
「10日もあれば対処できたでしょうに!仕方がありません!急いで兵士たちを救援に向かわせてください!」
テキパキと指示を出しながら、足早に歩き去る。その場にはアヴリーだけが何も出来ずに残った。
「ちっ!」
下品な舌打ちはネズミしか聞いていなかった。
滅入った気持ちを切り替えようと、貴族達が集うサロンに出向く。そこは閑散としていて、誰もアヴリーに声をかけて来るものはなかった。
それはそうだ。川が氾濫して街が水浸しになっているのだ。自分の家が被害にあったものもいるだろうし、今危険な目に遭っているものもいるかも知れない。
普通の貴族ならこの緊急時に集まって談笑などしないはずだ。
それにしても、アヴリーは違和感を感じる。まばらにいる貴族たちが自分を避けているような気がするのだ。
「セーブル卿の話、聞きましたか?」
「ああ、いくらなんでもやり過ぎだ。あれほど国に仕えた男にかような仕打ち…」
「震え上がりました。これ以上は近づかぬに越した事はない」
「はは……全てを奪われてはたまりませんからな」
おかしい。セーブルへの手紙を持たせたのは昨日だ。それなのに手紙の内容と思われる事柄がひそひそと聞こえてくる。
まだセーブルの家についておらず、封も切られていないと言うのに!
おかしい!サロンに居てもアヴリーは1人だった。
「あのぅ…アヴリー様」
「なんだっ!」
遠慮がちに声をかけてくるものがいたので振り返ると、顔も覚えていない者だった。揉み手をしながら、男は尋ねる。
「えーと、お買い上げ頂いた商品のお代なのですが……」
「っ!後で払う!」
アヴリーに近寄って来るものは最早、支払い待ちの商人だけだった。
「宰相殿……この支払いの件なのだが……」
2日後、アヴリーが商人達の視線に耐え切れず、宰相の執務室を訪れた。宰相は真っ青な顔に目の下は疲労の色が濃く、いつ倒れてもおかしくない状況で、動き回っていた。
「やはり……疫病の兆しがありますか……」
「はっ!水で浸食された地域は住宅が多く、押し流された水は貧民街へ到達。臭いも酷く、大量のネズミの発生も確認されております」
報告をあげている兵士も、泥で汚れ切っている。こちらも顔色が悪い。あれから寝ていないのだろう。
「川の氾濫は避けたかった……これほどの長雨、必ずどこか遅かれどこか切れるだろうと思っていたが……10日前に分かっていれば、王都は免れただろうが……起こってしまったことは元には戻らん……」
そしてまだ、水は流れ込み続けている。雨が上がらないのだ。太陽がでないから、水も引かず汚泥はたまり続ける。最悪の事態だ。
「民に避難を呼びかけろ」
「どこへ……どこへ逃げろと?」
ギリっと歯を噛み締める音が聞こえた。
「水のこない所だ!」
具体的にどこの土地へ逃げろと指示は出せなかった。大きな土地を持っている力ある貴族達が誰も残っていないのだ。
連絡を取りたくとも数日はかかる。
「ザグリア公爵はまだ王都に居たな?」
「……はい、しかしもうすぐ水が来る場所に屋敷がございます」
「……頼る事は出来んなディバートン公爵は?」
「……流されておいでです。……行方は分かっておりませぬ」
「そうか……トレヌ公爵は?」
「人を送っておりますが、なにぶん領地が南ですので、まだ到着しないかと」
「「慈悲のトレヌ」だ。最悪、南に逃げよと伝えてくれ。かの公爵ならば無碍にはすまい」
分かりました。兵士は宰相の言葉を現場に伝える為、部屋を後にした。
ふーーーーっと長いため息をついて、宰相は椅子に身を投げ出した。一瞬でも気を抜けば眠ってしまう。だが今眠る訳にはいかない。自分の判断が少し遅れるだけで、国民が何百人死ぬかわからぬのだから。
そしてやっと扉の側に立っている人物に気づいた。この状況を作った本人とも言える人物、アヴリー第一王子。
彼はかなり前から王太子と呼ばれていない事実に気がついていない。
「如何なされた、王子よ。生憎立て込んでいて、ゆっくり話も出来ませぬが、緊急でしたら伺いますよ」
「あ、ああ?いや、緊急と言うことではないのだが……」
後ろ手に隠した紙の束から数枚落ちている事にも気付いていない。やはりな、宰相は顔には出さなかったが、請求書の文字を見つけて目の前が暗くなった。
せめて、凡庸であれば良かったのに。
この王子の有用スキルを宰相は知らない。ジュール・セーブルと言う傑物が膝まづいた王子、それだけだから。
セーブルの光が美しすぎて、愚鈍まで照らしておったのだな。
「あー……ち、父上のお加減はどうなのだ?呪いのような物があると聞いておる。教皇は呼んだのか?」
聞いておる!つまりはこの王子は父親の見舞いに行っていないのだ!病が移るのが怖い。呪いが移るのが怖い!間違いない、顔に書いてあるようだ。
「教皇は来ませぬ。あれは全ての神聖な力を失って放逐されました」
「何だと!?あれほど、聖女様にご寄付を、ご寄付をと言っていたのに!役立たずではないか!」
その口が役立たずと言いおった!
