【完結】悪い我、ちぃとを貰う!次は勇者で世界を救うぞ、みんなついて来い!

鏑木 うりこ

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我、出荷される

28 我、戻る算段を取る

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「良い話ではないか!」

 レキの客引き、交渉を気に入ったと屋敷で働かないかと声をかけてきたのだ。しかも弟達も面倒見てくれるという。

「レキ、このままここにいても何も変わらない。貴族というものを勉強するんじゃ」

「……分かった」

 レキは頷き、弟達を連れて男爵家に引っ越した。何せ我もずっとここにいるつもりもないからの。
 ちょうど良いタイミングである。我も冒険者ギルドへ向かう。無くした冒険者カードは再発行してくれた。さて!

「ロジデント王国までの行きたいのじゃが、そっちへ向かう冒険者はおらぬかの?同行させて欲しいのじゃ」

 ギルドの職員は書類を書きながら

「では得意な事はありますか?剣が使えるとか魔法が得意とか……?」

 ふふふ!それを我に聞くのか?!良いであろう!答えるぞ、よく聞け!

「我が1番得意なのは、夜のお相手であるぞ!」

 おい、そなた!我を可哀想な者を見るような目で見るのはやめい!




 だがしかし、我の前に6人の男達が立っておった。

「男じゃねーか」

「でも顔は可愛い、好み」

「俺はオッケー。頭悪そうな所も良い」

「俺は何でもいい」

「俺は反対」

「俺も女じゃなきゃパス」

「そこな2人!我の実力を見せてやる!!!」



「リジー、最高だ」

「女も良いがリジーは特別だぜ」


 ドヤァ!

「お前、すごいな……」

 この男ばかり6人パーティーのリーダーに褒められた!ふふん!見たか、我の実力を!




 我はガタゴトと揺れる馬車に乗っていた。隣は御者台に座るパーティーリーダーのダナン。

「それでリジーは何でそこまでしてロジデント王国に行きたいんだ?」

「我の故郷はロジデントでな?実はロジデントから拐われてきたのじゃ。故郷には兄がいてのう……」

 我はダナンにすっかり訳を話してしもうた。

「つまり、リジーは誰かに抱かれないと1人で歩けもしないのか?」

「うむ……難儀な体でのう……。よろしく頼むぞ!」

 ダナンは何とも言えない顔をしておるが、そういうものなのだからしょうがなかろうよ!

「リジー!ヤろうぜ!」

「おう!分かったー!」

 我は御者台から、ぴょんと幌の中に飛び移る。 

「はー……我がパーティーは爛れてるなぁ……でも、不満は減ったな」

 ダナンが何か言うておうたが我には聞こえなかった。




 今の旅路の同行者は不思議な奴だ。ダナンはそう思っている。 


「どうだった?」

「やはりやり散らかして寝ておったよ。ベトベトの顔のまま、全裸でひっくりがえっておった」

 苦笑しかでない。今の夜の見張りは俺とジャス。剣士の俺と魔法使いのジャスの組み合わせだ。
 途中から幌の中でもいびきをかいている奴と入れ替わる。

「リズレット……リジーね。どう思う?」

 不思議な同行筋について聞いてみた。ジャスは薄く笑う。

「あれは裏表のない良い子だな。……裏表を作れるほど賢くない、そう言うべきか?」

「確かに」

 言葉使いはおかしいが、屈託ない笑顔は眩しい。

「多分どこぞの貴族の子息だろうが、あの技はそら恐ろしくも感じるな」

「それは同感だ」

 一体、何人の男と寝たのか検討も付かないほど、性交の技が凄まじい。

「男と寝ないとまともに動けないと言っているが……」
 
「あれは嘘が付けない阿呆だと言ったばかりではないか?」

「……そうだったな。ならば男と寝るのは必須である……ならば慣れは当然か?」

 普通に考えれば、なんと酷いことなのだろうと思う。しかしリジー本人がとても楽しそうに誘って来るので、悲壮感がないのが救いだ。

「……んまあ……好きなんだろうな」

「エロい身体してるからなぁ」

 何せ俺達もお世話になっている。わふわふとないはずの尻尾を振りながら

 わーい!ダナン、ヤろうぜぇー!なんて軽い感じで話しかけて来るから、こっちもおー良いぞー。なんて軽く返してしまう。
 そうすると、ズブズブの沼に引き込まれて、楽しい一夜を過ごしてしまう。翌日仲間から非難されるわけだが。

「それにああ見えて剣の腕は悪くない」

 学校仕込みの型通りの剣と、剣技かと首を傾げる程の荒っぽさもある。何も躊躇せずに魔物や山賊を切り捨てる。

「魔法も素養があるぞ。全魔法使えるのは素晴らしいが……呪文が覚えられぬようだが」

「アホか?」

「アホだ」

 俺とジャスは顔を見合わせて笑った。最近はやはりリジーの話題ばかりだ。

 ロジデント王国に着くなら遠回りでも良いし、依頼や仕事をしながらでもいい。ついでに言えばロジデントの側までで良い。だからついでに連れてってくれ。
 最初からそれがリジーの依頼だった。

