【完結】生き残りたい俺は死者と語る。

鏑木 うりこ

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5 美女の登場

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「ナナちゃぁん」
「いらっしゃい、ミルヒ様」

 汚い扉を潜る前はこの地獄に相応しい腰の曲がった汚い老婆なのに入った途端に豊満な四肢の美女に変わる。

 魔女ミルヒだ。真っ黒で緩くウェーブのかかった長い黒髪に、ぽってりとした真っ赤な唇。すんごいでっかいおっぱいがこぼれ落ちそうなほどきわどい黒いビスチェが良く似合う。むちっとした肉感が凄い美女、それがミルヒ様。

「噂でぇ王子の肝、仕入れたんでしょ?頂戴」
「どうぞ、こちらへ」

 俺は上客には優しい。

「スティアー・テレニスです。魂はもう浄化されて転生が完了してるから、体は好きに使って良いそうですよ」
「や、やだぁーーー!顔が!青い瞳が!クソがぁ!!」

 ミルヒ様は化けの皮が少し剥がれて、ドラゴンの角がバリンと飛び出した。

「イケメンの顔を潰すなんて、あいつら殺そう」
「死体は引き取りますよ」
「おっけー!その潰れた顔も頂戴。直せたら使うわ」
「包んでおきますね」

 可愛いイチゴ柄の風呂敷に王子の生首と肝を入れる。

「ねえ、アレは?」
「絞ったので少し萎びてますが要ります?」
「いるいる!やったぁ!」

 萎びたちんこ追加っと。

「2000万位でどうです?」

 はっ!とミルヒ様は息を飲んだ。

「あのイケメンのちんこが2000万……お買い得すぎ!ナナちゃん大丈夫?儲けある?!」
「大丈夫ですよ。道で拾って来たので」
「ナナちゃんは処理もきれいだし、使いやすく加工してくれるし!もう最高!いっぱいあいつら殺したら持ってくるわね!」
「ありがとうございます、ミルヒ様」
「あ、あと美少女の皮が入ったら加工しといてくれるかしら?今の皮、飽きて来ちゃった」
「分かりました」

 俺の上客は人でなしが多い。俺のアイテムボックスからミルヒ様のアイテムボックスに直に移す。時間劣化はないに限る。

 こうやって俺は生きている。地獄街の死体漁りをしながら。

 

「邪魔するぜ」
「いらっしゃいませー」

 ガタイの良いお兄さんがやって来た。何をお求めなんだろう。

「スキルを売ってくれ」
「はあ、どんな物をお求めで?」

 答えると男は逆にギョッとした。変な奴。

「ほ、本当に売ってくれるのか!スキルは神の采配か、本人の努力でしか付かないはずじゃ?!」

 誰かに聞いたのか何なのか。信じてないならそれはそれで構わない。確かにこの世界の理ではスキルは神から授けられるか本人の努力のみだ。
 神の手伝いの俺だから出来る事なんだけどね。

「ええ、その通りです。スキルはつけられません、お帰りください」

 面倒くさいから帰って貰おう、それが良い。

「え?!いやまて!お前さっき!え?!」
「誰の与太話を信じたんですかーお客さん馬鹿だねー」

 帰れ帰れ。
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