33 / 58
33 証人は多い方がいいということなので
しおりを挟む
「セラフィーナ、王城へ呼び出された。決着をつけに行こう」
「お、王城? どうしてそんな所に呼ばれるんですか、伯父様」
「バーグの野郎がくだらない理由でセラフィーナからジョゼ家を取り上げようと画策したのが明るみに出たんだ……いや、出させたのが正解だけどね。まあそれと色々あるが、一度は行かなければならないから」
「わ、わかり……ました」
なんだか大事になって来て怖いけれど、それより心配なのは王城へ行くという事はそれ相応の装いをしなくてはいけないことだ。恥ずかしながら私はまともなドレスを持っていない……バーグ伯爵が買い物に行く許可もお金もくれなかったからだ。ジョゼ家の資産から私の日用品やドレスなどの赴く場所に相応しい装いをするためのお金は出るはずなのに、何故かくれなかった……今思えばバーグ伯爵が私の物になる資産を減らしたくなくてそんな姑息な手段を使っていたんだと分かるけれど、過去の私は強くいうことができなかった。
「リリー達がドレスから化粧から全部用意している。悪いが彼女達の楽しみに付き合ってやってくれ」
「えっそんな申し訳ないです」
「いや、もう色々なものを買いこんでいて、何箱もうちに届いているんだ……あ、気に入らない物はきちんと嫌だというんだぞ? ちゃんといわないとどんどん色々買いこんでくるからな!」
「え? え?」
私の心配を見越したであろう伯父様にそういわれ、私はあっという間に王城へやってきていた。バーグ家とジョゼ家、そしてモルガット家の話ならバーグ家かモルガット家のどちらかで話せばいいのではないかと思ったけれど、そうではなくなっているらしい。
「バーグ家とウチのモルガット家、そして元婚約者のセネギー家とルンド家も絡んでいるだろう?」
「確かにそうですね……これだけの家ともなると公の場で決着をつけた方がいいという事なんですね」
「そうなったんだ。証人は多い方がいい」
私は伯父様にエスコートされ、素敵なドレスを身にまとい王宮の中を歩いていた。手触りのいい落ち着いた緑色のドレスは鏡で見てもとても美しい。そして派手になり過ぎない丁寧な刺繍もとても素敵だし、裾や襟元にあしらわれた生成り色の繊細なレースもドレスの色を引き立たせている……何より私の黒髪に良く似合うのだ。こんな上品でお金のかかったドレスを着るのは生まれて初めてだった。今までもどうしても出席しなければならない場に出る時は安い中古のドレスかジュリアナの着なくなったセンスを疑うような派手なドレスが大半だった。見かねたマリアンヌが良くドレスを貸してくれたけれど、髪の色がまったく違うから色味が合わずちぐはぐになることばかりだった。
そしてモルガット家のメイド達が髪の毛もきれいに結い上げてくれたし、お化粧もしてくれた。リリー伯母様もお祖母様も私のためだといってたくさんの化粧品を買い揃えてくれた……はつらつとした色味が素敵な口紅や頬紅もうっとりするほど素敵だった。
「そのドレスはセルジオ君が贈ってくれたんだよ。リリーも母上も流石に遠慮したんだ」
「えっ……先生が?」
「ああ見えてあの方の目は緑だからねえ。いつももっさりしてるけれど、今日くらいはシャキッとしてくると思うよ」
確か、ルンド家も呼ばれているというから、セルジオ先生も来てくださるんだ。なんて心強い……そしてシャキッとするってどういうことだろう? 確かに先生はちょっと髪が長くて目も隠れがちだけれど、それは研究が忙しくて仕方がないことだろうし、私は普段のままでも素敵だと思うけれど……先生の違った一面も見てみたいとは純粋に思った。
「婚約者に自分の色を贈りたいんだよ、わかるだろ? 私だってリリーにたくさん贈ったからね!」
「あっ!」
今まで私はロシュアに贈り物を貰ったことがなかった、だから一般的に婚約者にドレスを贈るとかアクセサリーを贈るとか経験をしてこなかった……でもクラスの皆はそういう話で盛り上がっていたし知識としては知っていたけれど……。
実際に自分が頂いてみるとなんだか気恥ずかしくてつい俯いてしまう。
「俯かないで、セラフィーナ。それに喜んで欲しくて贈るんだ。笑顔が見たいんだよ」
「……はい……!」
「私じゃなくて、セルジオ君にね」
「はいっ!」
先生に会って気持ちを伝えなきゃ。私を思って私を助けてくれて……今、王城で胸を張って歩けるのはこの豪華なドレスの力もあるんだから! きれいに着飾った私を見て欲しい、私だって女の子なんだから!
