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32 脆いので仲間割れをすぐするようです
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「セラフィーナ、いい加減にしなさいよ!」
「なんでお前はまだ学園に来ているんだ、さっさと罪を認めてどこかへ消えてしまえ!」
「ジュリアナとセネギー子爵令息……今日はパドナ伯爵令息はいらっしゃらないのね」
やられっぱなしの私はもういない。華麗に毒づき、牽制を覚えていかなくては。
「あらあら、三年生の落第ギリギリペアが仲良く何の用なのかしらね、セラフィーナ?」
「本当ね、イセリア。皆目見当もつかないとはこの事ね」
ジュリアナは一人じゃ私のことをどうしようもできないと思ったのか、セネギー子爵令息を片腕に引っ提げてやってきた。よりにもよってどうしてロシュアなのかしら……? もしかして私の不貞を疑うより先にロシュアとジュリアナの仲を調査したほうがいいのではないかしら。
「セラフィーナ、アレ、なんなのかしら?」
「分からないわ、イセリア。ジュリアナはあの状態を恥ずかしいと思わないのよ、恐ろしいでしょう?」
「え、本当に? 怖すぎる……」
徒党を組んで私をなじりにきたことすら醜聞になるのに、自分の婚約者でもない男性と腕を組む……しかもその男性が従妹の元婚約者とだなんて。自分が非常識だと叫びながら歩いているようなものだ。まともな生徒達は関わりになりたくないと皆距離を取る。私も距離を取りたいけれど向こうから近寄ってくるからそれも出来ない……いやすぎる。
だからといってここで引き下がるなんてことはしない。負けを認めるなんて……モルガット家にも申し訳ないし、セルジオ先生にも迷惑をかけることがあるかもしれない。そんなのは絶対に嫌だし、今は強い味方であるイセリアが隣にいてくれて、力強く頷いている。戦おう、協力するという合図だ。
「セラフィーナ! 聞いているの!?」
「バーグ伯爵令嬢、私に付き纏わないでいただけますか? ああ、もしかしてバーグ家に残してきた私の所持品のご相談ですか? ええ、処分して結構ですわよ。もう価値のあるものはあなたに盗まれて何もないですからね。まさか私のお母様の形見まで勝手に持っていって、返して貰えないなんて思ってもみませんでしたわ」
「はあ? あんたのガラクタなんて知らないわよ、全部捨てたわそんなゴミ!」
「セラフィーナ、バーグ家ってそんな怖い場所なの? あなたがあの家から出てからまだそんなに日にちが立っていないのに荷物を捨てるなんて怖すぎるわ。それに形見まで取られたってほんと? そんなの人間のすることじゃないわ……」
わざとらしく大きな声で辺りに聞こえるようにイセリアは話す。まあ嘘じゃないから私も俯いてうなずいたりしてみる。
「信じられないでしょうけど本当なのよ。あなたも知っての通り、私は本当の小さい頃にお父様とお母様を亡くしたわ……その数少ない両親との繋がりの形見まで……」
「うそ……信じられない。人の皮を被った悪魔かしら……可哀想なセラフィーナ。しかも冤罪で婚約まで駄目にされて……でもまあ、相手がアレじゃあなくなって良かったのかもしれないわね」
「ありがとう、イセリア。私、頑張るわ」
凄いわ、イセリアは女優の才能もあるかもしれない。彼女の声は良く響くし耳障りもない。説得力もあってキンキン喚くだけのジュリアナとはまったく違う。今も聞く気がなかった、たまたま居合わせただけの生徒達の耳にも届いたらしく、あちらこちらから顔をしかめてひそひそとジュリアナに抗議の視線を送る人がたくさん現れた。
「えっ……ご両親の形見まで持っていったって本当?」
「常識以前の問題だぞ……」
「セラフィーナさんはバーグ家でよほどひどい目に遭っていたんだな可哀想に」
「そういえばいつもジュリアナに怒鳴られてたっけ……逆らえなかったんだな、なんて非道な」
「冤罪……? 確かにいつも静かに図書館で勉強しているセラフィーナさんが婚約破棄されるようなことをするはずがない……セネギー子爵令息は何を考えているんだ」
ざわざわとさざめく声にジュリアナもロシュアも自分達が不利だと気付き始めている。
「お、おい……ジュリアナ、帰るぞ」
「でも、ロシュア! あんただってセラフィーナに非を認めさせるって言ってたじゃない」
「そ、そうだが……」
ジュリアナよりロシュアのほうが周りが見えているようで、ここで何をいったところで自分達に有利にはならないと悟ったようだ。辺りを不安そうに見渡して皆の目が冷たい事に気づいた。
「お、お前が戻らないから私一人で帰る!」
「はぁ!? 何言ってんのよ、私を置いて行く気!?」
ジュリアナの絡んだ腕を力ずくで引き離し、ロシュアはくるりと私から背を向けた。
