【完結】生き残りたい俺は死者と語る。

鏑木 うりこ

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48 薄汚い

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「アレは危険だ」

 その日もナナはヘドロに溶けた魂をスコップで掬い、風船に括り付けて飛ばしていた。

「ナナは働き者じゃのう」

「ほんに。王の慰み者にしておくには勿体ないのう」

「お姉様方ありがとうございます」

 悪霊の類のはずの、歴代王妃、側妃達から可愛がられ始めていた。

「はあグレイデールの子供か……もうこちらの子供になっておしまい。どうせ祖は一緒じゃ、何とかなろう」

「嫌ですよ、ずっとあの王様に抱かれるなんて」

「そうじゃのう……何かいい案はないかのう」

 毎日毎日頑張ったお陰で、ナナの暮らしている天使の間はすっかりヘドロが無くなり床がきれいになった。

「ふー!でも、扉を開けると廊下からドロドロって流れ込んでくるんだよねー!」

「廊下にも溢れておるでのう……」

 それでもきれいになるとすっきりする。

「さて次はぁ~あんまり執着ない人から神様の所行こうよ~」

「おっほっほ!そんなモノいるかのう!」

「いるよ~メイドさんとか八つ当たりで殺された人いっぱいいるでしょ?」

「……おるのぉ。わらわもかなりやったわ」「わたくしもだわ……おほほほ」

「こんな所でうじうじして溶けてヘドロになって土になるより、次の人生に向かおうよ~」

 呼びかけるとたくさんの魂たちが集まってきた。うんうん、良い事だよ。

「もうこんな所に居たくないわ!」「ヘドロに足を取られて動けなかったの」「王妃様の怨念が私を縛り付ける!」

 まあ色々だった。

「そのままでいいならすぐ上へ行っちゃって」「ヘドロはもうないからね、はいこの紐に捕まって」「王妃様の怨念なんて気のせいだから大丈夫」

 ないはずの思いに囚われたり、思い込んだり……魂が留まっている理由はたくさんある。恨みつらみは流石にすぐにとはいかないけれど、簡単な理由ならすぐに神様の元に送れてしまう。

「あんたのせいで殺されたんですけど!?」

「俺が食ったら死ぬのを分かっている毒入り料理を素知らぬふりで出すからでしょう?」

「だって仕方がなかったじゃない!」

「じゃあ俺だって仕方がなかったんです」

「う……」

 最近殺されたメイドはいっぱいいて、全員に責められたけどさぁ。

「皆、俺が死ぬって分かってて、殺すつもりで持ってきたんでしょう?なら殺されても仕方ないよね?」

「うううう……」

「次、行きなよ。きっと今より幸せになれるよ」

「……そうね」

 大量に死に、大量に送られる。神様たちの仕事を増やしてしまったけれど、何とかしてくれるよね?

「ナナ、あんた本当に天使ね」

「違うし……天使がこんなに薄汚いもんか」

 こんな天使、俺が嫌だよ。
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