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23 頂けるものは頂きますが。

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「つまりは材料の問題で成功しなかったと?」

「ええ、ここに書かれている物では情報が足りなかったというか。青ハーブと書かれていますが、これは青ハーブの花弁であり、こっちは実だったりするようなんです。花弁や実なんて流通するものではないので、現地に行って手に入れる必要があったと言いますか」

 どうやらあまり薬学が発達していなかったころ、旅をしながら調薬したり、現地の物で即興で作ったりしたものが特別な効果を発揮したらしい。それが伝説の薬になっているみたいなんですよ。

「確かに薬草の花や実は時期も限られていますし、数も少ないから扱う店もありません。その辺りが原因かと思います」

「マリー・ロンド……君って人は……!それが本当なら伝説の欠損回復薬や視力回復薬も作れるかもしれないということか!?」

「可能性はあると思います。どの部位を使うかはわかりませんし、本当に効くのかもわかりませんから実験が必要になるかと思いますが……」

「素晴らしい!それが分かっただけで素晴らしい!君の実験に私も手伝わせて欲しい!」

 いえいえ、それはお断りいたします。

「実験は教授が行って貰えませんか?私はレベルアップに忙しいので、これ以上無理です。材料は毎週持ってきますのでお願いします」

 まだ上級ポーションが満足のいく仕上がりじゃないのよね……。私はそんな伝説の回復薬より日常で役に立つ普通のポーションや解毒剤とか腹痛の薬とか熱さましなどが欲しいので。

「マリー!君は……君は手柄を私に譲るというのか!?生物科の教授も言っていたが君はなんて欲のないッ!!うおおおおおおっ!!」

「はぁ」

 だってそんな大それた物要らないですし……。

「君は……君は!薬学も卒業まで成績は常にSSSだ!!これは決定だーーー!!」

「あ、ありがとうございます?」

 なんだかよく分からないけれど、薬学もどうやら高成績になりそうでした。学園の成績ならば低いより高いに越したことはありません、嬉しい事です。

「これから薬学科も現地の畑にいき、特殊素材を集める必要がある!うおおおおおおお!」

 きっと教授程高い地位にいる方なら色々な薬を必要とされているのでしょう。たくさんの人を救えるといいですね。

「私も頑張ろう」

 薬学は色々と覚える事や改良の余地がある物が多くて、中々レベルアップも出来ません。作って作って作りまくるのみです!

「子供でも飲める味の改良……持ち運びを考えた小型化、濃縮化……課題が尽きませんね」

 私は薬学科の教授の元から帰りながら次は解毒薬を作ってみましょうかと考えていました。

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