「ちょ、ちょっとロシュアぁ~」
「うるさいっ!」
仲間割れ、そんな言葉がよく似合う二人を私とイセリアはきょとんと見送った。
「なんでお前はまだ学園に来ているんだ、さっさと罪を認めてどこかへ消えてしまえ!」
「ジュリアナとセネギー子爵令息……今日はパドナ伯爵令息はいらっしゃらないのね」
やられっぱなしの私はもういない。華麗に毒づき、牽制を覚えていかなくては。
「あらあら、三年生の落第ギリギリペアが仲良く何の用なのかしらね、セラフィーナ?」
「本当ね、イセリア。皆目見当もつかないとはこの事ね」
ジュリアナは一人じゃ私のことをどうしようもできないと思ったのか、セネギー子爵令息を片腕に引っ提げてやってきた。よりにもよってどうしてロシュアなのかしら……? もしかして私の不貞を疑うより先にロシュアとジュリアナの仲を調査したほうがいいのではないかしら。
「セラフィーナ、アレ、なんなのかしら?」
「分からないわ、イセリア。ジュリアナはあの状態を恥ずかしいと思わないのよ、恐ろしいでしょう?」
「え、本当に? 怖すぎる……」
徒党を組んで私をなじりにきたことすら醜聞になるのに、自分の婚約者でもない男性と腕を組む……しかもその男性が従妹の元婚約者とだなんて。自分が非常識だと叫びながら歩いているようなものだ。まともな生徒達は関わりになりたくないと皆距離を取る。私も距離を取りたいけれど向こうから近寄ってくるからそれも出来ない……いやすぎる。
だからといってここで引き下がるなんてことはしない。負けを認めるなんて……モルガット家にも申し訳ないし、セルジオ先生にも迷惑をかけることがあるかもしれない。そんなのは絶対に嫌だし、今は強い味方であるイセリアが隣にいてくれて、力強く頷いている。戦おう、協力するという合図だ。
「セラフィーナ! 聞いているの!?」
「バーグ伯爵令嬢、私に付き纏わないでいただけますか? ああ、もしかしてバーグ家に残してきた私の所持品のご相談ですか? ええ、処分して結構ですわよ。もう価値のあるものはあなたに盗まれて何もないですからね。まさか私のお母様の形見まで勝手に持っていって、返して貰えないなんて思ってもみませんでしたわ」
「はあ? あんたのガラクタなんて知らないわよ、全部捨てたわそんなゴミ!」
「セラフィーナ、バーグ家ってそんな怖い場所なの? あなたがあの家から出てからまだそんなに日にちが立っていないのに荷物を捨てるなんて怖すぎるわ。それに形見まで取られたってほんと? そんなの人間のすることじゃないわ……」
わざとらしく大きな声で辺りに聞こえるようにイセリアは話す。まあ嘘じゃないから私も俯いてうなずいたりしてみる。
「信じられないでしょうけど本当なのよ。あなたも知っての通り、私は本当の小さい頃にお父様とお母様を亡くしたわ……その数少ない両親との繋がりの形見まで……」
「うそ……信じられない。人の皮を被った悪魔かしら……可哀想なセラフィーナ。しかも冤罪で婚約まで駄目にされて……でもまあ、相手がアレじゃあなくなって良かったのかもしれないわね」
「ありがとう、イセリア。私、頑張るわ」
凄いわ、イセリアは女優の才能もあるかもしれない。彼女の声は良く響くし耳障りもない。説得力もあってキンキン喚くだけのジュリアナとはまったく違う。今も聞く気がなかった、たまたま居合わせただけの生徒達の耳にも届いたらしく、あちらこちらから顔をしかめてひそひそとジュリアナに抗議の視線を送る人がたくさん現れた。
「えっ……ご両親の形見まで持っていったって本当?」
「常識以前の問題だぞ……」
「セラフィーナさんはバーグ家でよほどひどい目に遭っていたんだな可哀想に」
「そういえばいつもジュリアナに怒鳴られてたっけ……逆らえなかったんだな、なんて非道な」
「冤罪……? 確かにいつも静かに図書館で勉強しているセラフィーナさんが婚約破棄されるようなことをするはずがない……セネギー子爵令息は何を考えているんだ」
ざわざわとさざめく声にジュリアナもロシュアも自分達が不利だと気付き始めている。
「お、おい……ジュリアナ、帰るぞ」
「でも、ロシュア! あんただってセラフィーナに非を認めさせるって言ってたじゃない」
「そ、そうだが……」
ジュリアナよりロシュアのほうが周りが見えているようで、ここで何をいったところで自分達に有利にはならないと悟ったようだ。辺りを不安そうに見渡して皆の目が冷たい事に気づいた。
「お、お前が戻らないから私一人で帰る!」
「はぁ!? 何言ってんのよ、私を置いて行く気!?」
ジュリアナの絡んだ腕を力ずくで引き離し、ロシュアはくるりと私から背を向けた。
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