「しかし見習い神官以下の力ではどうすることも。他の高司祭では太刀打ち出来ぬ代物だそうです」
申し訳なさそうに平伏する司祭達に、王も宰相も何も言えなかった。
「そうだ!聖女はどうした!あれほど大切にしていた聖女は?聖女ならば父上を治せるのではないか?!」
いい事を思いついた、とばかりのアヴリー。
「聖女様はいらっしゃいませんでした。誰に聞いてもハッキリとした事は分からず、いつの間にか居なくなったと言うばかりです」
「では!教皇の寄付とは何だったのか!」
「ノースは地下牢に閉じ込めております。この大事、あやつを裁くのはまだ先になりそうです」
「なんと言う事……聖女がおれば……聖女…?」
アヴリーのおめでたい頭の中に、引っかかった聖女と言う言葉。セーブル家で聞いた言葉を今更ながらに思い出す。
私は聖女のスキルを持っています
「居る……あ…」
しかし、あの手紙はもうジュールに向かって送ってしまった。今から追いかけても、止められない場所まで行っている。
あの手紙を見て、ジュールは娘を連れて王都へ来るだろうか?来るわけがない!!
「アヴリー王子?聖女にお心当たりが?」
「!! いや!いやない!何もない!」
ジュールへの断罪はアヴリーの独断で行った。これが、宰相や父親である国王にバレてはいけない気がした。
アヴリーは足早に宰相の執務室を出た。
「私は……とんでもない事をしたのか……?」
答えはアヴリー以外は皆、知っていた。
ジュールへの手紙を送り出した次の日のことだった。
「川が!川が氾濫いたしました!」
駆け込んできた兵士が必死な形相で叫んだ。
「堤が切れて街に水が!」
「なんだって?!」
こんな事は生まれて初めてだったので、アヴリーはうろたえた。
「一体どうしたら……!そうだ、宰相、宰相を呼べ」
「宰相殿は王の見舞いに…」
口ごもりながら文官は答えたが、後ろからマロード国の宰相は現れた。
「堤が切れただと?!なぜそこまで放置した!上流で変化があったらすぐ知らせるように伝えてあっただろう!」
「……あの、お伝えしました……」
文官は目を逸らしながら訴える。
「私は聞いておらんぞ」
「あの……アヴリー様に……。宰相様に伝えてくださると…」
アヴリーは驚いた。なぜ自分の名前が出るのかと!
「それは、どういうことか?!」
「ちょうどアヴリー様にお会いして…ついでだからもっていってくださると仰られまして……。書類も一緒にお渡しいたしました……10日ほど前です」
思い起こすと、そう言えばこの文官から紙を預かった。王子の手を煩わす訳には参りませんと言ったが、半ば無理矢理奪い取った気がする。
その紙は……自室の机の上には置いたままだ。
「10日もあれば対処できたでしょうに!仕方がありません!急いで兵士たちを救援に向かわせてください!」
テキパキと指示を出しながら、足早に歩き去る。その場にはアヴリーだけが何も出来ずに残った。
「ちっ!」
下品な舌打ちはネズミしか聞いていなかった。
滅入った気持ちを切り替えようと、貴族達が集うサロンに出向く。そこは閑散としていて、誰もアヴリーに声をかけて来るものはなかった。
それはそうだ。川が氾濫して街が水浸しになっているのだ。自分の家が被害にあったものもいるだろうし、今危険な目に遭っているものもいるかも知れない。
普通の貴族ならこの緊急時に集まって談笑などしないはずだ。
それにしても、アヴリーは違和感を感じる。まばらにいる貴族たちが自分を避けているような気がするのだ。
「セーブル卿の話、聞きましたか?」
「ああ、いくらなんでもやり過ぎだ。あれほど国に仕えた男にかような仕打ち…」
「震え上がりました。これ以上は近づかぬに越した事はない」
「はは……全てを奪われてはたまりませんからな」
おかしい。セーブルへの手紙を持たせたのは昨日だ。それなのに手紙の内容と思われる事柄がひそひそと聞こえてくる。
まだセーブルの家についておらず、封も切られていないと言うのに!