 しかし、意外と役に立つのだ。獲物の解体や料理はまるで出来なかったが、教えると興味深そうにやり始めた。
 なかなかの凝り性であるらしく

「ふむ……美味い美味いと食っていた飯も、作ってくれる人がおって、其奴が心を込めて作ってくれるから美味いのだな……」

 などと言いながら、しっかり飯を用意していたりする。それがなかなか美味い。

「美味いじゃろう!ほれ!我を褒め称えよ!」

 胸を張っていうものだから、笑ってしまうが、ここでしっかり褒めて良い気にさせておいた方が良い事を我々は知った。
 あれは褒めれば褒めただけ伸びるタイプだ。……調子に乗りやすいともいう。

 獲物の解体も貴族の坊ちゃんではみたこともないだろうが、しげしげと眺めて、手を出して

「ふむふむ……こうしておかねば不味いのだなぁ。我は処理された肉を食うておったのだなぁ」

 言いながら、試してみる所がまた好感が持てる。まあ普通の貴族の坊ちゃんは冒険者なんかに、嬉々として抱かれたりはしないだろうけど。

 そして1番は我々冒険者を見下して来ない所だ。

「ダナンは凄いのう……!」

 良いと思ったら素直に手を叩いて褒めて来る。そして気になれば

「どうやるのじゃ?」

 と、教えまで乞うて来る。拐われるわ、奴隷に落とされるわ、散々な目にあっているからなのなは知らない。しかしリジーは良い物は良いと言い、悪い物は悪いとはっきり言う。
 この世では珍しいことかも知れない。

「だが、そこが良い」

「そうだな」

 ジャスにも魔法のコツを聞いていたりするのを見かけた事がある。貴族特有の上から目線では無く、知識をねだる弟子のようだった。

「しかし、もう少し賢ければなあ!」

 とにかく、阿呆なのだ!リジーは!

「あと、もう少し恥じらいを持って欲しいな」

 全くだ!朝起きたら、全裸の全開で寝ている事が良くある。可愛い顔も台無しだ。

「それは気をつければそこそこ出来るらしいぞ?」

「そうなのか?」

「ああ、本人が言っていた」

 だが、そうやって気を使わずに仲良く?やっていてくれるのは、なにかと嬉しいことではある。
 最初から反対した2人も一発で骨抜きになったしな? 

「….んん……ダナン、ジャス……おはよう」

 目を擦りながら、噂のリジーが起きて来た。

「まだ夜中だ。寝とけ」

「ベタベタする……川行きたい……」

 このキャンプのそばには川が流れていて、体を洗うのにちょうど良いが、こんな夜中に1人では行かせられない。

「ダナン、付いてってやれ」

 ジャスが笑う。ははっ良いのか?

「ダナン、行こう。ジャス、行ってきますぅ……」

 まだまだ眠いのであろう、少しふらふらしている。

「しょうがないお姫様だな。ほら」

 抱き上げると見た目より軽くて過ごして驚いた。中身、詰まってるのかな?頭の中身は少なそうだ。

「んー…ありがとう~」

 首に腕を絡ませてくる。目の前に大きな火傷の傷痕が見えた。奴隷の首輪を無理に外した時に出来る傷だ。
 どこかの街で流行っている奴隷解放機構のやつにやられたといっていた。本当にあいつらは良い迷惑だ。
 リジーの体には消えない奴隷の証が付いてしまったんだからな。ある意味、外せば無くなる首輪よりたちが悪い。
 


 川にはすぐに着くが、辺りには異常はなかった。

「あはは、つめたーい」

 下ろしてやれば笑いながら川に入っていく。

「ダナンも入ればぁ?」

 誘っているのかな?多分無意識だろう。まあ、乗るけどな?

「おーい?」

 川の中ほどで、手を振っている。薄明るい月に照らされているリジーはとても美しい。ただ立っていれば、絶世の美女の完成なのだが

「ダーナーンー?腹痛いのー?」

 とても残念な奴だ。

「痛くねーよ!」

 まあそこが良い所なんだろう。絶世の美女なんて恐れ多くて手が出せねえよ。俺達にはこれくらいの阿呆がちょうど良かろう。

「ほら、リジー尻出せ!」

「あーん!良いよぉ、きゃん!」

 四つん這いにして、突っ込めば、誰の精液だか分からない液体をたっぷり溜め込んでいる。

「あっ!あっ!だ、ダナン……っふとぉい」

 うっとりと笑う顔は本当にいやらしい。

「……っつ!好きだろ?太いの?」

「しゅきぃ!もっとしてぇー!ぁん!あんっ!」

 全く、可愛い泥沼にズブズブと嵌って行く。俺達はきちんとこの沼から抜け出せるんだろうか?

「あっあっあっっ!ダナン!ダナン!届いてるぅ!い、いっちゃうぅ!」

 奥をコンコンとノックされて、リジーは啼く。

「良いぜ、いきなよ。ギュってして絞り出せ。飲ませてやるから」

「っん、んんっ!あっ、いっぱい……ちょうだいねぇ……?」

「ああ!そらっ!」

 一段と強く押し込めば

「あっ!やぁ、あ、あああーーーっあーん!!」

 甲高く啼いて絶頂期する。ぎゅうぎゅうとしめつけてくる尻の奥に、どくどくと注ぎこめば、

「あ、あは、出てりゅ……良い、おいひぃ」

 満足そうに呻いた。

 やはり、リジーは可愛い。


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