「お、王城? どうしてそんな所に呼ばれるんですか、伯父様」
「バーグの野郎がくだらない理由でセラフィーナからジョゼ家を取り上げようと画策したのが明るみに出たんだ……いや、出させたのが正解だけどね。まあそれと色々あるが、一度は行かなければならないから」
「わ、わかり……ました」
なんだか大事になって来て怖いけれど、それより心配なのは王城へ行くという事はそれ相応の装いをしなくてはいけないことだ。恥ずかしながら私はまともなドレスを持っていない……バーグ伯爵が買い物に行く許可もお金もくれなかったからだ。ジョゼ家の資産から私の日用品やドレスなどの赴く場所に相応しい装いをするためのお金は出るはずなのに、何故かくれなかった……今思えばバーグ伯爵が私の物になる資産を減らしたくなくてそんな姑息な手段を使っていたんだと分かるけれど、過去の私は強くいうことができなかった。
「リリー達がドレスから化粧から全部用意している。悪いが彼女達の楽しみに付き合ってやってくれ」
「えっそんな申し訳ないです」
「いや、もう色々なものを買いこんでいて、何箱もうちに届いているんだ……あ、気に入らない物はきちんと嫌だというんだぞ? ちゃんといわないとどんどん色々買いこんでくるからな!」
「え? え?」
私の心配を見越したであろう伯父様にそういわれ、私はあっという間に王城へやってきていた。バーグ家とジョゼ家、そしてモルガット家の話ならバーグ家かモルガット家のどちらかで話せばいいのではないかと思ったけれど、そうではなくなっているらしい。
「バーグ家とウチのモルガット家、そして元婚約者のセネギー家とルンド家も絡んでいるだろう?」
「確かにそうですね……これだけの家ともなると公の場で決着をつけた方がいいという事なんですね」
「そうなったんだ。証人は多い方がいい」
私は伯父様にエスコートされ、素敵なドレスを身にまとい王宮の中を歩いていた。手触りのいい落ち着いた緑色のドレスは鏡で見てもとても美しい。そして派手になり過ぎない丁寧な刺繍もとても素敵だし、裾や襟元にあしらわれた生成り色の繊細なレースもドレスの色を引き立たせている……何より私の黒髪に良く似合うのだ。こんな上品でお金のかかったドレスを着るのは生まれて初めてだった。今までもどうしても出席しなければならない場に出る時は安い中古のドレスかジュリアナの着なくなったセンスを疑うような派手なドレスが大半だった。見かねたマリアンヌが良くドレスを貸してくれたけれど、髪の色がまったく違うから色味が合わずちぐはぐになることばかりだった。
そしてモルガット家のメイド達が髪の毛もきれいに結い上げてくれたし、お化粧もしてくれた。リリー伯母様もお祖母様も私のためだといってたくさんの化粧品を買い揃えてくれた……はつらつとした色味が素敵な口紅や頬紅もうっとりするほど素敵だった。
「そのドレスはセルジオ君が贈ってくれたんだよ。リリーも母上も流石に遠慮したんだ」
「えっ……先生が?」
「ああ見えてあの方の目は緑だからねえ。いつももっさりしてるけれど、今日くらいはシャキッとしてくると思うよ」
確か、ルンド家も呼ばれているというから、セルジオ先生も来てくださるんだ。なんて心強い……そしてシャキッとするってどういうことだろう? 確かに先生はちょっと髪が長くて目も隠れがちだけれど、それは研究が忙しくて仕方がないことだろうし、私は普段のままでも素敵だと思うけれど……先生の違った一面も見てみたいとは純粋に思った。
「婚約者に自分の色を贈りたいんだよ、わかるだろ? 私だってリリーにたくさん贈ったからね!」
「あっ!」
今まで私はロシュアに贈り物を貰ったことがなかった、だから一般的に婚約者にドレスを贈るとかアクセサリーを贈るとか経験をしてこなかった……でもクラスの皆はそういう話で盛り上がっていたし知識としては知っていたけれど……。
実際に自分が頂いてみるとなんだか気恥ずかしくてつい俯いてしまう。
「俯かないで、セラフィーナ。それに喜んで欲しくて贈るんだ。笑顔が見たいんだよ」
「……はい……!」
「私じゃなくて、セルジオ君にね」
「はいっ!」
先生に会って気持ちを伝えなきゃ。私を思って私を助けてくれて……今、王城で胸を張って歩けるのはこの豪華なドレスの力もあるんだから! きれいに着飾った私を見て欲しい、私だって女の子なんだから!
143
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
もうすぐ帰って来る勇者様と私の結婚式が3日後ですが、プロポーズされていないといくら言っても誰も信じてくれません
まつめ
恋愛
3日後に村をあげての盛大な結婚式がある。それはもうすぐやって来る勇者様と自分の結婚式。けれど勇者様は王都の聖女様と結婚すると決まっている。私は聖女様の代わりに癒し手として勇者様を治療してきた、だから見事魔王を打ち破って帰って来た時、村人達は私が本物の聖女だと勘違い。私がいくら否定しても誰も聞いてはくれない。王様との謁見を終えてもうすぐ勇者様が村に帰って来る。私は一度も好きだと言われてないし、ましてや結婚しようとプロポーズも受けていない。村人達はお祭り騒ぎで結婚式の準備は加速していく。どうしようと困っているのに、心の奥底で「もしかしたら……」と大好きな勇者様が自分を選んでくれる未来を淡く期待して流されてしまう私なのだった。どうしよう……でもひょっとして私と結婚してくれる?
もう一度あなたと?
キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として
働くわたしに、ある日王命が下った。
かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、
ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。
「え?もう一度あなたと?」
国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への
救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。
だって魅了に掛けられなくても、
あの人はわたしになんて興味はなかったもの。
しかもわたしは聞いてしまった。
とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。
OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。
どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。
完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。
生暖かい目で見ていただけると幸いです。
小説家になろうさんの方でも投稿しています。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
悪役令嬢は高らかに笑う。
アズやっこ
恋愛
エドワード第一王子の婚約者に選ばれたのは公爵令嬢の私、シャーロット。
エドワード王子を慕う公爵令嬢からは靴を隠されたり色々地味な嫌がらせをされ、エドワード王子からは男爵令嬢に、なぜ嫌がらせをした!と言われる。
たまたま決まっただけで望んで婚約者になったわけでもないのに。
男爵令嬢に教えてもらった。
この世界は乙女ゲームの世界みたい。
なら、私が乙女ゲームの世界を作ってあげるわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。(話し方など)
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる