【完結】生き残りたい俺は死者と語る。

鏑木 うりこ

文字の大きさ
49 / 85

49 飢え乾いた魂の為に

しおりを挟む
 グレイアッシュの王は有能と言えた。王太子時代は型通りの不可のない王太子であったし、戦では自ら先頭に立つ程の腕も度胸もある。政治も人の話をよく聴き、痛い話に傾ける耳も持っていた。

 しかし、彼にも欠点はあった。それが遠征のたびに増える側妃の存在だ。

「私が愛する人を連れてきて何か問題が?」

「……いえ」

 アリディス王は真に愛する人を探すように、次々に側妃を連れて来る。

「あの部屋の天使のような私の愛する人」

 しかし王の寵愛は長くは続かない。次に出かけた土地で王は新しい愛を見つけ連れて帰り、古い愛は天使の間から追い出される。それが一度や二度ではない……後宮には追い出された古い愛が溜まり、積み重なり憎悪が渦巻く。もう一度寵を得ようと女たちの醜い貶め合いが毎日起こる。虐めやケンカならまだしも、誘拐毒殺なんでもありだ。そしてそれを王は一切咎めず、させたいようにさせておく……と言うより興味がない。まるでその存在を忘れてしまったように。

 なぜなら それらは「全部違った」からである。


「お前は愛する人の半分しか手に入れる事が出来ない」

 それがグレイアッシュ王アリディスの持つ呪い。アリディスには前世の記憶と言う物はない。しかし思春期を迎え、人を愛することを覚えてからずっと、違和感を感じ続けていた。王太子として生まれたアリディスには幼いころから婚約者がいた。今、正妃として迎えているリンデルとずっと婚約をして仲良くしてきたのに、歳を追うごとに心が「アレではない」と訴えるのだ。その心を殺し続け、リンデルと結婚し、王位を継いだ……そしてとうとう心の欲求に勝てなくなったアリディスは次々と側妃を迎える。

 しかし、何人もの女性を迎え入れても「全部違う」。しかし、今回だけは違った。

「ナナ!」

「お、王様……どうしたんですか、こんな昼間から……」

「私の天使に会いたくなったんだ」

「はぁ……」

 完全にアレではない。しかしコレは今までのどれよりもアレに似ている。そう、半分だけアレなんだ。アリディスの魂は震える。アレが欲しい、アレの全てが欲しいけれど、今はコレで我慢できると。

「ナナ、私の贈った服はどうした?」

「あ、あのいっぱいフリフリが付いた服は……ちょっと……」

 作業の邪魔なので、という言葉をなんとか隠した。

「たまには私が贈った服も来て欲しい……脱がせる楽しみがあるからね?」

「うっ……ハイ……」

 ナナは逆らう事はしない。どう見てもナナの方が弱いだろうし、アリディスが力を入れればナナの首すらへし折る事が出来そうだ。

「良し、いい子だ。いい子のナナならこの後どうすればいいか分かるね?」

「う……」

 露骨に嫌そうな顔をするが、アリディスはこの顔も気に入っている。そう、アレは間違いなくこういう顔をするだろうから!半分だけアレなコレがこの顔をして自分を嫌悪しつつも、ベッドの上ではしたない言葉を紡ぐのが良いのだ。

「あ、あの……だ、抱いて……下さい。俺の、ココにいっぱい、入れて…‥な、中に、出して……」

 そうしろと仕込んだ通り、ナナは両足を広げて尻の穴を開いて見せる。ああ!半分だけのアレが痴態を晒して自分に媚びている!

「そう、それでいい……今はコレで……良い」

 求め続けて飢え乾いた魂を宥める為に。








------------------------


_( _´ω`)_ペショ ス、ストックが切れた!完全に……クッ!
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

侯爵令息は婚約者の王太子を弟に奪われました。

克全
BL
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

処理中です...