おかしい!サロンに居てもアヴリーは1人だった。
「あのぅ…アヴリー様」
「なんだっ!」
遠慮がちに声をかけてくるものがいたので振り返ると、顔も覚えていない者だった。揉み手をしながら、男は尋ねる。
「えーと、お買い上げ頂いた商品のお代なのですが……」
「っ!後で払う!」
アヴリーに近寄って来るものは最早、支払い待ちの商人だけだった。
「宰相殿……この支払いの件なのだが……」
2日後、アヴリーが商人達の視線に耐え切れず、宰相の執務室を訪れた。宰相は真っ青な顔に目の下は疲労の色が濃く、いつ倒れてもおかしくない状況で、動き回っていた。
「やはり……疫病の兆しがありますか……」
「はっ!水で浸食された地域は住宅が多く、押し流された水は貧民街へ到達。臭いも酷く、大量のネズミの発生も確認されております」
報告をあげている兵士も、泥で汚れ切っている。こちらも顔色が悪い。あれから寝ていないのだろう。
「川の氾濫は避けたかった……これほどの長雨、必ずどこか遅かれどこか切れるだろうと思っていたが……10日前に分かっていれば、王都は免れただろうが……起こってしまったことは元には戻らん……」
そしてまだ、水は流れ込み続けている。雨が上がらないのだ。太陽がでないから、水も引かず汚泥はたまり続ける。最悪の事態だ。
「民に避難を呼びかけろ」
「どこへ……どこへ逃げろと?」
ギリっと歯を噛み締める音が聞こえた。
「水のこない所だ!」
具体的にどこの土地へ逃げろと指示は出せなかった。大きな土地を持っている力ある貴族達が誰も残っていないのだ。
連絡を取りたくとも数日はかかる。
「ザグリア公爵はまだ王都に居たな?」
「……はい、しかしもうすぐ水が来る場所に屋敷がございます」
「……頼る事は出来んなディバートン公爵は?」
「……流されておいでです。……行方は分かっておりませぬ」
「そうか……トレヌ公爵は?」
「人を送っておりますが、なにぶん領地が南ですので、まだ到着しないかと」
「「慈悲のトレヌ」だ。最悪、南に逃げよと伝えてくれ。かの公爵ならば無碍にはすまい」
分かりました。兵士は宰相の言葉を現場に伝える為、部屋を後にした。
ふーーーーっと長いため息をついて、宰相は椅子に身を投げ出した。一瞬でも気を抜けば眠ってしまう。だが今眠る訳にはいかない。自分の判断が少し遅れるだけで、国民が何百人死ぬかわからぬのだから。
そしてやっと扉の側に立っている人物に気づいた。この状況を作った本人とも言える人物、アヴリー第一王子。
彼はかなり前から王太子と呼ばれていない事実に気がついていない。
「如何なされた、王子よ。生憎立て込んでいて、ゆっくり話も出来ませぬが、緊急でしたら伺いますよ」
「あ、ああ?いや、緊急と言うことではないのだが……」
後ろ手に隠した紙の束から数枚落ちている事にも気付いていない。やはりな、宰相は顔には出さなかったが、請求書の文字を見つけて目の前が暗くなった。
せめて、凡庸であれば良かったのに。
この王子の有用スキルを宰相は知らない。ジュール・セーブルと言う傑物が膝まづいた王子、それだけだから。
セーブルの光が美しすぎて、愚鈍まで照らしておったのだな。
「あー……ち、父上のお加減はどうなのだ?呪いのような物があると聞いておる。教皇は呼んだのか?」
聞いておる!つまりはこの王子は父親の見舞いに行っていないのだ!病が移るのが怖い。呪いが移るのが怖い!間違いない、顔に書いてあるようだ。
「教皇は来ませぬ。あれは全ての神聖な力を失って放逐されました」
「何だと!?あれほど、聖女様にご寄付を、ご寄付をと言っていたのに!役立たずではないか!」
その口が役立たずと言いおった!
「しかし見習い神官以下の力ではどうすることも。他の高司祭では太刀打ち出来ぬ代物だそうです」
申し訳なさそうに平伏する司祭達に、王も宰相も何も言えなかった。
「そうだ!聖女はどうした!あれほど大切にしていた聖女は?聖女ならば父上を治せるのではないか?!」
いい事を思いついた、とばかりのアヴリー。
「聖女様はいらっしゃいませんでした。誰に聞いてもハッキリとした事は分からず、いつの間にか居なくなったと言うばかりです」
「では!教皇の寄付とは何だったのか!」
「ノースは地下牢に閉じ込めております。この大事、あやつを裁くのはまだ先になりそうです」
「なんと言う事……聖女がおれば……聖女…?」
アヴリーのおめでたい頭の中に、引っかかった聖女と言う言葉。セーブル家で聞いた言葉を今更ながらに思い出す。
私は聖女のスキルを持っています
「居る……あ…」
しかし、あの手紙はもうジュールに向かって送ってしまった。今から追いかけても、止められない場所まで行っている。
あの手紙を見て、ジュールは娘を連れて王都へ来るだろうか?来るわけがない!!
「アヴリー王子?聖女にお心当たりが?」
「!! いや!いやない!何もない!」
ジュールへの断罪はアヴリーの独断で行った。これが、宰相や父親である国王にバレてはいけない気がした。
アヴリーは足早に宰相の執務室を出た。
「私は……とんでもない事をしたのか……?」
答えはアヴリー以外は皆、知っていた。
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